見出し画像

年寄りのオナラは・・・悩ましい

 年甲斐もなく、会うとドキドキしてしまう女性がいる。自分の娘よりもはるかに若い、まだ30代くらいと思われ、独特の色香は新婚さんだろう。べつに付き合いたいとかというものではなく、顔を見ることができれば一日中幸せな気分でいられる。

 その女性とチョットだけ話せる機会があり、途中で立ち上がろうとした瞬間、なんと「プップ~」と出てしまった。去年辺りから多くなり、充分に気を付けていたのに、何ともいただけない大失態をやらかした。赤面というよりも、もう泣きながら走って帰りたかったくらいだ。

 義母姉妹の一番上(当時80代前半くらい)の家に行くと、立ったり座ったり動くたびに「プープー」してた。いくら親戚になってるとはいえ、何とも平然と人前で、下品で不快で顔を見るだけでも嫌だった。自宅だけではなく、妻が義母と一緒に外食に誘い出すと、店の中でも何事もないような平然とした顔でオナラをする。こういう人間には成りたくないと思っていたのに、充分に気を付けていたのに、久米の仙人でさえ・・・だから仕方ないのかな。


 思えば、老人の放屁はけっこう多い。とくに椅子から立つときや、畳に座った状態から腰を上げた時に出てしまう。お尻を突き出す形が良くないのだろうか。一瞬の気の緩みだ、ではないような。

 オナラが多いのは腸内細菌の影響とか、一日に5回以上は多いとか言われている。それは正常な成人であり、老人になるとかなり増えてくる。老化による肛門周辺の括約筋の緩みだけの問題ではなく、食事の摂り方など口腔内の問題もあるようだ。

 先の義母の姉は総入れ歯で、外食の時などは面倒だと外していた。食事の席で平気で入れ歯を出しておくというのも、気持ち悪く食欲も失せるものだが。この外した状態でも、実に良く肉を食べていた。「クチャクチャ」気持ち悪い音を立てながら、歯が無いのに歯茎だけで噛み切れるらしい。妻がその事を聞いたら、手で摘まんでズルズルと口の中から引きずり出して見せた。「オエッ」って声を出してやったら、妻が見せるもんじゃないと言っていたが・・・、あの時の光景はいつまでも消えない。でも、焼き肉は意外と細かく切れていた。どうやら入れ歯が無くても噛み切れるものらしい。

 同年代の人が、やはり動くたびにオナラをしていた。この人も若い頃から上だか下だかが、総入れ歯だと言ってた。聞いた話では噛み合わせが上手くできてないと、咀嚼中に空気を含ませ、飲んでしまうらしい。去年の夏頃に奥歯が縦に割れて、部分入れ歯にした。たしかにその頃からオナラが出るようになったと思う。部分入れ歯はかなり良く出来ていて、まったく違和感はないし、硬い物はダメだが、自分の歯のように噛める。それでも出る回数が増えたということは、噛み合わせとかは大事なのかもしれない。

 臭わないように腸内環境を整えるために、カスピ海ヨーグルトを毎日取るようにしてる。空気を飲み込まないように、少しずつシッカリと噛み、すぐに横にならずに飲み込んだ空気を出すようにしてる。丹田を意識して、肛門を閉めるように腹式呼吸をしてる。それでも老化による筋肉の緩みはどうしようもない。

 あの失敗以来、気になるあの人を見かけても近づけない。家でも出さないように訓練をしてるのに、肛門括約筋の緩みは老化現象で仕方ないと自分に言い聞かせてる。気付くたびに締めるようにしてるのに、一向に改善されない。カスピ海ヨーグルトも、ヨーグルト製造器を購入して、難消化性デキストリンを加えて毎日食べているのに、相変わらずオナラの量が減らず、匂いまである。気にすれば気にするほど・・・、ダメだ。


 この「オナラ」をコントロールできないと、年寄りの仲間になってしまう。頭の髪の毛が薄いとか、白髪が目立つといっても、「髪が薄いって、男らしくて良いわよ。シラガっていうよりもグレイヘアーとかプラチナカラーって言って、けっこう女性は好きよ。頼れる大人の男性っていう感じかな」と言ってくれる。

 我が娘に言わせれば、「男を騙す殺し文句だね」だって。どう見てもジイさんだよ、だって。たしかにそうだが、ジイさんに「オナラ」がプラスされたら、もう完璧なジジイだよな。それでも抗いたいのだ。

 今後間違っても付き合うことなど無いし、40歳以上もの年齢差があれば、ただの老いたジイさんでしかないだろう。それでも気になる人の前では、かなり気になる。解らないだろうなあ、この気持ちは。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?