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日本経済新聞「春秋」に取り上げられた合気道17

合気の技術の一つに借力があります。これは、

 相手が掴んでいる力(エネルギーの方向)を利用する
 相手が掴みに来る力(エネルギーの方向)を利用する
 そして、自分の力(エネルギーの方向)を相手の力(エネルギーの方向)
 に合わせて、それを利用する

という、技術です。一見、スピードとタイミングの技術に思えますが、そうではありません。また、相手の攻撃をすかしたり単に流したりするものでもありません。相手との一体化が前提にあっての捌きだからです。

さて、ヒトは2足歩行という歩行様式を獲得しました。これにより、手が自由になるとともに、重たい頭を下から支えることができるようになり、これらが更に発達するという好循環を得ましたが、一方、常に体が不安定な状態にあるという弱点が発生しました。

そこで、ヒトは何かにすがりたいと無意識下で思っています。例えば、杖をついたり、てすりを掴めば安心・安定します。この杖や、てすりの代わりが相手なのです。相手と触れた時点で4本足になりますから、安定構造が得られるというわけです。ただし、例え相手に触れても強く自立している(相手と自分、どちらか一方)場合は、全体で4本足状態になりませんから、一体化はできません。このような場合は、様々な技術を用いて相手との一体化を図るのです。このことを一般的には「崩し」と呼びます。

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