何も起こらない4連休の過ごし方<後編>

タイトルの通りの4連休の記録、前編にひきつづき後編である。前半2日は料理をしたり漫画を読んだりDVDを観たりした。何も面白いことはないが、これはこれで幸せといえば幸せである。

後半は、いよいよ連休のビッグイベント「注文していた眼鏡を受け取りに行く」がある。何度も言うが、これが連休のビッグイベントである。

◎3日目:2020年7月25日(土)

11時ごろ起床。今度こそ「王様のブランチみよう」とテレビをつける。ちゃんと土曜日が来ていて安心する。

なんだかたくさん夢を見て疲れている。夢を見すぎて疲れるなんてあまりない。それほど物騒な夢はなかった気がする。朧げに覚えているのは、K-POPグループ「NCT」のメンバーであるマークに「マークの本名って○○なんだね」(○○=たけしとかそういう、純日本人な名前)と言ったことである。彼は韓国系のカナダ人である。

今日はついに連休最大の用事「注文していた眼鏡を受け取りに行く」があるが、14時以降の受取のため時間がある。朝ごはんにトーストとコーヒーをとってから、本棚を物色し、菊池亜希子が編集長をつとめるムック本「マッシュ」のvol.2,4,10を引っ張り出してきて眺める。

「マッシュ」は学生のときに出会い、どはまりしたムック本だ。毎号テーマが決まっていて、私が持っているのは「男子」「バカ」「HOME」。テーマに合わせて服・雑貨・インテリア・人・趣味など、ツボなカルチャーがつまっている。

vol.2(特集:「男子」)のある対談記事を読んでいて、菊池さんの対談相手の「『男子』と『おじさん』の違いは、諦めていないこと。思春期的な憧れとか反抗心とか、色んな感情が併発しているのはとても健全」という内容の発言がすとんと心におさまる。そしてそれに対する菊池さんの返しが「その健全な感じが"男子って、いいな"の正体かも」。どちらの言うこともすごくわかる。

13時すぎくらい、前日の残りのじゃがいも味噌汁と、でんぶを具にして海苔を巻いたおにぎりを食べる。雨が時々どばーっと滝のように降るため、雨雲レーダーを見て雲がいない時間帯を狙って外に出る。

ショッピングモールの中に入っている眼鏡屋。モールは連休の割に人が少ない。服やら色々見出すと止まらないため、眼鏡屋に直行する。眼鏡屋の店員さんは全員眼鏡で黒髪で同じ服を着ているため、ポケモンセンターのジョーイさんを彷彿とさせる。

ジョーイさんのひとりに声をかけ、眼鏡を受け取る。その場で元々かけていた眼鏡をはずし、新しい方をかけてみる。度を調整してもらったのだが、あまりによく見えて一瞬くらっとする。「大丈夫そうですか」と聞かれたので「大丈夫そうです」と返し、店を後にする。

実によく見える。実に快適である。気分が上がり、和菓子屋で豆大福を見つけてつい買ってしまった。さきほど「マッシュ」で豆大福の特集を見て、ちょうど久しぶりに食べたいと思っていた。

すっかり心が満たされたため、他はどこの店にも入らず、ショッピングモールを出て帰途につく。「柔軟剤が切れそうなんだった」と思い立ちドラッグストアに行く。レノアの「リラックスアロマの香り」を使っているのだが、なぜか最近詰め替え用がお店に置いておらず、仕方なく「フレッシュグリーンの香り」を新しく買う。お試しが置いてないため香りは想像である。

夕食は1日目にクリームパスタを作ったときの残りにクリームと牛乳を足し、じゃがいも1個丸々使ったポテトグラタンである。レタスと卵もあるためサラダも用意する。白ワインとパンもつけて、ありものの割には良さげな夕食になる。これほど「洋」な夕食を、隅田川の花火大会をテレビで観ながら食べる。

就寝。しかし、連日の寝すぎとその割に疲れることをしていないため、全く眠気が起きない。

活字の力を借りようと思い、向田邦子のエッセイ「夜中の薔薇」を読む。「こんにゃく・トーチカ」という回で「さりげない日常、食べたり着たりすること、人を愛すること、そういった生きること全部に対する「はにかみ」のようなものを形にする都会派は少数派」という文があり、その視点いいなあと感じる。日常の「はにかみ」を味わえる人生をただ送りたいと思う。

しかし眠れない。困った。気づけば午前3時を過ぎる。ラジオを聴いたり、空調を調整してみたりして、恐らく眠りについたのは午前4時過ぎだったかと思う。近頃の日の出は午前4時半過ぎだというから、ほぼ夜明けである。

連休3日目にして、時差ぼけのような生活である。


◎4日目:2020年7月26日(日)
 
14時くらいに起きる。遅いように感じるかもしれないが、朝4時に寝たのだとしたら普通である。いよいよ明日からの社会復帰が危うい。

トーストとコーヒーで朝昼ごはんをとる。連休も最終日となり、ビッグイベントも終え、1日目に借りてきてまだ観てないDVD「ダージリン急行」を観ることくらいしかやることがない。

ひとまず連休3日目の日記を書く。「ほんと何もないな」と思う。それを終えると起きたばかりのはずなのにもう15時を過ぎていて、マスクをしてスーパーに出かける。チーズとバターが安かったのでカゴに入れ、牛乳を入れたところで「乳製品ばっかり」と呟く。

「ダージリン急行」のお供にチャイラテでも作るか、そのためのおやつでも買おう。そう思い立ちコンビニに寄ってワッフルを買う。

帰宅してすぐにチャイラテを作る。牛乳3割水1割で煮出し、砂糖を少しときな粉を加える。このきな粉を入れるのがコツである。茶葉だけに頼らず、気の合うきな粉の力を借りる。

ワッフルをトースターで軽く温める。バターの香りが部屋に広がる。チャイラテも美味しくできて、映画を観る前から幸せである。映画が始まって3分でそれらを完食する。

「ダージリン急行」はもう何回も観ている映画である。個性豊かな3兄弟が裏切ったり仲良くなったりしながら母親に会いに行くロードムービー。兄弟っていいなー、インドの文化好きだなー、と毎回同じ感想を抱く映画である。

付属のショートムービーでナタリーポートマンが出ていたり、名前は知らないけど脇役でインド映画では主役を張るような俳優が出ていたりと、何気に豪華な出演者にも注目である。

観終わると夕食のキムチチゲを作る。キムチチゲを作る時のコツは、味噌を入れることである。水っぽくならずコクが出る。あとじゃがいもも合う。

白いごはんと韓国のりもつけて、Netflixの韓国ドラマ「サイコだけど大丈夫」の最新話を観ながら食べる。さっきまでインドにいたのに今度は韓国にいる気分である。

ごはんが終わり、ドラマも観終わり、あとはこれを書き終えて風呂に入って寝るだけである。ここで4連休を振り返ると、毎日昼まで寝て、スーパー行ったり料理したり何か観たり本読んだりするだけだった。特に何も起こらない。予想的中の連休である。

寝るだけ、とさらっと書いたが、本日14時起床の私は果たして寝られるだろうか。せめて夜明け前には眠りにつけたらいいと思う。



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