つぶつぶ表現: 質的データのアトミックな可視化手法の意図とインタラクティブなツール
「情報可視化入門」の第9章 多変量質的データの表現手法に登場するアトミックな表現は、実際には、仮想的な力学モデルを利用したインタラクティブなツールとして実装されています。「アトミックな表現」については、103ページのColumnで少し解説しました。
先日、本文が黒と青の2色刷りになった話を書きました。
タイタニック号の乗客の、客室クラス、性別、生死を可視化した図9.1(近接配置と色の併用による3変量質的データの表現例)も、元は下のように青とピンクを使用していますが、2色刷りのためにピンクをグレーに置き換えました。
ところで、このような表現を開発するときに考えたことは、棒グラフなどのように、長方形にまとめてしまっては、個々が見えなくなってしまうということです。「生存 ○○人」、「死亡 ●●人」のように表すのは簡単だけども、そもそもは一人一人、名前もあり、個性もあったわけです。そのことを少しでも視覚的に表現できないかと考えて設計したのが、項目それぞれを基本図形で表現する、つまりアトミックな表現手法である「つぶつぶ表現」です。
印刷物ではデータ項目を表すつぶつぶが見えるだけですが、ツール上では、マウスオーバーすることで、項目の属性値(氏名や年齢など)を見ることができます。
ツール上ではラベルと線によって項目の配置を制御できます。ラベルを動かすことで、ラベルに表された属性値をもつ項目がラベルに引き寄せられます。さらに、線を引くことで、引き寄せる力をさえぎることができます。これらを組み合せて、つぶつぶを配置します。YouTubeで公開しているデモ動画も見てください(タイタニック号のデータではなく違う題材を使用しています)。
つぶつぶ表現について2009年に発表した論文は下にあります。
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