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ディアボロの力学的な原理とその実践について、理論と経験をもとに解説します。その他のジャ…

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ディアボロの力学的な原理とその実践について、理論と経験をもとに解説します。その他のジャグリングについても、いつか気が向いたら書くかも。 ディアボロをメインとする趣味ジャグラー。得意分野は固定軸1ディアボロとハイトス。

最近の記事

ディアボロの力学的理解-5. 摩擦係数をスマホで測ろう

前回は摩擦無し1ディアボロについて、古典力学にもとづいた記述を行いました。一応自分が今もっている摩擦無し1ディアボロのトピックは、おおよそ解説したので、今回はついに摩擦力を導入してみたいと思います。基礎的な話をしますが、最後にはスマホを使って自分のディアボロの摩擦係数を測るおまけの話を紹介します。 (1) 摩擦とは張力の差であるそもそも、ディアボロの運動における、摩擦の役割とはなんなのでしょうか。摩擦がある場合と無い場合で、ディアボロにかかる力はどう変わるのでしょうか。とり

    • ディアボロの力学的理解-4. まじめに古典力学

      前回はハイトスという技に注目して、これまでの知識をどのように応用できるかやってみました。特に、垂直抗力の向きと仕事率について考慮し、ハイトスにおけるフォームの分析を行いました。今回は、これまで考えてきた摩擦無し1ディアボロにおける物理的要請をまとめる意味で、一度きちんとした力学の言葉、数式を用いてある程度厳密に記述しておこうと思います。数式に興味の無い方は、さらっと読み流してもらえると良いかと思います。次回はもう少しビジュアル重視の記事でバランスを取りたいです。 (1) 問

      • ディアボロの力学的理解-3. ハイトスはなぜ飛ぶ?

        前回は摩擦を無視した場合、ディアボロにかかる垂直抗力の向きは選べないというキーポイントを中心に、ディアボロの横移動について考えました。今回はこれまでの知識をもとに、ハイトスを解析してみたいと思います。 ハイトスの定義は上に投げるだけなので自由度が高く様々なフォームが可能です。ただ、PYGMIXさんの動画で浦和新さんが解説しているように、2個以上になるとある程度フォームが決まってきます。この記事でも、2個以上のハイトスでの一般的なフォーム、両腕を開いて右で取って左で投げるフォ

        • ディアボロの力学的理解-2. 「押す」

          (いつも通り厳密性は保証できません。) 前回は初速が与えられたうえでの話をしました。慣性に従えば、ディアボロは楕円軌道を描く点について考えました。今回はディアボロに加速度を与え、能動的に紐の上で動かすことについて考えてみます。 (1)前置き: 基礎要素としてのディアボロ移動ディアボロの技というのは、当然等速楕円運動だけでは成り立ちません。ディアボロの移動速度を自在に変化させ、右へ左へと移動させることが基礎的な要素としてあります。例えばハイトスにしても、ディアボロは右でキャ

        ディアボロの力学的理解-5. 摩擦係数をスマホで測ろう

          ディアボロの力学的理解-1. 楕円軌道

          (以下、たびたび厳密な用語ではありません。読みやすさとの兼ね合いです。) (1)両手を固定したとき、ディアボロは楕円運動をする。まずシンプルなところから考えるため、スティックの存在は無視します。よって「両手」とは実際にはスティックの先端を意味します。また、弾性とか諸々の細かい部分も無視します。ディアボロの両手からの距離の合計が常に紐の全長と等しくなるため、数学的に楕円軌道を描くとわかります。 両手を近づけると楕円は円に近づいていき、最終的には片手でまとめて持って円軌道で振

          ディアボロの力学的理解-1. 楕円軌道

          ディアボロの力学的理解-0. 導入

          ディアボロの動きは初めて見ると意外なものばかりで、正直何が起こっているのか分からない人がほとんどです。これは中上級者になっても同様で、難しい技を見て真似しようとしても、大抵なぜか上手くいきません。色々な動きを試して、上手くいく瞬間を探していって、動きの精度を上げていって、長い練習の末に習得するのが普通です。なぜ出来るようになったかは、思い返してみると「色々やってみてたまたま上手くいった」、という場合がほとんどです。ディアボロは見ただけで理解できるほどシンプルではなく、「こうす

          ディアボロの力学的理解-0. 導入