地政学(奥山真司/著)

:国際部隊が「劇」なら、地政学は「舞台装置」 国際政治の表面的な部分でなく、その裏にある各国の思惑を理解するには地政学の考えを身に着ける必要があるとの立ち位置で本書は書かれている。

<地政学を知ると見えてくる世界の姿> 地政学の理論では中国外交は必ず失敗する(一帯一路はシーとランド両立)、成功した覇権国をみるに常に近海の制覇から始まる、内陸の大国は領土を奪われないために拡大する宿命ある、自国の権益を守るために地政学的メリットを優先し日本の様に条約を順守するのは少数派、国際社会ではイデオロギーでなく世論でなく軍事力と経済力のリアルなパワーできまる。

<地政学のルール> 基本的な6つの概念:1.地政学を駆使すれば世界をコントロールできる、2.バランス・オブ・パワーは猿山理論に同じ、3.チョーク・ポイントを押さえてルートを支配する、4.ランドパワーとシーパワーの両立は無理、5.ハートランドとシーランドの衝突、6.コントロールに必須の拠点の重要性

<その他心に残ったポイント>

ロシアから北方領土が日本に返還されない理由:防衛、北極海ルート

沖縄米軍基地の(米国にとっての)重要性:世界の都市をミサイルの射程にできる位置。 

中華帝国を目指す習近平:明(17世紀)の後は上海も満州も香港も奪われた。1842年アヘン戦争、1894年日清戦争。100年間反植民地化で屈辱の時代。

イギリスのEU離脱:そもそもイギリスの伝統的な戦略はユーラシアと一定の距離を保つ事。

ギリシャ(ユーロ危機の原因)を救ったのは地政学的な優位性:ロシアけん制の為に、地中海の東端して地政学的に重要であるギリシャをEUは見捨てられない。

新型コロナ後の世界:国境封鎖に伴い一時的にグローバリズムが減退し、グローバリズムが土台であるシーパワーが弱まり国内で経済を大きく回せる中国が台頭。シーパワー勢力が戻ってくるには5~10年かかる想定。


<自分の感想> コロナ禍により各国が国境封鎖を行い更に国際機関の力が弱くなっているが、逆に各国が他国に頼らずに自律する為に最新の技術を使って社会システムの効率化が実現される流れないなっている様にも思えます。となると、自国益の為に領土・権力争いを延々と続ける世界、つまり資本主義的な世界が今後継続するべきなのか否か疑問を抱きました。

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