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UXリサーチの手法で自分のミスを削減できるか? の答えは出たのか?

先日こちらの記事でご紹介したように、Web Designing2022年10月号(8月18日発売)にて「Web制作のミス削減とリスクマネジメント」特集を担当しました。機会があったら書店でお手に取ってみてください。「楽天マガジン」の読み放題にも入っています。

この特集に掲載した記事の一つが「UXデザインの手法で自分の『ミス』行動に対策を」というパートです。

個人でできる自分のためのミス対策を探して

この特集の前半で、ミスやリスクに対する「組織的な対策」「体系的なメソッド」を取り上げたので、それに対して「個人でできる自分のためのミス対策」のための記事も入れたいと考えて企画したものでした。

自分のミスって、教訓になることもあるんですけど、その教訓が問題の本質からズレてたりしないか?という問題意識が、多分以前からあったのだと思います。「忘れ物をした」→「次回はチェックをしなさい」で終わってしまい、「じゃあなんでチェックしない(できない)のだろう」まで掘り下げない、みたいな。

そういう人の行動や思考を掘り下げて考えるのに、UXリサーチの手法って向いているんじゃなかろうかと、勝手な印象を持っていたわけです(実践経験のない、本を読んだだけの知識なので、どこかズレているのかもしれません)。

そんな時に目にしたのが、UXリサーチャーの加藤公一さんのツイートでした。

「ユーザーに向き合うために普段から意識していること」のスライド。その中に、「自分の行動・思考を言語化する」という項目がありました。…自分の行動を振り返ることと、UXリサーチ。何かつながる部分があるのではなかろうか。そう思ってしまい、加藤さんに取材依頼のご連絡を差し上げたのでした。

”自分のミスジャーニーマップ”への道

いま振り返ればかなり論理が飛躍していましたね…。加藤さん、だいぶ面食らっていらっしゃったと思います。すみません。でもありがたいことに、まだ企画の段階で相談に乗っていただくことができました。

いろいろとお知恵をお借りして、考えついたのが、「カスタマージャーニーマップで自分の失敗経験を振り返る」というものでした。思考と行動を時系列で整理することで、ミスにつながる行動が見つかるのではないかと考えたのです。

完成したカスタマー(じゃないけど)ジャーニーマップについて加藤さんからアドバイスをいただき、改善ポイントの見つけ方を学ぶ記事にできるのではないかという目論みでした。ちなみにマップの例になったのは私の若かりし頃の大失敗です。

miroを使って作成した”自分のミスジャーニーマップ”。
これを誌面で再現してくれたデザイナーさんにも感謝です。

そして取材へ。”自分のミスジャーニーマップ”を見ながらお話をうかがってみてわかったのは、私がミスの原因行動を見つけようとしていたのに対し、加藤さんは「仕事という体験」をデザインする視点で見てくださっていたことでした。

一つ例を挙げると、

私が気になったのは感情の部分で、「準備できているかな」「これでよかったか」など、不安な状態のまま次のフェーズへ進む傾向が見られることです。ここで感情を持ち上げる施策を考えるといいのではないでしょうか。
Web Designing 2022年10月号 P111

という点です(詳しくはぜひ本誌で〜)。

ミス削減は、自分の「仕事体験」のデザイン

なるほど。ミスの原因探しをしているうちは、まだ全然反省会の域を出ていなかったんですね。ミス削減を「仕事という体験のデザイン」と考える視点に、目から鱗の落ちる思いでした。

これはやはり、素人レベルが見よう見まねでやっても深い洞察を得ることは難しいのかもしれません。UXデザインと同じですね。結論として、「UXリサーチの手法でミス削減」は、素人が自力でやるにはハードルが高い、と考えてよさそうです。しかし、UXリサーチの知見をお持ちの方や、知見を持つ方に手伝ってもらえる場合なら、良い(=ミスを減らせる)「仕事体験」デザインにつながるかもしれませんね。

いらっしゃらなければ……  それでも、試すことはムダではないと思います。時間が経ってから俯瞰した視点で自分のミスを振り返ってみることで、何かしらの発見はきっとあるはずです。昔の大きなミスを放置して古傷になっている方は、試してみると何か気づきがあるかもしれません。

改めまして、突然のお願いにも関わらずここまで企画にお付き合い下さった加藤さんに、厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。

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