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WEBディレクターズガイド「#14:請求&#15:運用」

まえがき

こんにちは、今年の6月から約半年にわたり記載してまいりましたWEBディレクターズガイドも本編としては今回が最後のとなりました。自らの経験談も盛り込みながら書いてきましたので、人によっては「こんなやり方はしないけど?」という部分もあったかと思います。

私は、中小企業に部類される制作会社で受託WEBディレクターをやっていましたので目線としては「WEBの事なら結構なんでもやらないといけない部類」に属していたので、広く浅くざざーっと対応をしなければならない事が多くありました。(コードの修正や素材制作なども必要とあればやっていましたね。)

程度はさておき、一通りのフェーズを自ら対応し、時には自らがディレクション&作業者の立ち位置になったりすることもありましたが、そういう経験ってやっぱり今のキャリアにもいい方向で生きているなと心より思います。

さて本題です。

本日は、#14:請求、#15:運用に関するエントリーになりますが、どちらかというと請求の部分、強いて言えばWEBディレクター(時には枠を超えますが)として知っておいた方がいいかなと思うお金の話をしたいと思います。

当シリーズの一番初めの記事に出した図になるのですが、、、

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基本的に、WEB制作は受託(ウォーターフォール/アジャイル)の場合、考え方は異なりますが、見積、料金は人工計算になります。(ASPとかになると基本料金いくら…+オプションでいくらの合算で計算しますが、このケースは趣旨と異なるので割愛します。)

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つまりこういう事です。提示した見積額からプロジェクトメンバーの稼働費を差し引いた金額が粗利額として計上されます。(ここからオフィスの家賃や光熱費、間接部門の人々の人件費などを差し引いて純利益となりますが細かい話は割愛します。)

一般には大体この粗利額は35~45%辺りになることが理想です。中には20%台になることもありましたが、これはプロジェクト内の工程の後戻りや仕様の変更による原価の増大がほぼほぼの原因となります。当然ですが極力この利益額が大いに越したことはありません。我々の給料やボーナスに影響してくるからです。

そしてこの利益のコントロールに最も影響を与えるのが、ディレクターになります。このシリーズでお伝えしてきた通り、お客様との共通認識、制作チームにおけるルール作りなど全体の進行に関わる部分の肝を握っています。「それってディレクターじゃなくってPMの役割でしょ」という声もあると思います。その通りです。一般的にはPMの役割と言っていいと思います。

ですが、ディレクター(=制作現場の旗振り役)とPMまたはプロデューサー(プロジェクト全体の管理)は密接な関わりがありますし、ディレクターの上位キャリアとしてPMまたはプロデューサーがあると言っても過言ではないので知っておいて損はありません。

後どの会社のフォーマットにもあるかと思いますが、管理費(表記は、進行管理費、プロジェクト管理費、営業管理費様々ですが、大体10~20%の割合で見積に含まれる事が多いです。)は何かというと、営業担当がお客様より見積の依頼であったり、ヒアリングに訪問したり、日常メールによるやり取りを行ったりする際の日常業務の経費にあたります。

つまり、このシリーズで仕事を受注するまでに営業担当やディレクターが稼働した分の費用という事になります。

補足ですが諸経費は、お客様のところに行くための電車賃やレンタカー、場合によっては宿泊費など文字通り経費が対象になります。(経費を見積もろうと思うと、あらかじめ何回くらいお客様との打ち合わせが必要になるか、またどれくらいの移動が必要になるか、突発的な宿泊はないか?など考えておく必要があります。)※実際、なんとも言えない!という事もありますけどね。。。

請求

一通りプロジェクトを完遂して、請求書をお客様に対して発行することになるのですが、基本的にはディレクターがこの作業をやる事はほぼありません。営業担当とお客様がネゴネゴして、最終着地金額を決定しつつ請求書は経理担当が発行するケースがほとんどだと思います。

営業目線になりますが気を付けるポイントは、例えば年度末や期変わりなどお客様の予算の出自をハッキリとさせないといけない時です。お客様が日付に関しても細かくなるでしょうし、今年度の予算で支払うか、来年度の予算の一部を前借するか、などで請求書を分けてくれ、と言われることもあります。(更に注文書も更に分ける、などおっしゃるお客様もいますのでなかなかこの時期は経理担当ともxxxx)

お客様も部内で調整したり、稟議を書いたりなどする必要があるのでなるべく早めのタイミングで請求に関しても話が出来ておくことが理想ですが、、、大体どの制作会社も年度末と言うと忙しい時期なのでお金の話が後回しになってしまうのは仕方がないことかもしれませんね…

よって、制作工程が完了した後で「ください」「払えない」と言うやり取りを避けるためにも、仕様変更や機能追加があった場合、制作フェーズ中にしっかりと「追加費用」のコンセンサスを取っておく必要があります(これはディレクターの役割です)。その場合は、最後に最終見積を出してと言われる(言われなくても出しましょう)ので、「最終金額はこれくらいなので」と言う形で制作見積を営業担当に出し、しかるべき金額を頂く流れを作っていきましょう。

ディレクターに関わる事

ではこの中でディレクターに直接関連する事と言えば外部への支払いです。諸々、外部の協力会社に作業を依頼してプロジェクトが終了した際に依頼先から請求書の受領を行います。まぁこれはかなりおろそかにしがちな制作担当者が多いことも否定できないかなと思います。

そもそも論お金のやり取りについては、営業担当やPM、プロデューサーがやっておくべきで、、、みたいな意見もあると思いますが、お金をきちんと払わない、払うけど遅れるという事はどういうことか考えてみて下さい。

ハッキリ言って信用に関わりますし、次から仕事を受けてくれなくなるかもしれません。もっと言うと、他のディレクターなどから信頼が厚い協力会社であった場合、その余波は計り知れません。極端な事を言いますと「どれだけいい提案をしてもお客様にデリバリーできなくなることも起こりえる」からです。

またこの辺のことはきちんと法律でも定められています。協力会社への支払いが滞ると下請代金支払遅延等防止法に抵触するケースもあるのでしっかりと「払うものは払う」「頂くものは頂く」を心がけて実行しましょう。

運用

WEBサイトが公開され、請求、支払も完了したらそこから運用のフェーズに入っていきます。基本、ローンチした後で営業担当が出現するシーンは伝票番号やプロジェクトコード(って僕は呼んでました。プロジェクトに関わる会社的な管理を行うIDの事です)を発行する時くらいかと思います。

後はお客様とディレクターが運営に関して直接やり取りする事が多かったです。打ち合わせには、ディレクターが個別にお客様とアポを取って伺う事もあれば、営業担当がアポを取り一緒に伺うケースもあるかと思います。

いずれにせよ、提案の段階で運用メニューを組んで提案するケースもあれば、制作が完了してからドアノブツール的にアクセスレポートを持っていき、運用業務を頂くこともあるかと思います。この辺は本当にケースがまちまちなので詳細は記載しきれませんが、生まれたWEBサイトを伸ばしていきお客様の事業に如何に貢献できるかは、ディレクターの腕にかかっています。

「何のための」「誰のための」WEBサイトなのか、このことを忘れずにWEBサイトを愛することが出来ればきっと成果は付いてくると思います。

最後に

WEBディレクターズガイドの本編はこれでおしまいです。記事にスキをつけてくださった方、またこのマガジンの読者登録をしてくださった方、見て頂いた方、本当にありがとうございます!今後、WEBディレクションで迷った、悩んだ時に、ほんの1ミリでもこの記事が役に立てばこの上ない幸せです。

noteでシリーズものを書くのは初めてだったので、読みづらいところも多々あったと思いますが、何とかここまでやりきることができました。

残り2回は番外編(用語解説)とあとがきです。宜しければ、ご覧ください。

ありがとうございました!


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