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人生、綴ってみた 【結婚・前編】 #12

 辛くて悲しくて、苦しい

 いっそのこと
 私も父のように気が狂ってしまいたい
 そうすれば、こんなに苦しまなくてすむ

 子供を失うことは地獄をさまようこと
 何を見ても泣けてくる

 子供を連れた家族連れ
 お父さんがいてお母さんがいて子供がいる
 それを目にするのすら
 心が張り裂けそうになる

 いつまでたっても
 ベビーグッズのチラシがポストに届く
 友達からは
 出産報告の写真入りハガキが届く
 テレビをつければ芸能人が言う
「別に〜、
 欲しくはなかったんですけど〜、 
 出来たから〜、
 まっ、いっかな〜、って思って〜」

 そんな些細なことで泣いたり、怒ったり
 ドロドロした感情が
 まるでトグロを巻いたヘビのように
 私を締めつけていた

 苦しい

 苦しい

 もがけばもがくほど苦しい

 結婚すれば子供がいて当たり前
 どうしてそんなふうに思っていたのだろう
 当たり前のことが当たり前ではなくて
 もがき苦しんで
 何度も何度も地獄に落ちていく

 四十九日が近づいた頃
 お参りするのに
 名前があった方がいいということになり
 旦那が名前をつけてくれた

 天使と書いて、「たかし」

 それを聞いた瞬間、私の母は号泣した

 お寺の住職さんが言った

「死産も流産も、
 子供にとっては修行だよ。

 妊娠がわかった時の
 お父さん、お母さんの喜び、
 自分がいなくなった時の悲しみ、
 そういう感情を学びとるために
 この世に来たんだよ。

 こんなに悲しいことだって、
 子供にとっては必要な修行なのだから」

 この悲しみに耐えること
 それが私の修行なのだろうか

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