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The Blind Side~陽の目を見ない場所に光を~Vol.3:パフォーマンスコーディネーター Part.1

パフォーマンスコーディネーター

聞き慣れない名前だが、このパフォーマンスコーディネーターは深くジャパンウィンターリーグ(以下JWL)に関わっている。

山田京介、鈴木善雅、長竹佑介、中野将史、この4名がパフォーマンスコーディネーターとしてリーグ期間中に選手のサポートをしている。

JWLの副代表であり、パフォーマンスコーディネーターのチーフでもある山田京介は以下のようにこのパフォーマンスコーディネーターの結成を語っている。

副代表でもありチーフパフォーマンスコーディネーターの山田京介

「JWLを立ち上げるにあたり、契約を取れる場であることと、レベルアップができる場であることが必要だと思って、僕はトレーナーとして活動していたんですけど、僕1人ではできないと思ったので同じく相川(宗大)さんの元で勉強していた鈴木(善雅)さんにお声がけして、了承してもらいきてもらうことになり、鈴木さんがやっているトレーナー学校から何人か連れてきていいかと聞かれてそこでやってきたのが、中野さんと長竹さんだったという感じです。なので元々このパフォーマンスコーディネーターというものを作ろうと思って結成したというよりかは、流れの中で自然とできていった感じです。」

結果的にこのパフォーマンスコーディネーターを結成するにあたり、そもそもどうしてこのJWLに関わろうと思ったのか。

山田と高校時代から面識のある鈴木は山田からJWLをやると言う話を聞いて手伝って欲しいと言われた時の心境をこう語る。

試合中に話し込む鈴木善雅

「京介くんからこの話を聞いた時に、『どう言うリーグなの?』と聞いたら、京介くん自体がカリフォルニアウィンターリーグで経験したものをもっと良くしたい、カリフォルニアだと試合しかしてなかったけど、彼がトレーナーになってさらに成長して次のステップに行くというか、人間が次のステージに向けて人生を変えていく、そのあたりが面白いなって言うのを感じましたね。
もともと自分自身も指導者をやって10何年になりますけど、能力を上げるだけだとあんまり面白くないんですよね。その人の人生のステージが変わらないと面白くないというか、アマチュアの人がプロになったり、とか、プロで日本でやってた人が海外に行くとか、人生のステージが一つ上がるみたいな、そう言うところを自分としては指導しているつもりなんですよね。そこがこのJWLはピッタリハマるというか、次のステージに向けて羽ばたいていく人たちのサポートって言うのをやってて面白いなって感じています。」

鈴木の選手との関わり方も観てもそうだが、選手に寄り添い選手の声に耳を傾けながら一辺倒にならずに選手のいいところをどんどん引き出していっているように見受けられる。

その鈴木から誘われたのが中野と長竹だ。

選手の動きを観察する長竹佑介(左)と中野将史(右)

彼ら2人は鈴木がやっているトレーナースクールの生徒で山田とはこのJWLで初めて顔を合わせる形となったのだが、彼らも今やこのJWLに欠かせない存在として積極的に選手たちと関わっている。

中野は当時のことをこう振り返る。

「鈴木さんからこのJWLと言うものがあると言うことを聞かされたんです。ただ、当時自分の実力だと高いレベルの選手は教えられないなって思っていたんです。だからこれに参加するにあたり何月までに何人パーソナルで選手を見るという目標設定を鈴木さんに課せられたんです。ただ目標の人数に達することが出来ず諦めてたんですよ。ただ興味はあったから観に行こうかなって言うくらいにしか考えてなかったんですけど、そしたら長竹さんが『何やってんだ、俺は行くぞ。俺は荷物持ちでも運転手でもいいから中に入って俺は顔を売るぞ。』って言われて行くぞと言う気持ちになり関わることになりました。そしたら行く前々日くらいに怪我人が多いから中に入って欲しいと言われ、応急処置の最低限の知識だけは身につけてこいと言われてそれで中に入れることが出来たんです。」

中野に喝を入れた長竹はなぜJWLに関わろうと思ったのか。中野の会話の中にもあるが長竹はこう話し始めた。

「僕がトレーナーになりたいって思ったのは高校3年生の時で、『野球選手に携わるトレーナー』として生きていきたいなっていうのがあったんですが、社会を知っていくと現実それだけでは食べていけないという現実を突きつけられて、食べていくためにはと思い、ゴールドジムに就職をし筋力トレーニングを追求するんですけど、野球のトレーナーになるという夢を諦めかけてはいたんですけど、ゴールドジムに野球部ができたりなかなか野球を諦めきれない環境にいて、そういうタイミングがあったらいつでも動けるように準備をしておこうと思って鈴木さんからずっと教わっていたんです。
以前から野球に特化した野球専科っていうトレーナーたちが集まって野球を追求するっていうものがあって、それが始まった当初から僕はそれを受けていたんです。
そして鈴木さんからこの話をいただいた時に『あぁここしかないんだろうな』って思い、鈴木さんにお願いしたっていう感じですね。JWLの話を聞いた時に、『このウィンターリーグを成功させるためにはなんでも動きたいな』っていうのが最初に思ったことなので、運転手だろうが受付だろうがなんでもいいから絡みたいなっていう思いがあり、そしてあわよくばそこで運営側に動きを認めてもらい、チャンスがあればそれをモノにしたいっていうのがありました。」

選手の調整をする長竹

それぞれの思いで参加することになったJWLで日にちを重ねるごとにそれぞれが選手からの信頼を勝ち取っていく姿は目に見るように伝わってきた。

JWLにはレベルアッププログラムというグランドでの試合以外の企画もある。簡単に言えば、その道のスペシャリストの話を聞けると言った内容だ。

多くの選手が鈴木の講義を受講する


鈴木は2年連続でそのレベルアッププログラムの講義を選手に対してしている。鈴木にとってはトップバッターとしてこのプログラムをやることが選手にも自分にとってもいいきっかけと感じている。鈴木の講義を受けて話に興味を持った選手が後日鈴木に質問しに来る、そこで講義の内容も踏まえた上で施術もしながら選手とコミュニケーションをとってより良い身体の使い方にできるように調整していく。

鈴木は選手とのコニュニケーションは欠かさない


第2回のJWLに関しては、新たに骨格チェックという項目をリーグ前に行われるフィジカルテストに入れたことでより選手に興味を持ってもらうことが出来ている。
しっかりパフォーマンスコーディネーターの話を聞いてそれをリーグ期間中に継続してやってた選手はやはり期間中に骨格に変化があったのだという。

「僕たちも普段は、お金のこともあるからセッションも1週間に1回とかになるじゃないですか。でもこのリーグだとほぼ毎日できるじゃないですか。自分もあんなにコンスタントに指導したことはないんですよね。ただ毎日携われると変化が早いなって思いますね。」

今回のJWLでは海外選手も多く参加していたが、彼らがなかなかセッションを行うことのない彼らとセッションをしてみてわかったこともあったそうだ。

「今回触ってて思ったのは、日本人は背骨の湾曲が少なかったりとか、体幹の良さっていうものがあんまりないんですよね。でも海外選手は体幹のパフォーマンスは高いんですけど、四肢が弱いんですよ。日本人は逆に四肢がしっかりしているんですよ。海外選手は四肢が弱いから、『肩が痛い』とか『肘が痛い』とかっていうケースが多いんですよ。そこは触ってみて面白いなぁって思いましたね。それが両方揃ったのがメジャーの選手なんじゃないかと思いますね。」

彼らパフォーマンスコーディネーターにとってもこのJWLと言う場は選手のサポートをする立場ではあるものの、いろんな選手とセッションをすることで彼ら自身のパフォーマンスの向上につながり、かつ触ることで得る閃きが生まれるかもしれない、そう言う意図も込めて山田はこの3人を携わってもらうことにしたと言うのだ。

選手の調整を行う長竹

つくづく興味深く取材してても話が尽きない4人なのだが、それでは実際にどのようなことをやっているのか。彼らが行なっている「骨格調整」と言うことについてPart 2で話していこうと思う。





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