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投資が人生に大きなインパクトを与える事はない理由

最近投資ブームの熱が上がり、これまで投資をやってこなかった人達の間でも少しずつ投資が一般的になりつつあります。

投資自体は経済の勉強の意味も含めとても良い事だと思うのですが、給料がなかなか上がらないという世の中の情勢もあり、給料が上がらないのであれば投資で儲けたいと考える人が多いようです。

私ももう10年近く投資はやっていて、累計でいえば1000万円以上は利益が出ていると思いますが、今振り返ってみると、「やったほうが良いとは思うものの、正直どっちでも良かったな」という感覚です。

まだ投資をやった事がないという人に対して、オススメかというと「一応やっておけば?」というぐらいの温度感です。

なぜこれだけ世の中の投資熱が高まっているのに、それほど温度感が高くないのかというと、投資は結局人生に大きなインパクトは与えない、つまり、人生における優先度はどこまでいっても低いからです。

投資にも色々と種類がありますが、今回は多くの人のターゲットになる株や債権といった金融投資について書いていきます。

なぜ、投資は人生に大きなインパクトを与えないのか?

投資が人生に大きなインパクトを与えない理由は至ってシンプルで、投資に対するリターンは元手に対する割合でしかかかってこないからです。

式で書くと以下です。

投資のリターン = 元手 × 年5%前後(ある程度うまく運用した場合)

もう少し具体的に見ていきましょう。

例えば貯金が10万円ある人が、その10万円を投資に回して、年5%で運用できたとします。すると、元手の10万円が1年後に10万5000円になるので、年間でいえば+5000円、月に換算すると毎月400円もらえるという事になります。

ちなみに5%はかなり優秀な成績で、金融投資においてはほぼ上限の目標ラインになります。10%や20%のリターンはヘッジファンドのラインであり、個人にとってはもはや投機のラインになります。

では貯金が100万円ある人が5%で運用した場合はどうなるかというと、1年で105万円になるので、年間で+5万円、月換算で4000円になります。

同じように考えていくと、1000万円の場合は年間+50万円のため月4万円、1億円ある場合は年間+500万円で、月40万円になります。

最初の例に戻ると、貯金10万円の人にとって、毎月400円もらえるのは嬉しいといえばもちろん嬉しいと思いますが、特に人生が変わるほどのインパクトを与える額ではありません。

同じように、貯金100万の人にとっても、毎月4000円もらえるのは嬉しいといえば嬉しいですが、こちらも人生が変わるほどのインパクトはありません。

1億円あると毎月40万円になるので、多くの人にとっては羨ましいと思う金額かもしれないですが、そもそも金融資産が1億円ある人にとっては、40万円というのは同じく、あれば嬉しいものの、こちらもその人のレベルからすると、人生に大きな影響を与えるような額ではありません。

金融投資でリターンを増やそうとすると、元手を増やすしかないのですが、元手が増えてくると、価値があると感じるリターンの量もそれに応じて増えていきます。

貯金が10万円ぐらいの頃は、月に1万円の収入が増えれば嬉しいなと考え、元手を増やそうとするのですが、月に1万円の収入が得られる元手になっている頃には、月1万円の収入のインパクトは既に小さくなっています。

つまり、投資というのは、結局用意できる元手に比例してリターンが決まるという性質上、どこまで行っても人生に大きな影響を与えるタイミングは来ないという事です。

そのため、どこまで元手が増えても、割合という観点では、貯金10万円の時に月400円をもらっているのと感覚は変わらず、これが金融投資がどこまで行っても人生に大きな影響は与えない理由です。

ちなみに、複利も結局時間がかかるので残念ながら同じ話です。100万円を年利5%で運用すれば、20年後には250万円相当になりますが、20年間という途方もなく長い歳月をかけて150万円増えたとしても、同じく人生に大きなインパクトはありません。

お金を儲けたい、人生を変えたいと投資を始め、よく株価のチャートを頻繁に眺めている人がいるのですが、金融投資は既に説明してきたように元手がベースになる以上、そこまで人生に影響があるものではないので、過度に期待しすぎたり、時間を使いすぎたりする事のないよう、適度な距離感を保っておく事が大切だと思います。

そもそも手持ちのお金の5%程度しかリターンが期待できない事に時間を使うのはあまりにも筋が悪く、自己投資でスキルを磨いて収入を上げに行くほうが圧倒的に人生におけるインパクトが大きいと言えます。

例えば年収500万円の人が100万円の貯金を投資に回して、投資を勉強して上手く5%で回せたとして、月4000円のプラスが出るだけですが、一方で、スキルを磨いて転職活動で年収が600万円になったとすると、月8万円のプラスになります。

年収500万円で貯金が100万円の人にとって、月4000円のプラスは微々たるものですが、月8万円のプラスは、十分人生にインパクトを与えるレベルと言って良いでしょう。

結局は、金融投資より自己投資のほうが圧倒的に人生に与える影響は大きいので、金融投資は勉強のためにやっておいたほうが良いものの、別にやらなくても良いという範囲の話になります。株価がどうしても気になり、時間や集中力が取られるのであれば、むしろやらない方が良いでしょう。

いわゆるお金持ちと言われている人を想像してみるとすぐわかりますが、その人達は金融投資によってお金持ちになった訳ではありません。ほとんどの場合が、自己投資で圧倒的なスキルを身につけたか、自分で事業を興して成功したかになります。

こういった方達ももちろん金融投資はされていると思いますが、正直どっちでも良いという感覚でしょう。

投資に興味を持ったり、投資をきっかけに経済の勉強をするのはとても良い事だと思いますが、人生に大きなインパクトのない物に必要以上に時間とエネルギーを投下する必要はありません。

結局値動きは誰にもわからないので、チャートとにらめっこする時間は、人生では短ければ短いほど良く、基本的に毎月定期でインデックス型のETFに突っ込んでおくで十分でしょう。

上手くやれば5%が6%になるかもしれませんが、結局これも微々たる話の域を出ないので、極力時間を使わない事を優先すべきだと思います。

金融投資で少しのリターンを増やそうと躍起になっている間に、本当に優秀な人達は金融投資に使う時間を最小限にして、自己投資によってもっと大きなリターンを上げています。

投資ブームによって、金融投資がやたらと取り上げられていますが、自己投資より金融投資が上に来ることはないので、金融投資については、正直どっちでも良いという感覚で淡々とやっておき、本当に大切な事や、やりたかった事に時間を使い、充実した日々を過ごせる人が増えるといいなと思っています。

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