ジンクス 1

『告白水平線』

そんな看板の立てられた、ある海岸があった。
夕方、水平線に太陽が沈む神秘的な光景は、永遠の愛を誓うにはもってこいだった。
景観の美しさだけでなく、「海に向かって叫べば告白が成功する」なんてジンクスもあった。そのためか、そこは老若男女問わず様々な人が訪れるだけでなく、デートスポットとしても人気があった。

私もつい先日、パートナーとそこを訪れたばかりだった。煌めく夕陽を優美なエメラルドがゆったりと飲み込んでいく様子は、今まで見たどの景色よりも美しかった。

もちろん、ジンクスのことも知っていた。浜辺には、1人分ほどの小さなステージが、短い階段の先に用意されていた。私はそこに上って、ありったけの気持ちを込めて叫んだ。
2人の明るい未来を描きながら。

翌日、私の家に警察がやってきた。
会社の金を横領したのがバレていた。
でも、2人の将来のためには、どうしても金が必要だったのだ。

ジンクスは所詮、ジンクスだったのか。

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