景品表示法の規制対象~「事業者」性、「自己の供給する」について

1.うちの団体・企業は景表法の規制対象?

今回は、景品表示法(以下、「法」といいます。)により、表示を規制されるのは誰か、規制される主体のお話をしたいと思います。
まず、法は、不当表示に関して、「『事業者』は、自己の供給する商品又は役務の取引について、次の各号のいずれかに該当する表示をしてはならない」としており(法5条柱書)、規制の名宛人は、「事業者」ということになります。

ここでの事業者について、法は、2条1項に定義を置いておりまして、そこでは、「商業、工業、金融業その他の事業を行う者をいい、当該事業を行う者の利益のためにする行為を行う役員、従業員、代理人その他の者は、次項及び第三十一条の規定の適用については、これを当該事業者とみなす。」としています。

 この書き方からすると、「商業、工業、金融業その他の事業」すなわち、私企業のみが、「事業者」であるように読めるかもしれません。
 しかし、「景品類等の指定の告示」(定義告示)の解約基準を示す「景品類の指定の告示の運用基準について」(定義告示運用基準)(※1)では、「営利を目的としない協同組合、共済組合等であっても、商品又は役務を供給する事業については、事業者に当たる。」「学校法人、宗教法人等であっても、収益事業…を行う場合は、その収益事業については、事業者に当たる。」「学校法人、宗教法人等又は地方公共団体その他の公的機関等が一般の事業者の私的な経済活動に類似する事業を行う場合は、その事業については、一般の事業者に準じて扱う。」などどしておりますとおり、営利を目的としない団体であっても、場合によっては、景表法の表示規制の対象となり得ます。
 この点は、結局、何に対する表示なのか次第ということになりますので、表示の際は気を付けていただいたほうが良いと思われます。

2.広告代理店・アフィリエイターに依頼した場合の責任の所在はどこに?

次に、よくある質問で、自社の商品やサービスの広告を他者に頼んでいる場合、例えば、広告代理店やアフィリエイターなどに委託している場合ですが、このような場合、規制を受けるのは誰か、というものがあります。
 広告代理店やアフィリエイターが、自身の表現で表示した場合、表示自体は、これらの者が行っているように思われるかもしれませんが、結論から言えば、これらの者ではなく、広告を頼み、表示の対象となっている商品・サービスを提供している者が規制を受けます。
 これに関しても、上述の定義告示運用基準において、明確に、「事業者団体が構成事業者の供給する商品又は役務の取引に附随して不当な景品類の提供を企画し、実施させた場合には、その景品類提供を行った構成事業者に対して景品表示法が適用される」としています。

 これに対し、広告代理店、アフィリエイターはどうなるかというと、上述の法5条柱書記載のとおり「事業者は、『自己の供給する商品又は役務の取引』について、次の各号のいずれかに該当する表示をしてはならない」とされているとおり、これらの者は、商品又は役務を自身で提供していないため、景表法の規制外となります。

 こうなってくると、広告元としては、表示が適切に行われること、および仮に適切に行われていなかった場合でも、それを是正できる方法が必要となりますが、その際に必要となるのは、広告先との契約です。
 特に、アフィリエイターは広告代理店より信頼性に差があるため、しっかりとしたアフィリエイト契約を締結することは重要になります。
 アフィリエイトを自社の広報に利用されている方は、一度、確認をされてみてはいかがでしょうか。

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