吾輩は童貞である。魔法使いになる気はまだ無い。⑥合コン編

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これは魔法使い化の未来に抗う、アラサー童貞の記録である。


筆者スペック

身長:160後半
体重:58kg
体脂肪率:多分16~17%くらい
学歴:私立文系
職業:税金関係
スポーツ経験:バドミントン、水泳
趣味:映画鑑賞(ハリウッドからクソ映画まで)
フェチ:指と尻

合コンは恋愛の場として適しているか否か

街コンから一週間が経ち、ついに合コン当日。
なんかその辺のイタリアンっぽい店の長い卓に一同は集まった。
幹事のプログラマーが全員自分の人脈から連れてきていたので、ほぼ全員がお互いに初めましてからスタートである。

結論から言うと、女の子とは何もなかったが、得るものはあった。

あ?「誰もゲットできてないのに何を得たっていうんだよ」って?

「街コン以上にコスパが悪い」という結論をだよ。

きょうび合コンとか流行らねえだろ!と思ってるそこの童貞!
行ったことないなら行ってみるといいぞ。でも一回で充分だぞ。

では、メンバーの紹介をしつつ振り返っていこう。

合コンレポート①女の子の章

エントリーNo.1 アムウェイ女(32)

街コンで俺を合コンに誘った張本人のプログラマー。幹事。

小柄、おしゃれ、ルックスはまあ普通の小綺麗にしてる30代って感じ。

ガチの陽キャで、「バーで話したら友達」という、「タイマン張ったらダチ」を越える友達判定の緩さを持つ女。他の男からは人脈が広すぎてアムウェイを疑われていた。

無駄に広い交友関係を持ち、あらゆるところからあらゆるタイプの人間を引っ張ってこれる能力はすごいと思う。これくらい広く浅く他人と人づきあいするのが苦でないなら人生楽しいのかもな。俺は狭く深いタイプだけど。

「君が弟みたいだからつい面倒見たくなっちゃうんだよね~」と言っていたが、何なんだよテメエはよ。俺は姉を作りに来たわけじゃねえ。

この女、後の記事にも出てくるので覚えておいてほしい。

エントリーNo.2 脳味噌をディズニーランドに置いてきた女(23)

参加者の中で一番若く、可愛い”系”の女の子。新卒。

ガッツリ洋画派で唯一俺と趣味が合う子。

「歳はちょっと下なような気もするけど、これなら話しやすいやん!」と思ったのもつかの間。

男「みんなの好みのタイプを言っていこうよ!」

女「うーん…私のワガママを聞いてくれる人!」

男「えっ…なにそれwお姫様扱いしてほしいみたいな?」

女「うん!」

その瞬間、俺を含む男性陣全員が「うわっ…無いわ…」という空気を出した。この子はいつ夢から醒めるんだろうか…。

まあ、ハナっから俺たち全員に興味が無かっただけかもしれんが。

エントリーNo.3 渋谷ホームグラウンダー(25)

渋谷で働いているらしい。

キャピキャピしてないしちゃんと話も展開してくれるし、悪い印象はなかった。ただまあ元も子もないことを言うと全く好みではなかった。すまん!!

エントリーNo.4 ハイスペビューティー(26)

院卒。"自室"に犬がいる。金持ってんね~

とにかく綺麗な子という印象で、細身でスタイルも良く、派手めのネイルもゴテゴテしすぎておらず絶妙なバランスで調和が取れていた。美人というよりは”良い女”という表現が彼女には相応しいだろう。

どんなにクソつまんねえ話でもニコニコ聞く、他の女の子をちゃんと立てて仲良くしようとする、相手の喜ぶ回答を的確にぶっこんでくるなど、全ての行動が流れるように自然で、かつ嫌味が無い。なんだこいつ。

当然のように一番人気というか、この子以外選択肢が存在しえなかった。

まあ、俺が狙うとしても彼女だったろう。

だが悲しいかな、俺は所詮自己肯定感も自己評価も終わりし童貞。

隙が無さすぎて好きになれなかったのだ。終わり!閉廷!!

エントリーNo.5 カビゴン(25)

いねむりポケモン。

1にちに たべものを 400キロ たべないと きが すまない。
たべおわると ねむってしまう。

合コンレポート②男の章

「いや、男の紹介なんて要らんやろ!」と思ったそこのお前。

合コンの真の意義は出会いじゃねえ。敵情視察だ。
俺たちのようなインドア野郎には、世の中にはどんな男がいてどんな風に女と乳繰り合ってるのかを知る機会が必要なんだよ。
男同士が友達であっても同じことだ。

エントリーNo.6 税理士法違反(30)

フリーランスだというので、「確定申告はどうしてるのか?」と聞いたところ、「大手企業の経理の友達に丸投げしている」と回答。

おまわりさーん!!こいつら捕まえてくださーい!!
税理士法で定められた税理士業の独占業務をこいつらは侵害していまーす!!!!!!!!!!!!!!!!

タダだったとしてもアウトなんだよそれ。
だからバカは脱サラなんかしてないで大人しく社畜やっとけっつってんだろバカなんだから(私情)

かなり別の理由で俺はこいつが嫌いなのだが、出会いの場にいる男という観点でもバッドを押してやりたい。

仕事に関することとはいえ使用済みのパンティーの話を女性陣相手に自慢げに語る、好きな女優の話をしているときに「メリル・ストリープ」と趣旨のズレた回答をする(いやまあ役者としては好きだよ俺も。ちなみに俺の好みはアン・ハサウェイっすね)など、とにかく自分の話したいことを話したい、自分を見てほしいという意識が先行していて、マジで不快な男だった。

ひょっとして俺も多弁なだけでこんな感じなのかもな…。
人のふり見てなんとやら。

エントリーNo.7 偽ゆゆうた(30)

俺の隣の席の男。

好みのタイプは「理性的な話し合いができる子」らしい。お前何があった。

横顔がめちゃくちゃ「ゆゆうた」に似ていて、酒が回った俺は笑いを堪えるのに大変だった。

とにかくゆゆうたに似ている。本当にゆゆうたに似てたんだよ!!

エントリーNo.8 自称Fラン卒(31)

高身長でスポーティで爽やかな男。
フットサルやってそうな奴ってなんで見た目でそれと分かるんだろうな?

俺が女だったらこの人を狙うんじゃないかな。

ただ、日東駒専はFランじゃないと思うんだけど…そういう卑下の仕方はどこで誰を敵に回すか分からないからやめた方がいいんじゃないだろうか…。

女の子がそれ以下の大学出てたらどうするんだろうかコイツは。

エントリーNo.9 チャラ男(32)

高身長で見るからに百戦錬磨で女の子食い散らかしまくってそうな男。
自称Fラン野郎の職場の先輩らしい。

序盤に、俺が合コンで得たものは、「街コン以上にコスパが悪い」という結論と書いたが、実はもう一つある。

コイツと出会えたことだ。

街コン編で俺と行動を共にした友人のヤリチンは、単なるヤリチンであってチャラ男ではない。俺の周りに、コイツ以上に女の子と接する能力に長けた男は存在しないだろう。アムウェイ女は彼を遊び人と呼んでいた。

彼との出会いは収穫だった。

反面教師として?否。

まあ、続きを読んでほしい。

合コンレポート③感想戦の章

合コンは2時間そこそこでお開きとなったが、人脈オバケのアムウェイ女は、次なる飲み会があったらしく夜の街に消えていった。

男も女も、それぞれの帰路に散っていく。
誰も誰とも個人的に何かをするノリではなかった。

そんな中、チャラ男と自称Fランだけはタバコを吸うためその場に留まっていた。

──そういや、この人らとは席が遠くて話してないなぁ。

帰りがけにせめて挨拶だけでもしておこうと思い立ち、ほろ酔いの俺は二人に声をかけた。

俺「お疲れっス!どんなもんスか、今日の収穫は?」
チ「いやいやいや無い無い無いwほぼブスしかいなかったでしょw」
F「チャラ男さん…アムウェイさんに期待しても意味ないっすよ…(どうも無理矢理連れてこられたらしい)」
チ「まあ、ハイスペちゃんは別だけどねwヤるならあの子一択かなw」
俺「あーやっぱりっスかwあの子綺麗でしたよねw」

なんやかんやで感想戦が始まり、会話が盛り上がっていく。

チ「てかさ、こんなところじゃなんだから、俺らで飲み直さない?」
F「いいっすよ!ケツアナゴ(筆者)くんもいいですよね?」
俺「いいんスか?!是非ご一緒させてくださいよ!(酔っ払い)」
チ「あーそうだ、今からでも電話してハイスペちゃん呼ぼうぜ!隣の席だった渋谷ホームグラウンダーちゃんも一緒に呼べばイケるっしょ!」

チャラ男の鶴の一声で、二次会開催が決定したのだった。

俺はその時点でハイスペビューティーは俺の手の届く相手ではないと判断していたが、単に女の子と酒が飲みたかったのと、何よりチャラ男の行く末が気になったので流れに乗ることにした。

合コンレポート④二次会の章

ハイスペと渋谷を誘って二軒目の居酒屋で落ち合う約束をし、その居酒屋へ向かう男三人。

チャラ男は少し物足りなさそうな様子だった。

チ「うーん、女の子の数が足りねえな」
俺「まあ、3対2ですよねこのままだと」
チ「…」

すると、チャラ男は俺と自称Fランに何も言わず、

少し前を歩く若い女の子二人に突如ナンパを始めた。

──ファッ!?

見ず知らずの他人にナンパなど、童貞の辞書には入っていない。
全く考慮外の行動に出たチャラ男に、俺は目をそらした。
芸人がスベるのを見ていられない俺は、ナンパを袖にされる男を見るのも嫌だったからだ。

自称Fランは「まーたやってるよこの人は…」という感じで苦笑している。

女の子たちは、高身長雰囲気イケメンのチャラ男からの怒涛のナンパ術に満更でもなさそうだった。結果的には断られたわけだが。

チ「うーん、ごめん!ダメだったわw」
F「慣れてんな~この人」
俺「いや…ホント、何やってんスか急に!?」
チ「だってほら、成功すれば儲けもんじゃない?ケツアナゴくんもやってみたら?」
俺「ぜっったい無理っス…そういうの好きじゃないし。しかも童貞っスよ?俺。そういうノリは無理っスよ」
チ&F「──ファッ!?」

なんか溢れ出る強者男性オーラにあてられ、思わず童貞COしてしまった俺と、驚愕する二人。

どうせまた弄られるんやろうな…と、この先の展開を勝手に妄想したが、

チャラ男たちの反応は、これまでの奴らとは全く違うものだった。

チ「ケツアナゴくん、それは自覚と場数が足りないだけだよ」
俺「え?」
チ「そんなにカッコよくて彼女いないとか普通ありえないから。今君が童貞なのは場数を踏んでなさすぎて自己評価が低いからだって。君は自分が何者か自覚が足りていないんだよ」
F「ずっと自信なさげな感じが溢れてるんですよね。それはよくないと思いますよ」
俺「うーん…そんなもんなんスかね…」
チ「ケツアナゴくん。失敗の痛みは試行回数で薄められるんだぞ。さっきのナンパ失敗にしたって、俺にとっては日常茶飯事だし。今さらなんとも思わねえや。場数よ場数」

20余年童貞の陰キャが、そう簡単に恋愛戦場をクリアできるはずもない。
童貞が苦しんでいることは、過去に非童貞が乗り越えたものである。

それは前から分かっていたはずなのに、出会いの場に出かければ簡単に成果が得られるんじゃないかと思っている部分があって、でもやっぱり自分なんかには無理だと後ろを向いている部分もあって。けど、でも、いや、しかし…。

そういった甘えと卑屈さが同居した俺の心の奥底を、

数時間前まで赤の他人だったチャラ男に、俺は暴かれてしまったのだ。

”失敗の痛みは試行回数で薄められる”。

目の前で実例を見せられては、もはやぐうの音も出はしない。

……

………

二次会は楽しかった。ハイスペが帰ろうとした段階で「おい、もう用済みだ。撤収するぞ」というアイコンタクトをクズども三人で交わしたことも含めて楽しかった。久しぶりだったな、ああいうゲスな男のノリ。

合コンはコスパが悪い

上述の通りだ。

そもそも男も女も、「この場で恋人を作ろう!」という熱量は、街コンやマチアプより遥かに劣るのではないかと感じた。

一回行ったくらいで訳知り顔で語るなという話だが、合コンは街コン以上にコスパが悪いと俺は思う。

だがそれは、合コンを"恋愛の場"として捉えた場合の話だ。

俺は大事なことを見落としていた。

自分と異なる性質の人間と会い、見て、話し、考えを聞ける、というのはなかなか無いことだと思うし、そうそう積極的にしようと思うことでもない。

相手が男であるか女であるかに関わらず、色々な人間と関わるということは、大なり小なり良い影響を自分に与えうるのではないか?

「こういう人になりたい」なのか、

「こんな人にはなりたくない」なのかは分からないが、

そういう良い巡りあわせがあるのなら、たとえ異性をゲットできなくても、合コンに参加する意義は、多少なりともあると言えよう。
街コンにああいうチャラ男は絶対来ないだろうし。

こうして、チャラ男に大事なことを教えられた俺は、場数を踏むべく次なる戦場へ向かうのだった。

これは魔法使い化の未来に抗う、アラサー童貞の記録である。

…あ、別にチャラ男にもナンパ師にもなりたくないっすよ。


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