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レディオヘッド:減圧症からニセモノの街まで、魂を揺さぶるサウンドの秘密


バンドの紹介


レディオヘッドは1991年に活動を始め、1992年にメジャーデビューを果たしたイギリスのロックバンドです。メンバーは主に5人で、パブリックスクールと呼ばれるイギリスの私立学校や王立学校で出会いました。ファーストアルバムで人気を得て、セカンド、サードアルバムで不動の人気を確立しました。フォースアルバムでは今までのサウンドを捨て、機械音のようなエレクトロニカ音楽に傾倒し、再度成功を収めました。2019年にはロックの殿堂入りも果たした影響力のあるバンドです。

私はこのバンドにとても支えられ、影響を受けました。特に印象に残っている曲が「Black Star」、「Fake Plastic Trees」、「Creep」です。

「Black Star」について


この曲を初めて聞いたとき、ギターやドラムのリズムに乗せて、ボーカルであるトム・ヨークの優しさを含んだ透き通った高音の歌声がとても印象的でした。この曲は1995年にセカンドアルバム『The Bends』に収録されました。アルバム名の「The Bends」は「減圧症」という意味で、気圧の高い場所から低い場所に急に移動したときに麻痺や痙攣を引き起こす症状を指します。

デビューアルバム『Pablo Honey』の成功と「Creep」という出世作にもかかわらず、バンドメンバーたちはアルバムの出来栄えに満足していませんでした。ライブでファンに求められることに対するプレッシャーや、成功によって環境が大きく変わったことにより、メンバーたちはこの状況を「減圧症」と例え、このタイトルにしたと考えられます。

この曲の歌詞は、主人公に訪れる不幸をブラックスターという存在のないもののせいにして気を楽に保とうとしている話を表しています。「What are we coming to?」「What are we gonna do?」といったフレーズが繰り返され、未来に対する不安が語られています。それに続いて「Blame it on the black star」とあり、未来の不安をブラックスターのせいにしようとする気持ちが感じられます。
https://youtu.be/d7lbzUUXj0k?si=LFZsgjMocf1J7n49

「Fake Plastic Trees」について


「Fake Plastic Trees」もセカンドアルバム『The Bends』に収録されています。この曲のテーマは「偽物の世界となっても変わることのない人間の強さ」です。楽曲の舞台のモチーフとされた街は、ロンドンに位置する「カナリーワーフ」という金融都市です。

1940年代まで商業を目的とした埠頭として栄えたカナリーワーフは、1980年代に近代化により輸送方法が変化し、港の役目を終えました。その後、再開発地区として計画されましたが、巨大なフロアを持つビルの建設が可能であったため、街は金融企業の大規模なビルで建ち並ぶようになりました。この曲はそんな変わり果てて目的を失い、人間性が欠けた街を表現しています。

歌詞の序盤に出てくる「fake Chinese rubber plant」や「fake plastic earth」は、街の自然さが消え、偽物で溢れていることを示しています。タイトルの「Fake Plastic Trees」は街のビルを指していると考えられます。楽曲には、偽物の街で生きる「彼」と「彼女」、「彼女」に対する愛情を捨てきれない「僕」が登場します。歌詞からは、「彼」は女の子のために医者をしていたが、決して抗えない存在(病気や街の変化?)の登場により、希望と目的を失い、ニセモノの街に馴染んでしまったことがわかります。
https://youtu.be/n5h0qHwNrHk?si=QDm0vBzqNvaPBWI9

「Creep」について


最後に紹介するのは、1993年に発表されたデビューアルバム『Pablo Honey』に収録された「Creep」です。意外なことに、このアルバムと楽曲はバンドのメンバーからは評価が低く、失敗作と語られています。しかし、当時の音楽シーンで流行していたグランジサウンドに逆らうようなイギリスの陰気なサウンドは、ロックのジャンルに大きな影響を与えました。タイトルの「Creep」は気味の悪い人、変人などのネガティブな意味です。

この曲は、魅力的な人と何の能力もない自分との現実の差を表現しています。曲のサビの前までは、気になる女性の魅力やその人が特別な存在であることが語られ、サビの直前になるとギターの荒々しいカッティング音が入り、自分は気持ち悪いからこの場にいるべきじゃないということが歌われます。歌詞の和訳を調べたとき、陰気さと同時に主人公の謙遜や彼女に対する純粋な思いが感じられました。
https://youtu.be/XFkzRNyygfk?si=XFHAeqI51J98KRZl

まとめ


レディオヘッドの楽曲は、ネガティブな部分も支えてくれる貴重な存在です。特に思春期にはネガティブな感情が生まれがちですが、レディオヘッドはその気持ちに寄り添い、手助けしてくれます。落ち込んだときには、レディオヘッドの楽曲が支えとなり、不安や困難に対する一筋の希望を与えてくれるでしょう。

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