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ブルーアーカイブを始めたらデミオムハンバーグナポリタンセットに出会わした話

最近、日中でも外気温がとても低い。天気予報をみれば十年に一度の寒波だなんだと騒いでおり、全国的に降雪がみられたりと、かなり気合の入った冬といった印象を覚える。こんな寒い日には、温かいものが恋しくなる。デミグラスソースのたっぷりかかったハンバーグもいい。ふわふわに仕上げられたオムレツも捨てがたい。濃い目の味付けにパセリと黒胡椒をきかせたナポリタンなんか最高じゃないか。どれも好物であるため、どれを食べるべきか迷ってしまう。
そんな話に興味はない? ではアイスブレイクはやめておこう。

1.経緯

1/25の夕方ごろ、ふと思い立ちブルーアーカイブというゲームをインストールした。アプリリースから2周年で始めるならガチで今しかない、みたいなことをVtuberの名取さなさんが仰っていたので、それなら初めてみるかという次第で。

それまでブルーアーカイブに抱いていた印象はストーリーが面白いだとか、性癖の万国博覧会だとか、インターネットをサーフしていて自然に耳に入る程度の情報であって、期待値も何もあったものじゃなかった。

――――あのひとに会うまでは。

2.邂逅

つつがなくチュートリアルを終えて、ガチャを引く段に。どうやら聖園ミカというキャラクターがピックアップ対象らしいことを知る。つまり今の期間においては、他のキャラクターよりも少しだけガチャから出やすいらしい。
この聖園ミカというキャラクターは、なんとなく知っていた。
前述の名取さなさんの配信で、かなり熱を籠めて紹介されていたということもあるし、インターネット上の、ブルーアーカイブを遊んでいる知人が皆こぞって「ミカ貯金」といいながら膨大な量のガチャ用のアイテムをストックしているのを見ていたから。
つまりは人気のあるキャラクターなんだと思い、ほんなら引いてみますかあ、なんて思ってガチャを引き、運のいいことにお迎えすることが叶った。

運命の瞬間。大声(80000dB)でた。

余談だが彼女、めちゃめちゃ強い。

3.物語

ただ可愛い女の子を愛でるだけのゲームではないことにはすぐに気付けた。とにもかくにも、ストーリーの内容が重苦しい。
廃校の危機を脱するためにたった五人の生徒が九億円以上の負債を返済する話(メインストーリーVol.1「対策委員会編」)とか、廃部を免れるために必要な伝説のお宝を探し求めて廃墟に潜り込んだゲーム開発部(どういうこと?)がそこで偶然出会い、仲間になった女の子にとんでもない秘密が隠されていたり(メインストーリーVol.2「時計じかけの花のパヴァーヌ編」)など、実際にプレイしてみると時間を忘れてのめり込んでしまうほど密度が濃く、シナリオには僅かも隙がなく、(これが一番意外だったのだが)展開が徹底してシビアに作り込まれている。
半ば寝食を忘れ、ストーリを進める日がしばらく続いた。そして。

4.エデン条約編

小見出しに書いたメインストーリーVol.3「エデン条約編」が、とても面白かった。まだこれを書いている時点ではVol.4以降に触れていないのだが、あまりにものすごすぎて、その完走を待てなかった。
学園都市キヴォトスにおいて、古くから対立しあっているトリニティとゲヘナの二校間に結ばれる「エデン条約」を中心として不信や憎悪を巻き込んで組み上げられるストーリーであり、まだ未プレイの諸君の為に積極的なネタバレの開陳は控えたい。

ただし以下、聖園ミカについて言及をするため、本編の中身に触れてしまうことになる。気になる方は是非ともエデン条約を完走した後に読んでほしい。

















5.理想

聖園ミカが、想像以上に刺さってしまった。

柔らかいルックスに、お嬢様を地でいく価値観、ティーパーティーというお誂え向きの権威を身に纏った彼女がストーリー上で初めておれの前に姿を現し、話しかけてきたとき、おれは思わず頭を抱えてしまった。このひと、あまりにも可愛すぎる。

それだけだったらまだよかった。見てくれのいい、甘めの格好をした、おちゃらけた性格のキャラクターに終始してくれていたなら。

どれほどはまってしまったかといえば、ミカの顛末を追うため、それだけのためにアプリインストールから五日間でエデン条約編を完走したくらい。
いや、おれの話はこの際どうだっていい。

柔らかいルックスに、お嬢様を地でいく価値観、ティーパーティーというお誂え向きの権威を身に纏い、条約を反故にするためにクーデターを引き起こし、殺害してしまったと思い込んでいたセイアの生存を知り降伏した彼女。

投獄され、分派からも追放され、ティーパーティーの資格も剝奪され、私物を焼き払われ、数限りない罵声を浴びせられ、謝りたい相手に謝罪の一つも言えず、退学処分が色濃くなる。

地位も、権力も、居場所も、友人さえも失った彼女に残されたのは復讐心のみで、しかしそれさえも踏み越えて彼女は祈り歌う。誰でもない、憎しみに駆られた相手のために。彼女を赦すために。

この世で最も美しいスティル。

そして自らが犯した罪の重さの分だけ罰され、果ての果てまで苦しまなければならないと考え詰めていた自分自身の「救われたかった」という奥底にしまいこんでいた心に気付き、赦され、再び迎えられる。

彼女はどこまでも自罰的で、衝動的で、かと思えばわがままで、誰にも赦されるべきでないと自分を戒めながら、誰かに赦してほしいと考えてしまう、そんな矛盾をはらんでいて、面倒くさくて、そのすべてが掛け合わさって、途方もなく愛おしい。

くしゃくしゃな泣き顔さえ美しい。

デミグラスソースのハンバーグ、オムレツ、ナポリタン。
この記事の冒頭で呟いたおれの好物たち。たとえるなら聖園ミカはおれにとって、それら好物の、それぞれの好みの部分がひとところに収斂した、デミオムハンバーグナポリタンセットといっても過言ではない。こんなに理想を詰め合わせたキャラクターがこの世にいたなんて。
彼女のことをかように俗っぽいもので表現するのは気が引けるが、あえてこのように開き直らなければ、内心を巡る激情に身を焼かれてしまうから赦してほしい。

おれはもう、とっくに限界を迎えてるんだ。


最後に。
おれは果報者だ。最初からストーリーは解放されているし、聖園ミカが実装されたタイミングだから戦術の要素としての彼女もすぐ知れたし、絆ストーリーも難なく味わうことができた。

そんな恵まれた身分であることを自覚した上でなお、あえて望みを口にするなら、ブルーアーカイブがリリースされたタイミングで始めたかった。
皆と一緒に聖園ミカと知り合いたかったし、段階的なストーリーの開放に合わせて彼女の苦しみを味わいたかったし、キャラクター実装までの長い期間を耐え抜きたかった。

それはとても贅沢な、わがままなのだろうけど。


ブルーアーカイブで一番好きなBGMを載せて〆とする。

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