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SPドラマキッチン革命第一夜から感じた愛

料理のレシピがどんな風に生まれたのかなんて、これまでの人生で考えたことがありませんでした。

料理をするときに当たり前に使用している便利な計量カップや計量スプーン、レシピ。

そのどれもがある女性のアイデアと努力によって生み出されたと知ることができるだけでこのドラマを見る価値があると思います。

あらすじ

1909(明治42)年、実験と数字が好きな10歳の少女・綾子は、最愛の母・房枝(石田ひかり)を病気で失い、「お母さんのような人を助けたい」と決意。父・茂雄(杉本哲太)の反対を押し切り、東京女子医専に進学する。 1926(大正15)年、女子医専を卒業した綾子(葵わかな)は東京帝大医学部附属医院の内科に入局。しかし男尊女卑の時代、綾子は男性医局員たちに冷遇される日々を送る。担当した脚気患者からも、「担当を男性医師に変えてほしい」と要望を出されてしまう。 失意の綾子を救ったのが、医局の先輩医師・香美昇一(林遣都)だった。彼は人付き合いが苦手で研究ばかりしている“変人”だったが、昇一は「君は、医者として日々やるべきことをやればいい」と綾子を鼓舞する。そんな2人がはじめたのは胚芽米の研究。当時、脚気は有効な治療法が確立されていなかったが、昇一はビタミンB1が多く含まれる胚芽米に光明を見出したのだ。
TVerよりあらすじ

現在の料理を支える努力の姿

主人公の綾子は、幼い頃の母親との死別をきっかけに、女性ながら医師を志します。医局では女性はたった一人。男尊女卑の時代に男性医師から冷遇されながらも懸命に、懸命に患者に向き合う姿が描かれます。

栄養欠乏が原因とされている脚気も、当時は死を招く恐ろしい病気。さまざまな治療法を試みるうちに、綾子は胚芽米に含まれているビタミンB1に着目します。胚芽米を病院食に導入するも、味がまずいことから患者は食べることを拒否……。綾子はのちの夫・昇一とともに胚芽米のおいしい炊き方を工夫していきます。

白米の炊き方さえ、数値化されていない時代。胚芽米を美味しく食べてもらうために、吸水時間や炊飯時間、蒸らす時間などを細かく検証して、最適な炊き方を明らかにしていきます。これがレシピの前身になる”料理カード”の始まりでした。綾子は実験と数字が好きだから、大切な人を亡くし、悲しむ人を減らしたいからと置かれた現状を嘆かずに、懸命に向き合います。自分の興味と大きな目的のために、長時間仮説と検証に向き合っていきます。

好きなこと、大きな目的があるからといって、逆境の中で努力を重ねるのは簡単なことではありません。周りに支えられながら、自分ができることを精一杯やろうとする綾子の姿は、不確かな未来に向けて努力している人の背中を優しく押してくれます。

夫婦の愛の物語

内科医局時代から、綾子と夫・昇一は二人三脚で栄養学の発展へ向けて、歩みを進めます。結婚をした後も、個人として尊重し合う2人の姿はとても美しく、尊いものでした。

綾子を演じた葵わかなさん、昇一を演じた林遣都さんともに、内科医局時代の若々しい恋心の表現、晩年の長く連れ添った夫婦の姿の表現がとても素晴らしかったです。

モデルとなった人物

キッチン革命は史実を元にしたフィクションとなっています。
モデルとなったのは女子栄養大学の創設者・香川綾さんです。

テンポ良く進むストーリーながら、綾子の葛藤と苦労、昇一との愛の物語が丁寧に描かれているスペシャルドラマでした。逆境の中で努力し、現在にも通ずる栄養の基礎を生み出した女性の物語をぜひご覧ください。


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