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Pairsで真剣な出会いを探して出会った人が実は隣のアパートの住人だった話

Tinderはやりもくばっかり。せっかくいい人っぽい人と出会っても、彼女を作らない方針の人だとか既婚者だったりすることが多すぎる。

そんなことから、GWを過ぎたあたりから真剣な出会いを探してPairsを始めてみた。

Tinderよりも丁寧にプロフィールを書いたし、ちゃんと顔が出ている写真を設定した。やりもくが寄ってこないように、彼氏と住んでた部屋を持て余しているなんて書かなかった。

登録したのは金曜日の朝、仕事に行く前。単に気が向いたからやってみただけだけど、その日の夜にはいろいろな人とマッチして、数人からメッセージが送られてきた。

そのうちの一人が彼だった。年齢は29歳で3つ上。ちょっとぼやけた加工をした顔写真を設定していて、感じ取れる雰囲気は『君に届け』の風早くんみたいな爽やさ。個人的にはもう少しサブカルチックな人のほうが好みだけど、悪い人じゃなさそう。そう思って、いいねを返してマッチした。

彼氏と別れたというのはプロフィールに書いていたので、最初はその話になった。4月頃に別れて、二人で住んだアパートに今は一人で暮らしているということを話した。そしたら、「今度、アパートで飲みませんか?」というお誘いが来た。

え、なんか急だな。そんなことを思ったけど、Tinderで色々な出会いを経験しすぎてもう感覚が麻痺している。あやしい気配が少ししたのは否めない。だけど出会いへの欲求が強すぎて、自分を大切にしてくれる誰かが欲しすぎて、仲良くなるにはこのくらいのスピードも必要でしょ、と不信感に蓋をして、本当にうちで一緒に飲むことになった。

約束したその日は土曜日だった。わたしは休みだったので、昼間は一人ドライブに出かけて、雑貨屋やパン屋を巡った。その最中、運転する車でちょうど流れたのがback numberの「思い出せなくなるその日まで」という曲だった。もう何度も聴いてきた曲なのに、恋人と別れたあとの心情を綴ったその歌詞やメロディーと自分の失恋が重なって、思わず涙が溢れてきた。

正直、出会いを探しつつも、わたしはまだ元彼を忘れられずにいた。でもずっとその気持ちを見て見ぬふりをして、新しい出会いがあれば忘れられると信じて、新しい人たちとの報われない会話やデートを重ねてきた。だけど、もう限界だった。そんな気持ちをこの曲によって掘り起こされてしまった。

一人感傷的になっているそんなときに、「20時ごろになるけどいい?」と彼から連絡が来た。やっぱり会うのやめよう。約束しちゃったけどそういうのもう疲れたし、最初から家で飲もうとか言ってくる人なんて絶対に信用できない。そう思って、彼からの連絡に返信せずにいた。

約束の20時に近づいて、彼からまた連絡が入った。「大丈夫そう?」

わたしはすでに帰宅して夕飯を済ませシャワーも浴び、完全に会わないつもりでいた。もう返信もしないつもりだった。でも、お昼のドライブから時間が経ち、感情的になった心が少し落ち着いて、毎夜抱える「さみしい」という気持ちの波がまた押し寄せてきていた。

今書いていて思うけど、自分って本当にメンヘラ。さっきまでの決意はどこにいったんだろう。理性では割り切れない気持ちの不安定さが、別れてからここ数ヶ月、ずっと続いている。

そんなこんなで、うっかり返信してしまった。「連絡遅くなってすみません。ちょっと元彼のこと考えて落ち込んでました」。まだ会ったこともない第三者相手だからこそ、包み隠さずそう言った。そうしたら、「そうだったんですね〜それならなおさら一人でいたら寂しいですよ〜」と返信が来た。

客観的に見たら、完全にやりもくとわかる。でもそのときは、一人さみしくいるよりは誰かといた方がずっと安心できた。誰でもいいってわけじゃないけど、TinderではなくPairsだし、もしかしたら真剣な出会いを求めている人かもしれない。そう思って、約束通り会うことになった。

メッセージで道案内をして、彼がうちのアパートの駐車場までやってきた。わたしが住んでいるアパートは、すごく分かりにくくて、たどり着きにくい場所に建っている。それなのに、やけにスムーズに来れたな、ちらっとそう思ったけど、特に気にも留めずにはじめましての挨拶をした。身長は180cmと長身で、顔もそこそこに好きな感じだった。

そんなこんなで、世間話をしながら一緒にTVを見て、お酒を飲んだ。一人でいるよりも全然ましだ。一人でいるときは、夜の静けさと暗闇にそのまま飲み込まれて、どんより重い空気に押しつぶされそうになる。それを免れられるだけで、会って間違いじゃなかったと思った。

そしてふと彼が「秘密にしておくの得意じゃないから言うんだけど」と切り出した。え、なんだろ、怖い。「おれのアパート、このアパートの隣にある。駐車場の敷地またいで隣なんだよね。窓から見えると思う」

えーーーーー。予想外のカミングアウト。世間狭。Pairsで最初にマッチして会うまで至った人が、ご近所さんなんて。もはや車で来る必要なかったじゃん。歩いて1分の距離。

そんなこんなで、彼が度々うちに遊びに来る仲になった。はじめの頃は付き合えるかもしれないと思ったけど、向こうにはその意思は感じられない。たまにふらっとやってきて、一緒に夜の時間を過ごす。これ以上の関係のことは、お互いに何も言い出さない。さすがに何度も会えば情くらいは湧いてくる。それでも、いずれお互いに相手ができたら自然とフェードアウトするような感じなんだろうな。

元彼と別れてマッチングアプリを始めてから、そんな感じの人間関係ばっかりだし、真剣にPairsを始めても、そんな人の引きが強すぎる。そろそろ自分の出会い運のなさに、嫌気がさしている今日この頃なのでした。

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