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「2020年のM-1なんか微妙だったよね」とか言う奴に反論するnoteを書いた

2020年のM-1はマヂカルラブリーが優勝しました。おめでとうございます。今年の決勝は誰が優勝してもおかしくない内容でした。そう言えばM-1の決勝に残った3組をu++さんが良い感じに紹介されていました。

さて、今年のM-1ですが、Twitter上でちらほらと「微妙だった」みたいな声を聞きます。確かに、前半なかなか笑いの渦が起きず「これも1つのコロナ災害だな」と思いました。観客の笑い声につられる笑いもありますからね。

では、実際に2020年のM-1は「微妙」だったのでしょうか。

2018年〜2020年まで、M-1の審査員7名は顔ぶれが変わっていません。したがって、採点者の方針に変化が起きていない限りフラットに評価可能です。そこで2018年〜2020年の審査員7名による得点総計を比較してみました。

2018年:6304点
2019年:6458点
2020年:6368点

「奇跡」の2019年と比較すれば得点は低いですが、実際には2018年より得点は高いのです。

では、なぜ「微妙」だなんて感じたのでしょうか。この3年間を振り返ってみましょう。


7人の審査員の得点傾向を振り返る

まず、7人の審査員の平均得点+標準偏差の変遷を見てみます。

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2019年の平均点が高く出る傾向にあるのは当たり前として、面白い傾向が分かりました。

①中川家礼二さんの得点バラツキはかなり低い。これは、どんな演者であったとしても毎回90点を基準に審査をしているからだと思われる。例えば、中川家礼二さんの最高得点は96点だが、それぞれ2018年霜降り明星、2019年ミルクボーイ、2020年マヂカルラブリーが獲得している。僕としては、この審査方式を「中田カウス方式」と表現している。
②上沼恵美子さん、立川志らく師匠ともに2018年の採点バラツキに対して、年々狭まる傾向にある。特に上沼恵美子さん。一方で、ナイツ塙さんはブレずに得点をちらす傾向にある。
③2018年より2020年の平均点が低い(或いは同等)のはナイツ塙さんとオール巨人師匠だった。

ちなみに、中川家礼二さんを抜いて審査員7名による得点総計を求めると、2018年5384点、2019年5532点、2020年5447点でした。

さて、上沼恵美子さんは2018年と2019年〜2020年で明らかに採点の仕方を変えたと僕は睨んでいます。以下の箱ヒゲ図と、年毎の採点結果を見て下さい。

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2019年以降、絶対に90点以上は付けるという強い信念のようなものを感じます。2018年の事件が、上沼恵美子さんの心に何らかの影響を与えたのだろうなとは思っています。

ちなみに、好きな演者であれば得点が高く出る傾向、好きとは言えない演者であれば得点が低く出る傾向にあるのなら、2020年はナイツ塙さんとオール巨人師匠から見て「うん?」と感じたかもしれません。

もしかしたら「微妙」と思われた方々は、オール巨人師匠やナイツ塙さん同様に「自分にハマらなかった」「だから微妙だった」とでも思っていませんか?


演者の得点傾向を振り返る

2018年〜2020年までの得点をランキング形式で見てみましょう。

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過去30組のうち、TOP10は2018年が3組、2019年が5組、2020年が2組でした。逆にBOTTOM10は2018年が4組、2019年が2組、2020年が4組でした。

この点においては「2020年のM-1なんか微妙だったよね」という意見がまともに聞こえてきます。

もっとも2019年は2番目にかまいたち、3番目に和牛と、関西の漫才番組のような出順となり確変しました。もし2番目にぺこぱだったら、また結果は違ったかもしれません。

では2018年と比べたらどうなんだ、TOP10は2018年が3組、2020年が2組じゃないかと言われそうですが、そんなもんは誤差です

2018年と2020年を見比べると、面白いことが分かります。

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2018年は83点以下があった分、96点以上の高得点もありました。演者のネタの出来・不出来も相まって、結果的にメリハリがついていました。

一方で2020年は83点以下が無かった分、96点以上は独自採点方式の中川家礼二さんを除けば、立川志らく師匠の「おいでやすこが」への得点ぐらい。

この結果をどう見るかですが、2018年はなんだかんだで「頭抜けて面白い演者がいた」けど、2020年は「2018年ほど頭抜けてはいなかった」となるでしょうか。ただ、2020年は「2018年ほど頭抜けて面白く無い演者はいなかった」とも言えるでしょう。

つまり「微妙」と感じる要素は、ここにあるのではないでしょうか。

どうしても頭抜けて面白い演者がいると、その記憶に引っ張られて、記憶が捏造されてします。僕としては2018年のギャロップ〜ゆにばーすの超絶乾いた空気は覚えていますし、それが今回はアキナでしか感じなかったので「今年もまあまあ面白かった」と思っています。


本日のまとめ(「2020年のM-1なんか微妙だったよね」に対する反論として)

そもそも、賞レースが得点化されること自体が珍しいのですが、そのメリットの1つに「個人の感覚の数値化により過去比較ができる」があります。感覚や感想で済ませず、振り返り検証することこそ大事です。

今回の結果を見る限り、微妙だと思う人と同じぐらい、いやそれを上回って面白かったと思う人が多いでしょう。そんなものです。

これまでの分析結果より、微妙と断定できる根拠は崩れたのではないか、と考えます。

以上、お手数ですがよろしくお願い申し上げます。

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