音楽理論を覚えるとどんなことが出来るようになるのか
「音楽理論」と言ってもいろいろありますが、よく言われる「理論がわからない」とか「理論を勉強しないと」などは「コードネームとコード進行」のことが多いのではないかと思います。
楽器演奏者なら、音符の書かれた楽譜があれば演奏できるけどコードネーム表記ではピアノの伴奏やアドリブソロ演奏などは出来ない、という人や、DTMで作曲するけどコードなどの仕組みはわからず浮かんだフレーズや音に対してそれに合う音を地道に探して選んでいく、という人もいるかと思います。
そういった状況でコード・コード進行について把握していれば出来ることやその選択肢が増えます。練習や採譜、作曲やアレンジの時短やアイデアの引き出しが豊富にもなります。
また理論を覚えるとそれに従ったものしか出来なくなるのではということもよく言われますが、むしろ理論がわかれば意図的にそこから外れたことも出来るので、必ずしも型通りなことしか出来なくなることはありません。(強いて言えば勉強したことにとらわれすぎてそうでなければいけないと思い込むことがなければ、と言えばよいでしょうか)
ということで、基本的には覚えればその分いいことがあることであると思いますが、どうしたらいいのかわからない、何から勉強したらいいのかわからないという人のきっかけになればと思い、「何のために覚えてそれによってこういうことが出来るようになるよ」という点に重点を置いて書いていきたいと思います。
まず「コード」とは
コード(正確にはコードネーム)とは、歌本(古い?明星の付録の・・とか今はそんなのないのかな)とかポップスのギターの譜面とかに書いてあるアルファベットのアレです。CとかAmとかG7とか。
まずはコードが表している音を知っておかないといけません。
Cなら「ドミソ」という和音、Am(エーマイナー)なら「ラドミ」、G7(ジーセブン)なら「ソシレファ」などです。
まずこれを覚えるのが面倒ですwでも覚えないことには仕方ないですね。
コードにはまずアルファベットがCDEFGABの7種類、これがCから順番にドレミファソラシに対応しています。その次にM(メジャー)、m(マイナー)という種類の区別、さらには7(セブンス)やdim(ディミニッシュ)などの分類があります。
「C」(シー)と書かれた場合はCメジャーのことで(M・メジャーは表記の省略されることが多い)「ド・ミ・ソ」です。「Cm」(シーマイナー)なら「ド・ミのフラット(半音下がる)・ソ」です。メジャーに比べて暗い響きがします。
言葉で説明すると長いですが、
アルファベットで書かれた音(そのコードの「ルート」と言います)から上に向かって音を重ねていってできる和音
を「コード」と言います。その重ね方がメジャーやマイナーなどアルファベットに続く部分で説明されています。
メジャーコードとマイナーコードの例です。
メジャーコード
ルートと半音4つ上の音とそこから半音3つ上の音の3和音
マイナーコード
ルートと半音3つ上の音とそこから半音4つ上の音の3和音
真ん中の音が半音高いか低いかでメジャーかマイナーかの区別がされます。音を出してみると響きの違いがわかると思います。
メジャーとマイナーの2種類の3和音の他には「セブンスコード」という4和音が4種類あります。
「セブンスコード」4種類
下の3つの音と一番上の音に分けて見るとわかりやすいです。
・メジャーコード(下3つの和音)の上にさらに半音4つ上の音を足すとM7(メジャーセブンス)
・メジャーコードの上に半音3つ上の音を足すと7(セブンス)
・マイナーコードの上に半音3つ上の音を足すとm7(マイナーセブンス)
・マイナーコードの上に半音4つ上の音を足すとmM7(マイナーメジャーセブンス)
細かくは他にもいろいろな種類がありますが、まずはメジャーとマイナーの2種類の3和音と4種類のセブンスコード(4和音)を覚えればよいと思います。
(他にもありますが、とりあえず後回し。知りたければ調べればすぐ見つかると思います)
これを全ての音の組み合わせで読み取れるようになればバッチリです。ちなみにフラットやシャープが付いた音の上に出来るコードはC#(シーシャープ・メジャー)やE♭m(イーフラット・マイナー)などとなり、ルートから上に積まれる音の積み方は同様となります。
コードネームの数だけ見ると多いかもしれませんが、同じ法則に従って出来ている和音なのである程度覚えていくとわかるようになっていくと思います。
で、それを覚えたらどうなるの?
というところが問題じゃないかと思います。覚えるのが大変なわりにそれによってすぐに何か出来るようになるかどうかなどが挫折の第一歩じゃないでしょうか。
具体的には、楽器演奏者であれば、コード譜を見てそのコードの音を押さえられればメロディーに対して最低限の伴奏も出来ることになります。「ルート」の音を一番低い音で、中音域で和音を鳴らせば、あとはメロディーがあれば曲になります。ピアノ一人で演奏するなら左手でルート音と右手はメロディー、余った部分で和音を弾いたりコードに従ってアルペジオなど弾けばメロディーとコードだけの譜面で曲を演奏できるようになります。
DTMなど作曲に関しては、コードの音を覚えただけですぐに恩恵があるかというとなかなか難しいのですが、それでも自分の曲や既存曲のメロディー以外の部分、ベースやハーモニー(和音)について把握するための手がかりにはなってきます。
例えば浮かんだメロディーに対してベースや和音を付けるときに、そのメロディーに使われている音からそれに合うコードを考えて付けてみる、いくつか試した中で気に入ったものを選んで、今度はそのコードに合わせたベースラインやハモりなど別のパートを作る、ということができます。
さらに理解が深まればひとつのメロディーに対してもいくつかのコードが合うことがわかるので選択肢が増えていきます。さらに「コード進行」を知っていくともっといろいろなことを考えることができるようになります。
というわけで、まずはコードネームの種類とその音を覚えましょう。いきなり丸暗記できなくても、最初は辞書をひくようにその都度調べたりでも大丈夫です。
演奏する人はコードの書いてある楽譜を見て弾いてみる。作曲やDTMでは既存曲に書いてあるコードを鍵盤などで鳴らしてみる、あるいは自分の曲のコードを調べて書き出してみるなどしてみましょう。
コードがわかってきたら、次はそのつながり、「コード進行」を覚えることになります。
これを理解すると、その曲のキー(調)やその曲で使える音、使えるコード、あるいはそこから逸脱するけどかっこいい音や転調などについてわかるようになります。
そうすると、作曲するときにメロディーの続きが浮かばないとか浮かんだ2つのメロディーがうまくつながらない、うまく曲が終われない、などのときにうまく解決することも出来たりします。逆に曲は出来たけど何か平坦な感じがするとか展開がないなどの場合には、転調したりコード進行を練り直して複雑な響きにしたりといったアレンジも可能です。既存曲をコピーしたときの分析やパクりにも役に立ちますね。
今回はこのへんで。次回以降、コード進行について出来るだけ簡単に、必要最低限に書いてみたいと思います。
音楽理論がわかればいろいろ出来そうだけどよくわからない、という人向けに、きっかけがつかめたらもっと楽しく出来るかもしれないと思って書いていますので基本的に無料で公開しています。無料で読んで頂いて構いませんがもし課金的なサポートをしたいという方は、僕の制作物などを購入してもらえたら嬉しいです(500円などからあります)。
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