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【2023年編】もし今年バンテリンドームにテラスがあったらHRは何本増える?~フェンス直撃を数えて検証~

バンテリンドームが本拠地じゃなかったらどんな選手になっていたんだろうか

そう思わずにはいられない2人の選手が今年、ユニフォームを脱いだ。

福田永将 通算84本塁打
堂上直倫 通算34本塁打

二人とも怪我やライバル達と向き合いながら自分のスタイルを確立し、17年間のプロ生活を全うした。
本当にありがとうの気持ちでいっぱいだ。
しかし、本拠地がバンテリンドームでなければ違う道を辿っていたのでないか。心のどこかでそう思う。

ドラゴンズの本拠地 バンテリンドームは12球団の本拠地の中で最も本塁打が出にくい魔境なのは周知の通り。

データ引用:nf3 -Baseball Data House-
データで楽しむプロ野球

アーチスト福田・地元の大スター堂上にとってもこの青い壁は高かった。
そしてその壁は現在進行形で選手たちの前にそびえ立つ。

「テラスがあったらな」
ドラゴンズファンの口癖だ。

そんな「テラスがあったら」という世界線を検証してみようという本企画。

フェンス際の打球を数え、それをホームランとした場合いったい誰が何本ホームランを増やすのか。
チームのホームランはどれだけ増えるのか。
そしてドラゴンズは損するのか得するのか。


昨年同じ検証を行いました。
こちらサッとでいいので目を通して今回のnoteと比較してみるとより面白くなると思います。



今回の調査もテラス設置前のフェアゾーンの大きさが現在のバンテリンドームとほぼ同じであるPayPayドームのテラスがそのままバンテリンドームに設置されたと仮定。

球場の大きさを比較できるYAKYUJO.comさんのこちらのサイトにて、バンテリンドームとPayPayドームを比較すれば下記の基準は概ね同意していただけるのではないでしょうか。

【集計手順】
対象:バンテリンドームで行われた試合
スポナビ 野球速報アプリの結果欄に
フェンス直撃
フェンスギリギリ
フェンス激突(選手名)
と記載があった打球をJSPORTSオンデマンド(一部巨人戦は録画)を使い該当する打球を見る。
基準と照らし合わせてテラスがあればホームランになるか確認し集計。

基準は以下の通り。
ライト線、レフト線→フェンスの上部3分の1に当たればホームラン(目安は329ft表示より上)

右中間、ライトオーバー、左中間、レフトオーバー→フェンスに当たればホームラン
捕球された場合や打球が地面に落ちた場合はその捕球位置、落ちた位置が"完全"にウォーニングゾーン内ならホームラン

センター(広告がない部分)→上部3分の1に当たればホームラン

それでは本編参りましょう。

もし今年バンテリンドームに「ホームランテラス」があったら

総収支

注目の総収支はドラゴンズが10本得するという結果。

SNSでよく目にする「テラスを作っても被弾が増えるだけだ」という反対意見に対して完全否定できるとまではいきませんが、"必ずしも被弾が増えるわけではない"ということは言えるのではないでしょうか。

シーズン通して70試合で54本のホームランを飲み込む青い壁。
1.3試合に1本のホームランが消えるバンテリンドームはまさに魔境です。

少し基準が違いますが昨年の結果は30-29で合計59本でした。
つまりバンテリンドームにテラスを設置すると敵味方合わせて50~60本くらいは増えるということが予測できます。
これは過去テラスができた3例と照らし合わせても大きく的を外してないように見えます。

本塁打増選手ランキング

当然ですが試合数が多い分ドラゴンズの選手がTOP3。
石川昂・ビシエド・木下と強打者が並ぶ。

他球団の選手に目を向けるとT佐藤輝・Ys村上・De佐野など中長距離打者が2本増。
1本増のメンツをみてもほとんどが中長距離打者が多く、テラスを設置しても巧打タイプの本塁打増はあまり期待できないかもしれません。

テラス補正後のバンテリンドーム打者成績

打席数上位10人のみ掲載

テラスがあった場合、石川昂・ビシエドがほぼ今年の細川ペースで本塁打を伸ばす。

今季HR%のリーグ平均が約2%なので主要打者のほとんどはバンテリンドームに限っても平均を越える数字を残せることが予測できます。

逆にテラスなしで平均を越えた今季の細川のすごさが際立ちます。

HR%が信頼できるようになるサンプルサイズは170打席と言われています。達していない打者は参考程度にお願いします。

被本塁打増投手ランキング

こちらも試合数が多い分ドラゴンズの選手が上位を独占…かと思いきや他球団の選手も目立つ結果。
昨年同様上田・松葉・柳はバンテリンに助けられていることがわかりました。

テラス補正後のバンテリンドーム投手成績

対戦打者数上位15人のみ掲載

対戦打者が多い分小笠原の被弾が増えるのは自然。
しかし2位の髙橋宏斗の被弾増は0
さらに松山に関しては元々の被弾が0に加えテラス有りでも0
つまり今季バンテリンドームでフェンス際にすら打球を打たれてないことになります。
これは彼の圧倒的な奪三振能力によるものでしょう。

前述のとおりリーグ平均のHR%は約2%。
田島・勝野らリリーフ陣は大きく越え、小笠原・松葉は1%上昇。

これを打者の伸びと比較してどう捉えるかは個人の好みによって変わるかと思います。

被HR%が信頼できるようになるサンプルサイズは野手と大きく違い1320打席と言われています。
参考程度にお願いします。


チーム別収支(本塁打数)

ドラゴンズ以外のチーム別収支はこちら。
少し基準が違いますが、昨年トントンだったドラゴンズは+10。
逆に+2だった広島は-4。
今年バンテリンの加護を最も受けたのは広島、ベスト被害者は中日ということになりました。

広島は昨年、逆にベスト被害者球団だったので1シーズン単位でみるのはブレが大きいということは頭に入れておきたいです。
(パークファクターも数年かけて見るということを考えれば当たり前かもしれません)

チーム別収支(得失点)

昨年の調査では勝敗への影響を載せていましたが
①運が絡む要素が多すぎる
②試合展開によって投手リレーも変わってくる
というのを考慮すると、結果を出してもあまり信用できないなと思いました。

代わりに試合展開に影響されず、打者と投手の関係のみで完結するHR%の増減を載せることにしました。


ここまで「テラスがあったらどうなっていたか」という世界線を見ていきました。
昨年の調査に続き「ドラゴンズに有利になるだろう」という結果。
しかしこのまま今回の結果を鵜吞みにするのは問題があります。

①全打球は確認できてない問題
今回の検証はスポナビアプリから対象を検出→該当場面の映像を観る→基準に合致するか確認
という流れで集計をしました。

しかし試合を観ていると最初に設けた基準に合致する打球なのにスポナビの結果欄に【フェンスギリギリ】と記載がないためカウントできなかったことがありました。

それをカウントしてしまえばいいのですが、私自身も全ての試合、全ての打球を確認するのは難しいです。(ラクしてごめんね)
どこで中立性を担保するかと考えた時スポナビアプリの力を頼ることにしました。

②そもそも最初に設けた基準に合致した打球が全てホームランになるのかという問題。
【フェンスギリギリ】の打球は落下点でホームランか否かを決めるという基準です。しかし打球の軌道までは考えには入っていません。
「基準に合致してるけどライナー性の打球だから入ってないのかもしれないな」と思う打球もいくつかありました。

さらにその基準も「PayPayドームのテラスがそのまま設置されたらどうなるか」という視点から筆者が勝手に想像して設定したもの。
主観が入っていると批判されても文句は言えません。

③中日ドラゴンズにホームランテラスを作るお金がない問題
少し角度が違いますが、ドラゴンズファンにはおなじみの「うちにそんなもの作るカネどこにあんねん」という調査したとて意味なくない?問題。


そこで上記3つの問題を解決するのが
「フェンスに線を引っ張った場合を調査する」という案です。
フェンスに線を引き、その線を越えたらホームラン判定になるいわゆる「エンゼルスタジアム式」の話です。

※実例
大谷翔平のフェンスは越えなかったものの線を越えたためHRになった打球

新たな基準はこちら

【集計手順】
対象:バンテリンドームで行われた試合
スポナビ 野球速報アプリにて結果欄に
フェンス直撃
と記載があった打球をJSPORTSオンデマンド(一部巨人戦は録画)を使い該当打球を見る。
基準と照らし合わせてテラスがあればホームランになるか確認し集計。

フェンス直撃した地点が広告部分より上の場合カウント。
広告を越えそうでも外野手が捕球すればもちろんノーカウント。

この新基準により
①の全打球確認できない問題は、スポナビアプリ側も広告より上に当たるくらいの打球はさすがに「フェンス直撃」と記載するので漏れがない。(と信じたい)

②のボールの軌道問題は、フェンスに当たった瞬間ホームランなので気にする必要がない。
広告を越えたらホームランという基準も非常に客観的に判断できると思います。

③のカネ問題は、線を引っ張るお金も渋るならもうお手上げです。

最初に挙げた3つの問題点はクリア。ほぼ主観は排除できている思います。

それではここからは第2部。
テラスを作るより本数は減りそうですが一体どれだけ影響がるのか見ていきましょう。

もし今年バンテリンドームのフェンスが「エンゼルスタジアム式」なら

総収支

「テラス版」に続きこちらでもドラゴンズが得する結果。
総数は54本→32本に。

テラスからかなり基準を厳しくしても30本以上増えるという事実。
やはりバンテリンは魔境。

本塁打増選手ランキング

ビシエド・福永は本数変わらず。石川昂は3本減らす。
のあの1本も変わらず。
基準を厳しくしたためビジターチームは1本も増えないチームも出てきました。

Q:なんで基準が厳しくなったのにBs茶野が増えたの?
A:これは参考にしたPayPayドームのフェンスを見ていただければわかりますが、ライト線とレフト線はテラス設置前とほぼ高さが変わっていません。
テラスの基準が329ft表示より上に当たらないとHR増判定にカウントしないのはそのためです。
故に329ft表示より広告が低い位置にあるのでその部分だけ厳しさが逆転しています。
Bs茶野の打球はライト線の打球で広告は越えたのでこちらのランキングにはカウント。
しかし329ft表示は越えなかったのでテラスのランキングにはカウントしませんでした。

書いてて思ったけど、筆者の自己満の範疇だからそんなに気にしないで。

映像があったので見たい方はこちらで(0:36~)
※該当箇所から再生されます

被本塁打増投手ランキング

2本以上減ったのが小笠原・柳・C九里。
詳しく調べると何かしらの相関は出るかもしれませんが、ぱっと見速球派だから技巧派だから少ないとかそのようなものは見当たりませんでした。
(こういう関係あるんじゃない?と思う方、是非ともコメントやXの返信、引用ポストで教えてください)

Q:なんで基準が厳しくなったのにYs高橋の被HRが増えたの?
A:上のBs茶野と同じ理由です。
こっちは探したけど公式動画なかった。
JSPORTSオンデマンドも視聴期限切れでみられないと思う。
でも映像見た時は確認できたから信じて。

チーム別収支

テラスに続きこちらでも中日が1位。
助けられたのが広島というのも変わらず。

試合数が少ないビジターチームは球場が狭くなっても誤差の範囲なのかもしれません

補足

バンテリンドームがホームランが出にくい原因はその広さとフェンスの高さにあるのは言うまでもないです。
が、もう一つ。
マウンドの高さ・硬さも関係しているのではないかとも言われています。

選手・OBが番組やYouTubeなどで「バンテリンは投げやすい」と口をそろえて語っています。
さらに札幌ドームは同じ広さかつバンテリンよりフェンスが高いにもかかわらず、HRパークファクターはバンテリンドームのほうが低いです。
マウンドの性質はホームランの出にくさに影響を与えているという説は否定できません。(パークファクターの数値は理論上本拠地チームの打撃力に左右されない)

そんな中オールスターブレイクの期間にマウンドの土を削るというアクションを起こしました。

ここでホームランの出やすさは変わったのかというと
マウンドを削る前は44試合30HR(0.68本/1試合)。
削ってからは26試合22HR(0.84本/1試合)。

結果は削った後のほうが本塁打は出やすくはなっていますが、結論付けるのはまだ早いのかなとも思います。
・単に前半戦HRが出なさすぎた分収束した可能性。
・対戦相手の偏り、投手の偏りがある。
など中立性を欠いたデータですが、影響を及ぼした可能性がないとは言い切れません。

来季以降からのパークファクターはより注目してみたほうがいいかもしれません。

ホームランが増が目的なら、手段は別にテラスじゃなくてもいいのですから。

まとめ

再三申し上げてますが「球場を狭くするとドラゴンズの被弾"だけ"が増える論」は、必ずしもそうではないということは反対派の方々に認識してほしい事です。

逆にテラス or フェンスに線を引くのに賛成派の方々。
今回の調査で+10でしたが逆に-10に振れる可能性も十分ありえます。
実際過去に楽天はテラス導入年に前年比マイナスを出しています

それでもテラスを設置したり、フェンスに線を引くべきだと思いますか?


今季バンテリンドームで生まれたホームランは相手チーム含めて52本。
もちろんリーグで最も少ない球場です。
球場ごとの本塁打数に今回の調査の数字を並べてみましょう。

これを見る限りテラス設置で100本を越えて平均並みの球場。
線を引くなら80本台で少し本塁打が出にくい球場
になります。

今の異次元レベルの打低球場から並レベルの打低球場にするのは線を引くだけで実現可能ということです。


おわりに

テラス議論が巻き起こってから数年が経ち、ドラゴンズファンには「もうテラスつかないんじゃないか」そんな気持ちが蔓延してるように見えます。
そんな中「線を引くだけなら」という案を目にするようになり、それなら実現可能性は高いなと思い検証を追加しました。
長々と素人の妄想に付き合っていただきありがとうございました。

お察しのとおり私は賛成派です。

ホームランが出にくい球場という個性があってもいいですが、バンテリンドームはあまりにも出なさすぎます。
もちろん球場だけのせいではないことは重々承知です。

しかしもうあの青い壁を見て絶望し、打撃スタイルを変える選手は見たくありません。
そして今飲み込まれそうになる選手が何人もいます。
せめて「圧倒的に出にくい球場」から「少し出にくい球場」に変えてあげてもいいんじゃないでしょうか。

本当に楽しみな野手の逸材がそろってきています。
石川昂・鵜飼・ブライト・福元・細川
全員テラスがあれば30本以上狙えるポテンシャルを持っていると思います。
もちろん裏を返せば投手事情が大変になるということ。
動くリスクもあれば動かないリスクもあります。


今回のnoteが何の信用度もない素人が書いた1シーズンのみのサンプルが少ない調査と言われれば確かにそうです。
ツッコミどころはあると思うので、ぜひ感想とともに教えてください。

ドラゴンズファン同士が「バンテリンドームのホームラン出にくい問題」を話す時、このnoteが議論を面白くしてくれたと少しでも思っていただけるなら嬉しいです。

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最後まで読んでいただきありがとうございました。
また次回のnoteでお会いしましょう。

データ参照:プロ野球-スポーツナビ

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