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【深い社会】9 村野式サイコロ作文の起源は?

村野先生のサイコロ作文が面白い!

村野式熱中ゲーム“さいころ作文”96
https://www.gakugeimirai.jp/archives/53215

日記指導をしています。
ほとんどの子は作文が上手になるのですが、一定数の子は難しい。
ところが、その下位グループが夢中で文を書くようになるのがサイコロ作文です。
サイコロを振りながら、文が組み合わさって思いもかけない表現になるのが面白いです。
宿題にも最適!

ところが、このサイコロ作文、実は起源があるのご存じですか?

南イタリアでトマス・アクィナスが、神学大全を書いているころ、
スペインで、別の挑戦を始めた神学者がいました。
名前をラモン・リュイと言います。
ラテン語でライムンドゥス・ルルス。
https://ja.wikipedia.org/wiki/ラモン・リュイ

リュイも、アリストテレスの影響を受け、
錬金術を学びながらキリスト教伝道にたずさわりました。

リュイは異教徒であるイスラム教徒を教化するため、知恵を絞ります。

「人それぞれ、身に迫る言葉がある。
時間を惜しむ人には、『時は金なり』。
人との論争に困る人は、『論より証拠』。
逆に考えると、身に迫る言葉は人それぞれになる。」

「ならば、神の普遍的な言葉を組み合わせて、
その人に合った言葉を作り出せないか。」

そこで、聖人たちが生み出した様々な普遍的な言葉を組み合わせて
文を作ることができる仕組みを作りました。
これが「ルルスの円盤」です。

https://ca.wikipedia.org/wiki/Ars_magna#/media/Fitxer:Ramon_Llull_-_Ars_Magna_Fig_1-4.png

まず、第一図表は基本となる普遍語を設定します。
①善 ②偉大さ ③持続 ④力 ⑤知恵 ⑥意志 ⑦徳 ⑧真理 ⑨栄誉
これらは組み合わせて使用します。

次に、第二図表で組み合わせる型を示します。
A 差異・調和・対立
B 端緒・中心・終局
C 多・等・少

そして第三図表で主語と述語の組み合わせを示します。

これら3つの図表を組み合わせると神の言葉が完成します。
例えば、「善」、「偉大さ」、「調和」が組み合わさって

「善と偉大さは調和する」

のようにです。

まさしく、村野式サイコロ作文です。
リュイはこの術にアルス・マグナ(大いなる術)と名付けます。
どうやらこのルルスの円盤は機械でできているようで、
クランクを回すと円盤がくるくる回って、ぴたっと止まると、できあがった文が真か、偽か、まで表示されるそう。
実際に見てみたい!

でも、この仕組み、何かに似ていませんか。
私はタロットカードに似ているなと思いました。

「カードに書かれた記号を組み合わせてストーリーを作る」

調べたらタロットカードの起源ははっきりしないとのこと。
錬金術の伝播のタイミングや、印刷技術のタイミングを考えると
このルルスの円盤が、大きく絡んでそうです。

さて、ラモン・リュイは、伝道師として、
イスラム教徒のキリスト教化のために生涯をささげました。

最後は、北アフリカで、イスラム教徒が投げた石によって
命を落とします。

残念ながら、彼の著作があまりに神秘主義に偏っていたため、
教会の批判を受け、無視され続けました。
しかし、時代がたって再評価され、聖人として認められることになります。

その時代こそが、ルネサンスです。

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