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言葉の語尾にヌを付けるとパリっぽくなる パートOne


はじめに

どうも、じゃみです。

何故か急に、マリアンヌ・フェイスフルの80年代以降の作品が聴きたくなったので2パートに分けてnoteを書こうかと思います。ですが、パート2は今のところ未定とさせてください。

パート1
Strange Weather (1987)
A Secret Life (1995)
Vagabond Ways (1999)
Kissin Time (2002)
Before the Poison (2005)

それではどうぞ。

1.Strange Weather [1987]

[コラボレーター:ハル・ウィルナー]

本作はハル・ウィルナーのプロデュースのもと、マリアンヌが長年のヘロイン依存症から立ち直った1986年に録音されたアルバムになります。本作の特徴はなんと言ってもハル・ウィルナーの独特のアプローチによるアルバム制作にあります。彼はギタリストにビル・フリゼールやピアノにドクター・ジョン等、多様なミュージシャンを結集させ、トム・ウェイツやケルト音楽、クラシックなブルースナンバーなど、様々なジャンルの楽曲を彼女のために再解釈しました。その結果、時間を超えた感覚と現代的な感覚が融合した独特の音楽世界が生み出されています。本作のタイトルにもなっている、トム・ウェイツの楽曲、Strange Weatherのナンバーはその後マリアンヌのライヴでの定番曲とにもなっています。また本作における彼女の歌唱ですが、一聴するとかすれたようにも聴こえるその声は、これまでのキャリアを踏まえると裏を返せば年月を経て更に表現力豊かになっており、人生の荒波にもまれた彼女の経験が音楽を通じて伝わってきます。本作はチャートインこそしなかったものの、このアルバムは、過去のトラウマや苦難を乗り越えた後の彼女の人生とキャリアの新章を象徴し、アーティストとしての再生をも象徴する作品となりました。余談になりますが本作を手掛けたハル・ウィルナーは残念ながら、2020年、コロナウイルスの病魔に倒れ、帰らぬ人となりました。
じゃみスコア 95/100点


2.A Secret Life [1995]

[コラボレーター:アンジェロ・バダラメンティ]

前作から8年ぶりにリリースされた本作はカヴァーアルバムの前作とは異なりオリジナル曲を中心とした作品となっております。本作の特徴的な点としてイタリアの作曲家、Angelo Badalamentiとのコラボレーションによって生まれたことが挙げられます。コラボレーションのきっかけはテレビシリーズのツイン・ピークスでの仕事がきっかけでした。本作のサウンド面ですが、彼女の深みある歌声とBadalamentiの壮大で時には不気味なオーケストレーションが融合した、深く情感的な内容です。またアルバム全体を通して、彼女の歌詞は、愛、喪失、再生についての探求がなされています。総じて、彼女の声とバダラメンティの音楽が生み出す独特の世界観は、本作をより彼女のアーティストとしての成熟と深化を示すものとなりました。
じゃみスコア 80/100点


3.Vagabond Ways [1999]

[コラボレーター:ダニエル・ラノワ他]

A Secret Lifeから4年後にリリースされた本作はオリジナル楽曲に加え、ロジャー・ウォーターズ、レナード・コーエン、エルトン・ジョン等の往年のソングライター達の曲を再解釈したカヴァー曲も収録した内容となっております。本作は彼女の長いキャリアの中でも特に評価が高い作品であり、彼女の音楽的及び詩的才能が高いレベルで発揮されています。サウンド面はFolk、Rock、そして彼女独自の感性が交錯しており、アルバム全体を通じて、声はかつてのような純粋さは失われたものの、マリアンヌの声はより深みと重みを増し、彼女の経験と人生の試練が歌詞に反映されています。総じて本作は彼女の詩的才能と音楽的多様性を示した、人生の試練を乗り越えた強さと美しさが感じられる作品であり、彼女の才能と人生観を存分に味わうことができる一枚と言えます。
じゃみスコア 85/100点


4.Kissin Time[2002]

[コラボレーター:ベック、ビリーコーガン他]

前作から3年後にリリースされた本作は、これまでの作風とは大きく変わり、ポップ、ロック、エレクトロニカの要素を融合した実験的な作品です。マリアンヌの熱望により共同制作者は、当時名を馳せていたアーティストを多数起用しており、ビリー・コーガン(The Smashing Pumpkins)、ベック、ジャーヴィス・コッカーとPulpのメンバー、デイヴ・スチュワート(Eurythmics)、デーモン・アルバーンとBlurのメンバーなど、彼らのそれぞれ異なる音楽的背景がアルバム全体に新鮮で多様なサウンドを提供しています。本作の実験的な要素と、彼女の深みのあるボーカルと詩的な歌詞が、各トラックに独特の雰囲気をもたらし、これまでの音楽スタイルから一歩踏み出したサウンドを取り入れることで、新しい聴衆層を引きつけることにも成功しています。総じてKissin Timeは彼女の芸術家としての多様性と進化を示し、同時に彼女の音楽的な範囲を広げ、新しい方向性を示しました。コラボレーションによって、さまざまなアーティストの影響が絶妙に融合していますが、それでも全体としてはマリアンヌの個性が際立っています。予想外とも言える音楽的実験のその挑戦的な性質と詩的な深さは、多くの人にとって新鮮で魅力的なものとなり、今も彼女の音楽キャリアの中でも特にユニークで記憶に残る作品です。 
じゃみスコア 90/100点


5.Before the Poison[2004]

[コラボレーター:ニック・ケイヴ、PJハーヴェイ、デーモン・アルバーン他]

前作から2年後にリリースされた本作、Before the Poisonは、彼女の音楽キャリアにおいて特に注目に値する作品の一つです。このアルバムは、彼女の長いキャリアの中でも特に深みと成熟を感じさせる作品として評価されています。制作にあたって、PJ Harvey、Nick Caveとその彼のバンド、Damon Albarn、PJ Harveyとのコラボレーションでもお馴染みのRob Ellis、またプロデューサーには前作のKissin Timeに引き続きJon Brionを迎え、当時を代表するミュージシャンやプロデューサーたちが参加しました。これらのアーティストたちの多様な才能が結集し、彼女の独特なボーカルと絶妙にマッチしています。本作の制作は、マリアンヌがこれまでに築き上げてきた音楽的な関係性と、前作とはまた異なる新たなコラボレーションによって大きな変化を遂げています。特にPJ Harveyとのコラボレーションはアルバムにおいて中心的な役割を果たしており、ハーヴェイが書き下ろした曲は深く生々しく、時に不穏な雰囲気を持っています。Nick Caveとの再びのタッグも、両者の相性の良さを改めて証明しており、ケイヴはアルバム全体のプロデュースにも関わっています。また、余談ですがLast Songをマリアンヌと共作したデーモン・アルバーンはヴァース部分の歌詞が異なるこの曲の別ヴァージョンを後に、ザ・グッド ザ・バッド&ザ・クイーンの2007年のアルバムで「Green Fields」としてリリースしています。ダークで情感豊かなトーンを基調とした本作は、彼女のディスコグラフィーの中でも際立った作品で、マリアンヌの年齢と共に更に表現力を増すその歌声が、このアルバムの楽曲たちを通じて生々しく伝わってきます。全10曲で構成された本作の作曲は、PJ Harveyとの共作が5曲、Nick Caveとの共作が3曲、 Damon Albarn、 Jon Brionとの共作がそれぞれ1曲ずつとなっており、中でもDamon Albarnとの共作「Last Song」は、感慨深く、優しくもメランコリックなメロディーがアルバムの中でも特に際立っています。総じて、「Before the Poison」は、2004年にして彼女が音楽界のレジェンドとしての地位を不動のものとした作品であり、音楽的な幅と深みを改めて確認できるアルバムです。コラボレーターたちの影響が色濃く反映されつつも、最終的には前作同様マリアンヌの独特な世界観が全体を貫いており、彼女のキャリアの中でも特に聴き応えのある作品と言えます。 
じゃみスコア 95/100点


おわりに

いかがでしたでしょうか。個人的にはハル・ウィルナーと共作したStrange Weatherが好きです。久々の執筆になりましたがノートの頻度をどうやって上げていくか、あるいはどんなテーマや内容でやっていくか模索中です。ではまた。

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