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Ennio Capasaの新ブランド「Capasa Milano」は成功するか

エンニョ・カパサが2月22日ミラノファッションウィークにて自身の新ブランドである「Capasa Milano」のイベントを行う。エンニョ・カパサは90年代後半から00年代まで人気を誇ったファッションブランド、CoSTUME NATIONALの創業デザイナーで、同ブランドが日本の投資会社シークエッジに買収される2016年3月までデザイナーを務めた。


エンニョの兄で買収時までブランドCEOを務めたカルロ・カパサは、イタリアのファッション協会会長という要職に就いている。一方、エンニョは近年表立った活躍はない。中国企業との短期的なデザインプロジェクトなど非常に限定的なシーンでのみ名前がきかれ、一線からは退いていた格好だ。

そんな中、2022年2月15日に米国版WWDが新ブランドの発表を報じた。日本版での掲載はなく、主にエンニョの知名度が高いイタリア語媒体での報道が続いた。

「before it starts」と名付けられた今回発表予定のコレクションではメンズ、ウィメンズともにアイテムを展開する。価格帯は1万円のTシャツから30万円強のジャケットまで幅広い展開で、初期的にはオンラインストアでの販売を予定している。

Capasa Milanoはエンニョの自己資金で設立され、生産背景などは持っていない。ニット類はModit International、シューズはHIM(High Italian Manufacturing)によってライセンス生産される。HIMは旧Onward Luxury Groupの新社名で、20年末に採算悪化を理由にオンワードから伊投資会社NEMOに譲渡されている。


エンニョの最旬は20年前だ。Z世代やミレニアル世代の消費者の中で、エンニョやCoSTUME NATIONALのファンはおろか知名度も少ないだろう。

Capasa Milanoはイタリアファッション協会会長のカルロやエンニョの妹リタによってバックアップされる兄弟プロジェクトだ。
しかし、エシカルやコミュニティという最近よく耳にするコンセプトとエンニョ自身のイメージが合致しない上、20年前の感覚でのデザインや服作りを続けるのも苦しい。今回の発表ではターゲットが見えにくく、オンラインに限られたルートでの販売も苦労する可能性が高い。

TrussardiやBossなど資金力が一定以上あるブランドは経営陣が変わることでリブランディングが成功する可能性も高いが、自己資金のみのCapasa Milanoは低予算でも特色のある売り出し方をする必要がある。

エンニョは「90年代のファッションは見た目の美しさが重視されていたが、現在はエシカルな思想も求められる。コミュニケーションのあり方が変わることで、デザイナーのクリエイティビティの幅や社会的責任が増している。」という。

新たなブランドは小さいスタートだが今後の成長に期待したい。








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