見出し画像

「指導」ではなく「問いかけ」で人は伸びる!

サッカー少年団で指導8年目のだっちょです。

私は、子ども達に「コーチの言われたことを、言われたとおりにやっている選手は伸びないよ」って言っています。

なぜなら、本当に伸びていく選手というのは、自分で疑問や問題点を感じ取り、どうすればいいか答えを模索しながら、主体的にサッカーを取り組む選手だからです。

だからこそ指導者は、子ども達に対して指導をしすぎてはいけない。

指導者がなすべきことは「指導」ではなく「問いかけ」だと考えいるからです。

「なぜなのか」と問うことで、選手自身が自分の頭で考えることを促すことこそが大切だからです。

指導者からの問いに対して選手が考え、そこに問題点やヒントを自らの力で見つけ出したときにはじめて、その選手が飛躍的に伸びていく可能性が見えてくるのです。

人間は人からの評価のなかで生きている

会社だろうとサッカーチームだろうと、人が集まる組織では、上司からの評価に対して不満を持つ人が出てくるものです。

「オレはこんなにやっているのに、正しく評価されていない」そんな不満を口にする人もいます。

これは自己評価と他者からの評価に差があるからです。人間は大前提として、自己愛で生きているものだから、当然、自己評価は甘くなりがちです。

また、「オレはこんなに結果を出している」と本人が思っていても、上司が求めているものがその部分ではなく、違う評価ポイントにあることだってあります。

たとえば、サッカーでのディフェンスの部分は上がってきたが、試合では使われない選手がいたとします。

本人は、「オレは正当に評価されていない」と不満を持っている。しかし実際は、必ず改善してほしいと与えた攻撃面の修正点が克服できていなく、使われないということもあります。

こういった場合、選手は「守ってる」ということを評価するが、監督は違う視点で見ているのだから、評価が異なってくるのは当たり前なのです。

そもそも、私たちは自己評価で生きているのだろうか?他者からの評価で生きているのだろうか?私は、人とは他者からの評価のなかで生きていると思っています。

人間は一人では決して生きられない。誰かとどこかでつながり、なんらかの人とのかかわりのなかで生きている。要するに、自分という人間は他者からの評価のなかで生きざるを得ない。

自分はこういう人間だ!とプライドを持ち、譲れない部分を持つことも大切です。しかし、事実として自分が自分自身のことを評価しているように、他者が同じように、あなたのことを見ているという保証はないということです。

このことを知れば、「オレはこんなにやっているのに、なぜ評価されないんだ」などと不満を言うよりも、評価する人間は何を望んでいるのか、そして評価を上げるためには、どうすればいいのかを考えるほうが、自分の人生を切り拓いていく近道だと思うからです。

できないイライラ感をぶつけ、教え子に去られて気づいたこと

私はサッカーの指導で子ども達に、怒ったり、叱ったり絶対にしません。

保護者から「うちの子、やる気がなかったら厳しく叱ってください」と数多く言われます。

なので私は、「小学生の指導に怒鳴ったり、叱ったりは必要ないんですよ!」と言うと保護者の方は「えっ!どうやったら、怒らないでできるのでしょうか?」と質問されます。

実は私も指導者1年目のときに、ある一人の子に対して、怒りの感情をぶつけてしまい、その子が退団してしまったことがありました。

当時は結果を求めすぎ、この子があともう少し、伸びてくれれば強豪チームにも勝てるという考えだけが、強かったからです。

非常にショックでした。

「オレがあの子のためだと思って叱ったのに、それは伝わっていなかった。これはどういうことだ?」

「叱っても許されるのは、やっぱり親子しかだめなのか」

本当に様々なことを考えました。

怒ったり、叱られたりして伸びるんなら、誰でも伸びるだろうと。自分も小学生のとき、当たり前のように、怒られたり、叱られたりしたけど、イヤイヤやっていたなと思い出しました。

そこで、まず、怒ったり、叱るのをやめました。

怒ったり、叱ったりしない指導方法はないかと調べたら、「スター・ペアレンティング」という子育てのスキル学ぶプログラムに出会ったのがきっかけです。

特に1歳から10歳までに効果的といわれていて、5つのスキル・ポイントがあります。

① 問題を避ける

② よい行動を見つける

③ 子どもの感情を認める

④ 限度を設ける

⑤ 新しいスキルを教える

最初のポイントになっている「問題を避ける」とは。

たとえば、大事なものを子どもの手の届くところに置くと、間違いなく子どもはさわります。

そうすると親は叱ります。

「それは大事だからさわっちゃダメよ」と。でも問題は手の届くところにあることです。それを絶対さわれないところに置くだけで、親も叱らなくて済むし、子どもも叱られない。

「良い行動を見つける」はとにかく子どものいいプレーに重きを置く。

「感情を認める」は気持ちに共感するです。子どもが泣いたら「泣かないの!」ではなく「悲しかったんだね」と共感し思いを聞き出す。

「限度を設ける」はナカマの失敗を否定しないです。「なにやってんだよ!」って心に思うことは仕方がないこと。けど言ったことで「良い方向には進むかな?」と子どもたちに問いかけるです。

最後のスキルの「新しいスキルを教える」とは、たとえば、準備が遅い子がいます。出かけるのがいつも遅くなる。お母さんは「早く準備しなさい!」と叱りがちです。

「毎日、早く早くってそればかり言ってます」と反省しているお母さんが、よくいらっしゃいます。その場合、「支度に時間がかかるから、前の夜に自分が着る服とか準備してみたらどう?」というように、やり方を提案しあげる。

子どもも方法がわかると、言われなくてもやるようになります。

これはスポーツの指導と、一緒なのかもしれないと思いました。

たとえば、攻守の切り替えのとき、キーパーがパントキックをする瞬間に背中をボールに向けて走ってしまう。

コーチが「おまえはいつもどこ見ているんだっ!」と叱る。でも子どもは、ぶつかっちゃうんじゃないか、転ぶんじゃないかと首を後ろに向けて走ることに、恐怖感があるのです。

ここは叱らずに、「ボールを見ながら走ることと、ボールを見ないで走ることと、どちらがいいかな?」と問いかける。大事なポイントを理解することが大切です。

次に技術の問題を解決してあげること。もっと、早くポジションに戻ると、どうかな?そんなふうにボールを見ながら走る方法を教えると解決できるかもしれません。

世の中に正解はないから「問いかける」

たいていの問題について「こうしたらいい」「こうすべきだ」ということが決まっていると、決めつけてはいないでしょうか?

まだ自分がしらないだけで、正しいことは決まっているから、誰かにそれを教えてもらえればいいと思っていませんか?

この世の中で遭遇する、問題のほとんどが正解はありません。

たとえば、サッカーの試合で一回、勝ったからってその後、ず~っと勝ち続けるチームなんかいないからです。

だからといって、何もしなくては、負け続けます。そうならないためにも、子ども達に「問いかけて」考えさせることが必要です。

そのために、まずは「どう聞くか」です。

たとえば、

「応援して欲しい人に、どんな応援をしてほしいですか?」

答えを言ってきたら、相手の話は最後まで聞ききる。表情豊かに反応する。興味をもって「問いかける」です。

「それで?」「どうなったの?」「本人はどうしたいんだろう?」「ほかには?」...

などといった問いかけを通じて、子どもに問題点やヒントを気づかることを心がけました。

そして、子どものなかで問題意識が高まり、壁にぶつかったときに、そこではじめて「コーチの場合は、こうやってその壁を乗り超えたよ」「○○の問題に対してこうやった」と、自分自身や他の選手の例などを、まじえながら指導しています。

しかし、そういったときでも私は常に、自分の考えを述べたあとは最後に、「~と私はおもうよ」と付け加えています。

私の考えが絶対に正しいわけではない。自分にとっては「正解」だったとしても、他の人や、他の状況では違うこともある。別のアプローチで、結果を出すこともあるのではないでしょうか。

最後に

だからこそ、指導者の考えを押しつけてはいけない。あくまでも教えられたことを判断し、自分のために役立てるかどうかを決めるのは、子ども自身なのです。

そういった主体性を奪わないためにも、「~と私は思うが、君はどう思う?」といった問いかけが必要だと思います。

それでは、また。







この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?