見出し画像

【フリー台本】人の居ぬ間に!(1:2)

三人芝居用台本です。
声劇を想定して書いたものです。
SEなど好きにつけてください。

時間:15~20分程度
人数:3人
   男 1人
   女 2人
ジャンル:現代、恋愛、ナチュラル、会話劇

もし上演していただける場合は、Twitterにてご連絡いただけますと嬉しいです。
蛇園かのん(@sngk_n)

また、クレジット表記は必須とさせていただきます。

***

サキ 大学3年生。仲良し3人組のことを大切に思っている。気になってる人はいるが、自分に向けられる好意には鈍感。

ガク 大学3年生。仲良し3人組のことは居心地が良いと思っている。サキへ好意を向けても伝わっていないことにヤキモキしている。

モモ 大学2年生。仲良し3人組がずっと続けばいいなと思っている。彼氏持ち。恋バナが好きで恋愛相談もよくされる。

***

街中。
男が一人待ち合わせ場所に立っている。
女がやってくる。

サキ「大変お待たせしました…」

ガク「大丈夫だよ」

サキ「あれ、モモちゃんは?」

ガク「まだ」

サキ「あらま」

ガク「5分くらい遅れるって連絡あったよ」

サキ「あぁ、じゃあすぐだね」

ガク「ね」

サキ「とりあえず待ってから移動する?」

ガク「そうだね、今動いてもすぐ来るだろうし」

サキ「ね」

二人でスマホを眺める間

サキ「そういえばさ、最近知ったんだけど。ガクって中学の時野球やってたの?」

ガク「え?あーそうだよ。中学で辞めたけど」

サキ「あーね」

ガク「なんで?」

サキ「いや、こないだ高校の時の友達に会ってさ。ほら、ガクと中学一緒だったメイちゃん。覚えてない?」

ガク「あー、だいぶ懐かしいわ」

サキ「未だにガクとモモちゃんと交流あるよって言ったら、中学で野球してたって話聞いて」

ガク「いや流れわかんなすぎ」

サキ「なんでだっけかな、あれかも。いつ仲良くなったの的な」

ガク「あー、高校の委員会が一緒だったからってやつ?」

サキ「そうそう、中学まで野球少年だったのに、高校入ったらなぜか部活辞めて図書委員入って意外だったって」

ガク「だってめんどくさかったんだもん。甲子園目指してたわけでもないし。中学は部活絶対入らないといけなかったから入ってただけで、万年ベンチだったし」

サキ「えー、でも結構頑張ってたって言ってたよ?」

ガク「…才能がなかったんだよ。単に」

サキ「あーね。あるよね、なんか、好きなことやってさ。頑張ってるのに報われないの」

ガク「あるねぇ」

サキ「私も、本当は吹奏楽続けたかったけど、まぁ才能なかったし、体力的にもしんどかったから高校で辞めちゃったしなぁ」

ガク「なかなか思い通りにはいかないよな」

サキ「せちがらーい」

ガク「まあでもおかげでサキとモモに会えたし、いっかなって」

サキ「あらやだ、口説かれてるかも」

ガク「口説いてねえよ」

サキ「でもほんと、まさか後輩のモモちゃんともここまで長く付き合うとは思ってなかったかも」

ガク「それな。高校出たら交流無くなると思ってた」

サキ「モモちゃんが結構ぐいぐい連絡くれたからね。大学もたまたま同じところ目指したかったって言ってたし」

ガク「意外と勉強できるんだよな、俺なんか受験必死だったのに」

サキ「そうそう、ガクなんかギリギリから頑張りだして。超不安だったもん」

ガク「その節はお世話になりました」

サキ「いえいえ。一緒の大学入れてなによりでした」

ガク「こう思うと、なんだかんだで腐れ縁だよなぁ、俺ら」

サキ「だねぇ。だってもう6年くらいの付き合いじゃない?」

ガク「あー、もうそんな経つ?」

サキ「小学校卒業しちゃうよ」

ガク「幼馴染みたいなもんだよな」

サキ「あれだね、お互いの結婚式は呼び合わないとだね」

ガク「結婚なぁ」

サキ「なんかないの?浮いた話は」

ガク「いやー、ないねぇ。サキは?」

サキ「…大学入ったら、彼氏ができるものだと思ってた」

ガク「あー」

サキ「いやでもさ、休みの日はガクとモモちゃんと遊ぶことが多いし、課題も多いし、他で遊んでる暇ないんだよね」

ガク「そうなんだよな。下手に今から交流持ってってやるのも面倒くさいし、男友達か二人と遊んでた方が楽しいし」

サキ「それなー」

ガク「大学卒業してもこんな感じなのかね」

サキ「どうかな~、それこそ社会に出たら結婚とか早かったりして」

ガク「なかなか会えなくなったり?」

サキ「そうそう」

ガク「なんとなくモモがいないと集まらなさそうだもんな」

サキ「はは、そんなに頻繁に連絡取り合わなくても平気だもんね」

ガク「まぁ、それはそれで寂しくなるんじゃないですか」

サキ「急な丁寧語。わかるけどね」

ガク「…あのさ」

サキ「ん?」

ガク「卒業してもこうして遊びたいなと思うんですけど」

サキ「え?うん。そうだね?」

ガク「三人でってだけじゃなくて」

サキ「あぁ、皆と?わかる~、長い付き合いになれるといいよね」

ガク「そうじゃなくて」

サキ「なに」

ガク「そうじゃなくて、さ。その、二人で、とか」

サキ「えぇ、なに改まって…別にいいけど。」

ガク「…はーーーーー」

サキ「なになにでっかい溜息吐いて。そんな意気込む内容だった?」

ガク「そうだった。びっくりするぐらい鈍感だった」

サキ「は?」

ガク「とりあえずちゃんと聞いてもらって」

サキ「ちゃんと?聞いてるよ?」

ガク「付き合ってください」

サキ「…は?」

ガク「だから。二人で出かけたいし、これからはもっと連絡取り合いたいです」

サキ「え、えっ?!」

ガク「返事は?」

サキ「いや、その前に、えっ?!」

ガク「なに?」

サキ「えっ、だって、えっ、その…好き、だったの?」

ガク「そう言ってますが」

サキ「ぜん…っぜん気付かなかった」

ガク「多分お前だけだぞ」

サキ「えっ!」

ガク「結構頑張ってたつもりなんだけどなぁ」

サキ「えぇ…ごめん…」

ガク「それは、返事ってこと?」

サキ「いや、そうじゃなくて…気付かなくてごめんってことで…」

ガク「じゃあ、いいってこと?」

サキ「う…」

ガク「そんな迷うこと?」

サキ「び、っくりしてるとこ」

ガク「ウケる」

サキ「ウケんな」

ガク「ほら、モモ来ちゃうよ」

サキ「ぐぅ…」

ガク「なに?」

サキ「ニヤニヤしてるのがムカつく」

ガク「いやいや、結構ドキドキしてるって」

サキ「…まぁ、いい、ですよ?付き合ってあげても」

ガク「お、照れ隠しだ」

サキ「うるさい!」

ガク「うるさくないです~。…じゃあ、これからもよろしくってことで」

サキ「…はい」

 途中から聞いていたモモ、2人の間に顔を出して

モモ「終わりました?」

サキ「きゃあ!!」

ガク「お疲れ」

サキ「え!いつからいたの?!」

モモ「浮いた話がどうこうってとこらへんから」

サキ「結構聞いてる!」

ガク「空気読んでくれてありがとうな」

モモ「ほんとですよ~!も~、いつ告白するんだろうって、超わくわくしてたんですから!」

サキ「えっ、知ってたの?」

モモ「もちろんですよ!一番近くで見てたんですから!」

ガク「一番にバレたよな」

モモ「だって超わかりやすかったんですもん。サキ先輩、鈍感すぎですよ」

サキ「わぁ…なんか恥ずかしい…」

ガク「恥ずかしいのはこっちだけどな。頑張ってたの全部空振りで」

モモ「ほんと、笑えるくらいなんにも伝わってなくて可哀想でしたよ」

サキ「えぇ…」

ガク「ま、でもうまくいったんで。なによりです」

モモ「私も安心しました!」

サキ「うぅ…私だけ置いていかれてる感…」

ガク「当事者なのに」

サキ「だってぇ…」

モモ「ほらほら、2人とも収まるところに収まったことですし!行きましょ!」

ガク「あ、遅刻がチャラになったと思ってるやつだ」

モモ「チャラでーす!先輩がまごまごしてたからチャラになりました〜!」

ガク「どっちのことも刺してくるじゃん」

モモ「私はどっちのことも応援してましたからね!」

ガク「どっちも?」

モモ「ほら!行きますよ!せっかくの記念日ですから!いっぱい楽しみましょ!」

サキ「ふふ。はいはい、行こっか」

ガク「行くか〜」

モモ「ふふーん!恋のキューピッドに感謝の奢りをしてくれてもいいんですからね!」

ガク「調子に乗るなって」

 などと話しながらフェードアウト

***

仲良しな人たちのダラダラと続いていく会話が好きです。
両片想いって、いじらしいですよね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?