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旅のラジオを聴きながら④

今日はツォンスという街へゆく。

 ツォンスは関税の町として、中世からある街だ。2023年は自治権を獲得してから650年の記念の年らしい。入り口には豚と王冠を被った銅像があった。豚は幸せと大きつながりがあるらしい。王冠の人物はわからなかったが、ライン川沿いにあるこの街は少し高めの壁で囲まれており、さながら進撃の巨人のような形で、外は危険、中は安全といった雰囲気を覚えた。

 ツォンスの建物には、パールを曲げて数字が壁に取り付けられていた。火事で建て直したものもあるらしいが、中には1300年代のものもあるなど、歴史を感じた。ドイツでは、規定年数以上の建物は建て替えたり壊すのが禁止されているらしい。たとえ維持費がかかっても、歴史を残すと言うことの大切さを知っているのだろう。日本のとある城にはエレベーターがあるが、それとは違ったベクトルの、当時のままで当時の材料で補修をする形の歴史の残し方だ。そのためか、時間感覚が違い、どこか時が止まっているような気もした。その分、すこし寂しい空気もあるような気がした。

 しかし、ツォンスへ行く道中はとても穏やかで心安らぐものだった。デュッセルドルフ中央駅からニーベンハイムへは田畑が広がる、言ってしまえば田舎を通りって1時間ほど移動した。そこから乗ったバスは地元民しか乗っていないというようなバスで、20人程度の集団が乗ってきてかなりびっくりしていた。

 ツォンスでの観光を終え、デュッセルドルフに帰ることになった。お腹が空いたなと思いながらバスを待ち、来たバスに乗ろうとしたら、なんと行きのバスと帰るバスの運転手が同じだった。チケットを見せる必要もなく、また来たかというような微笑で我々を駅まで送ってくれた。

 デュッセルドルフ中央駅へ着いてからは解散し、自由行動となった。そこで、デュッセルドルフにあるラーメンを食べに行こうとなり、「なにわ」というラーメン屋へ。時間は14時を過ぎているにもかかわらず長蛇の列が並んでいた。

 長いことならんで注文したのはシンプルにしょうゆラーメンとKlein サイズのチャーハン、そしてアサヒスーパードライ。ビール500mlで6€と日本円に換算したくもないが、高いと思う。でも、旅のラジオで聴いた「高い酒を高いまま飲む」という昔の人の話をするという実績解除ができて値段以上に嬉しかった。しょうゆラーメンは日本の味がしつつも、ベースのスープにはヨーロッパの豚肉っぽさがあったように感じ、ここでしか味わえない美味しさに心休まった。そして、ラーメン以上に感激したのがチャーハンだ。久しぶりのお米と卵、しょうゆベースのあのチャーハンはうなり、そして笑ってしまうくらい美味かった。これだけを食べにもう一回来たいくらいだ。やはり日本食が自分の体に合うのだと実感した。食べ終わった後は、日本にいるかのような錯覚までおき、さながら店の内外に国境があるような気までした。

 食事の後はデュッセルドルフ中央駅の本屋へ。ここは漫画があるのだ。是非とも買ってみようと思って、いろいろ物色していると、つい最近出たばかりの新刊やアニメ化がまだされていない作品まで、たくさんあった。ついつい見惚れて1時間ぐらい眺めて、ゆるキャンと五等分の花嫁と、日本の旅行ガイドを興味本意で買った。ドイツ語版の漫画、非常に味があっていい。ぜひ、この本屋にはなかったが押しの本を揃えたいと思った。

 流石に日も暮れてきていたので、家に帰ることにした。電車に乗るのも少し慣れてきて、ホームを間違えたりはしなくなったが、やはりまだ心配でもある。家に帰ったのは18時頃。しかし、家についてふと気がついたら寝てしまっていた。ラーメン屋で呑んだビールに酔って寝落ちしてしまったようだ。でも、こんなことを異国でできるなんてなんで贅沢なんだろう。入れ子構造のようにドイツで日本のものを食べ、飲み、家に帰って寝る。これこそ、デュッセルドルフの楽しみ方ではないか。

 次の日(厳密には今日3月6日だが)は、ようやくこの滞在の本分、語学授業だ。これを書いている今は実はすでに18時で、語学学校は終わっているが、それは次の時にしたいと思う。ようやく、デュッセルドルフに住み始めました。

3月6日ドイツ時間18:03
下宿先の洗濯機が時間上ほぼ使えないので、電車で10分のところにあるコインランドリーにて

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