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「ブラッシュアップライフ」~たった一人の<ウーマン・リブ>(中)

ハリウッドの<フェミニズム映画>三部作

ハリウッドの著名な映画プロデューサーのセクハラを女優たちが告発したことなどをきっかけに激しさを増した #MeToo運動 は、世界の女性たちに街頭行動を促し、<フェミニズム映画>三部作の製作・上映が運動との相乗効果をもたらした。

★「グロリアス 世界を動かした女たち」
 (2020年公開、ジュリアン・ムーア主演)

<あらすじ>インド留学を経てジャーナリストとして働き始めたグロリア・スタイネム。女性を取り巻く社会問題に関心を持ち続ける彼女は、さまざまな活躍を通して徐々に女性解放運動のシンボルとして注目を集めるようになる。(実在した女性活動家の伝記作品)

★「スキャンダル」
 (2020年公開、シャーリーズ・セロン主演)

<あらすじ>2016年。FOXニュースのベテラン女性キャスター、グレッチェン・カールソンは、人気番組の担当を降ろされたのを機に、絶大な権力を笠に着て長年セクハラを繰り返してきたロジャー・エイルズCEOを訴える準備を進める。(実話の映画化)

★「SHE SAIDシー・セッド その名を暴け」
 (2023年公開、キャリー・マリガン主演)

<あらすじ>#MeToo運動が世界へ広がる大きなきっかけのひとつとなった、ニューヨークタイムス紙による2017年の性暴力報道を描く。ハリウッドで大きな影響力を持っていた映画プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタインの何十年にもわたる性暴力事件を2人の女性記者が追いかけ、ワインスタイン側からの激しい攻撃をはねのけて記事の公開へ至る姿が描かれる。製作総指揮にブラッド・ピットが参加。(ウィキペディアより)

ミス・コンへの抗議行動を描いた「彼女たちの革命前夜」

ハリウッドの<フェミニズム映画>三部作も迫真の演技で考えさせられたが、イギリスで製作された次の実話作品も秀逸で、結末にスカッとした。

★「彼女たちの革命前夜」
 (2022年公開、キーラ・ナイトレイ主演)

<あらすじ>世界の三大ミス・コンテストの一つ、「ミス・ワールド」大会が1970年にロンドンで開かれることを知った女性解放活動家たちが女性を容貌だけで評価する<ルッキズム>を批判し、小麦粉爆弾を手に会場に潜入し抗議するのだが……。

「彼女たちの革命前夜」とはかなり熱の入った邦題(原題はMisbehaviour)だが、女性解放活動家グループ内部の階級格差、ミス・コン出場者たちの内に秘めた葛藤をていねいに描き、主人公を指導する大学教授の<家父長制>的な考え方、大会主催者と審査員たちの男性視線による<ルッキズム>、審査の司会役を務めた“世界の喜劇王”ボブ・ホープの女性蔑視ベトナム侵略戦争支持者であることも当時のニュースフィルムを挿入)に対してもきちんと批判しており、その後の女性解放運動に大きな影響を与えたことを考えあわせれば、「革命前夜」と銘打っても誇張ではない。
 
主演のキーラ・ナイトレイはインタビューで、「女性解放運動の観点で見ると、ミスコンは女性を“性的対象化”する所」(<otocoto>サイトより)と明確に指摘している。
 
#MeToo運動 のきっかけは、アメリカのアリッサ・ミラノさん(歌手・女優)が2017年に発信したツイート(※下記)だったが、それからわずか数年ののちに、上記の作品群が生まれたことになる。
 
このスピード感には驚くほかない。

「セクハラや暴力を受けた場合は、このツイートへの返信として「私も」と書いてください。」「友人の提案。セクハラや性的暴力を受けた全ての女性が、『私も。』と投稿すれば、人々にこの問題の深刻さを知ってもらえるかもしれない。」

(<なるほどSDGs>サイトより)

(つづく)


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