民間企業がやるべきはハラスメント研修ではなく人権教育

元教師で、民間企業で働いて長くなる(3社目)だが、民間企業での人権意識の低さは相当な問題だと思う。
ともすれば、うちの会社は例外だから、そういうフェーズではないから、といって無茶な働き方が取られている会社は多い。業務改善コンサルをやっている会社の業務がめちゃくちゃ非効率なことはよくある。

会社ごとの個別の対応っていう部分はもちろんあるのだが、それは表層にすぎず、民間企業には総じて「人権教育」の必要があると感じる。これは、小手先ではなく、自分を大切にして、他者を尊重し、自分と他者の人権を守るという意識にほかならない。

もっというと最近の企業ではよくハラスメント研修をやるが、こんなものより人権教育をした方がいい。
ハラスメント研修だと、例えば「アレやったらダメ、これやったらダメ、こういう言い方をしちゃダメ」とかそんなのばっかりだ。NGリストを作っても人は腑に落ちない。本質的に、何が重要で何が問題なのかを理解する必要がある。本質が抜け落ちると、小手先の言い方をこうしよう、となる。

もっともっとわかりやすく、平たい言葉を使う。
誰しも過去に、家で、学校で、部活で、サークルで、会社で、こんなことを言われた、あんなことを言われた、そして傷ついた、尊厳が失われた、なんだかよくわからないがイヤな感じだった、という経験があるだろう。これが、「人権が守られなかった瞬間」である。
逆に、この人ならなんでも話せる、という安心感を得たこともあるだろう。これが「人権が守られた瞬間」である。

ここには、他者を理解しようとする、あるいは理解できなかったとしても受け入れようとする、という姿勢が必要となる。他者の人格を尊重し、表現の自由を担保する。そしてまた、自分自身の人格も大切にする。
これによって、チームは結束するし、「心理的安全性」が担保される状態になる。このすべての根底に、人権教育、人権意識がある。そして人権は、どの会社のどのフェーズでも例外なく、大事にされる必要がある。これがいわゆる、憲法で保障される基本的人権の尊重である。学校で学ぶ内容は、実はここにつながってくる。そしてこの内容こそまさに、大人が改めて学ぶべき内容だと思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?