見出し画像

畦道

畦道に細い陽が差し、ふんわりと熱気球があがった。それを私は気づいていたが、気球にむかって手をふる子どもたちには、ひとりひとり叱っていった。すると、それはいけないよ、と父が言い、老いた手で河のなかをまさぐった。私はそのときのことを深く味わいなおし、星座の輝く宇宙船と熱気球がおなじ高さに浮かんでいるのを、空想のなかで楽しんでいる。空に浮かぶものはどれもが美しい。そして美しいからこそ守りたくなる。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?