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合気評論10

嘉納治五郎氏は「柔道」を創始しました。柔道は起倒流柔術や天神真揚流柔術の他、古来の柔術各流の長所を集大成し、その中心理論をテコの原理に統一して、捕之技を主体に構成されました。明治初期から明治新政府のための警察官向け逮捕術として完成させることが嘉納氏の目標だったのです。また、自由民権の思想を注入し、新しい体育学武道として完成されたものが柔道だったのです。柔道はこのように古流柔術から完全に独立したもので、独自の基礎理論に立脚しているものです。

一方、盛平翁の「合気道」は、理論的説明は大本教の教本により、技は大東流合気柔術をそのまま借り、看板だけ変えたものであることが特長なのです。

大東流の極意に「力の集中」「合わせ」「円くしぼる」「丸く丸く」などがありますが、盛平翁はこれを大本教の教義に添って変えました。すなわち、「合わせ」は相手と気持ちを合わせる「和合の精神」に、「円くしぼる」は、「宇宙は一体なり、自分を中心とした世界が最も正しい」このことは丁度蚊取り線香のように渦巻き形に渦の中心に巻き込むこと、自己を中心において技を掛ける、入身投の基礎理論としているのです。

これらのことは、各流の武道専門家が等しく認めるところでございますが、そこに植芝門下生から多くの合気道諸流派が輩出している秘密が隠されているのです。そして、各々勝手な方向に進んで行く原因にもなっているのです。

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