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帰国子女の中学受験(2022年)その⑤志望校選び

中高一貫校の利点は、高校受験に邪魔されず、豊かな思春期を謳歌できることにある。また、先取り学習が行われるため、大学受験に有利という意見もあるが、これはよくわからない。それよりも、多感な中等教育の時期に、1つの学校で勉強や文化・スポーツ活動に集中できる、そうした舞台を娘に提供したかったというのが、我が家の中学受験をはじめた理由だ。
そして、東京には数多くの中高一貫校があり、帰国生の受入れに積極的な学校も存在する。実際、何校かは見学に行き、オンライン説明会も数多く受講したが、いい学校は本当に多い。帰国生向けの説明会等で聞いた内容をもとに、帰国枠を有する学校をいくつか分類すると以下のようになる。

<英語が重要となる難関校>
 渋渋、渋幕、頌栄、洗足(A方式)、広尾、広尾小石川、三田国際、攻玉社、学芸国際

<英・国・算の高い総合力が必要となる難関校>
 慶応湘南藤沢、洗足(B方式)、聖光、市川、白百合、都市大付属

<帰国生に人気のある中堅校>
 大妻、かえつ有明、開智日本橋、都市大等々力 等

<帰国生に人気のある学校>
 文化学園大学杉並、宝仙理数インター、ドルトン、公文国際、都立白鴎、
 成蹊、桐光、桐蔭、東京女学館、山脇、カリタス、共立、江戸川女子、
 大妻中野、昭和女子大付属、実践、富士見丘 等

ここに挙げたのは一部の学校であり、帰国枠がある学校は他にも多数ある。グローバル教育の重要性はますます高まっており、帰国生を確保したい学校が多いということだろう。したがって、中学受験を始めた動機に立ち返り、偏差値や進学実績にとらわれなければ、豊富な選択肢の中からどこか縁のある学校は必ずあると考えていた。

特定の学校に入れ込み過ぎるのを避け、幅広く志望校を考えたいと思っていたが、実際には本番が近づくにつれ、いくつかの学校に強い憧れを持つようなる。そして、娘はハードな勉強を進めていくうちに、それらの学校に対する思いを強め、真の志望校となっていく。我が家では、人気や評判だけで志望校を決めるのではなく、大事にすべき「軸」を家族で話し合い、その「軸」に沿って志望校を絞り込んでいった。具体的には、①英語教育の充実度、②共学か女子校か、③受験科目の3つであった。

①英語教育の充実度

グローバル教育に力を入れている学校では、帰国生向けに、英語レベルに応じた「取出し授業」を用意しているところが多数ある。但し、英語以外の授業は一般生と同じクラスで過ごすことになる。渋渋、渋幕、頌栄、洗足といったところでは、「取出し授業」にてかなり高度な英語力を身につけることができ、かつ、英語以外の科目は高偏差値の一般生とともに学んでいく。

一方、英語だけではなく、その他の科目も英語で授業を行う「イマージョン教育」を行っている学校がある。学校内にインターナショナルクラスが設けられており、帰国生が多く在籍している。そしてこのインターナショナルクラスに、英語に関心や強みを持つ一般生が加わる格好となる。広尾学園や三田国際といったところが有名だ。また、最近ではバカロレア教育、デュアルディプロマコースといった海外の教育プログラムを導入している学校もある。

娘は、中・高でも英語を更に伸ばし、自分の武器にしたいという気持ちが強かったため、「イマージョン教育」、「バカロレア、デュアルディプロマコース」がある学校を志望することになった。私や妻にとっては未知の領域であるため、悩むところではあったが、娘の意向を尊重することとした。

②共学か女子校か

当初、共学か女子校かは「軸」になるとは考えていなかったが、娘にとっては非常に重要な「軸」となる。最初に頌栄女子という人気校を娘と見学に行き、洗練された雰囲気に私自身は非常に感化されたのだが、娘の反応はいまひとつだった。その後、かえつ有明という帰国生に人気の共学校を見学に行ったときには、娘は目を輝かせ、校舎の様子を隅々まで見ていた。かえつ有明の見学会では、授業中の様子を見ることができたが、娘は校内の雰囲気がロンドンの現地校に近いと感じたようだ。この見学会が決定打となり、娘はグローバル教育に力を入れる共学校を志望するようになり、私と妻は従うしかない状況となった。

③受験科目

最後の「軸」は受験科目である。前述のとおり、娘は英語・国語はまずまずであったが、算数は厳しい状況にあった。時間をかければ克服できる見込みもあったが、限られた時間をどこにかけるか、我が家は6年生の夏頃には「得意を伸ばす」ことを選んでいた。受験勉強はただでさえ厳しい。せめて「好き」や「得意」と感じる勉強をさせてあげたいと考えた。
結果、受験科目として「英語重視」の学校を優先した。一方、一般受験の偏差値が本人の実力と比べて高すぎるところは外した。仮に英語重視の試験でなんとか受かったとしても、入学した後に国語や数学で一般生にまったくついていけないのではどうしようもない。実際の受験科目は英語中心としつつ、国語・算数のレベルがある程度の範囲に収まるところを選ぶようにした。

志望校への思い


このようにして我が家は、第一志望群3校、併願校4校(一部、女子校含む)を定め、受験本番に入っていった。上述の3つの軸には、偏差値や進学実績を含んでいないものの、潜在的には意識していたと思う。親としては併願校を含めた7校のなかで縁があれば、どこでもいいと本気で思っていたが、娘にとっては第一志望群と併願校の違いは大きかったようだ。

帰国生の受験では、面接があることが多い。面接の準備に際しては、「志望動機」を考えることになる。志望動機は自分の言葉(英語)で語れないといけないため、娘は自分なりに学校のHPや資料を見て一生懸命考え、志望動機をまとめた。この作業を経て、娘は第一志望群への思いを強めていった。

娘が第一志望群の学校に思いを強めるにつれ、親としてもなんとかしたいと思うようになる。受かりやすいところも含めた併願校を用意しても、本人にとっての本命はあくまで第一志望群の3校であった。娘が自分の意思で志望校を選び、こだわりを持ち始めたことについては、逞しさを感じる一方、万が一、縁がなかった時のことも頭をよぎるようになる。

こうして受験本番に突入していった。

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