大東流と瞑想との関係4
惣角は試合だけでなく、「クンダリーニ」と言いながら多人数捕の極め、蜘蛛の巣伝の極めを行っていた。惣角がこの「クンダリーニ」を口にしたのは、意味がわかっていたのか、誰に聴いて知っていたのかに問題があるが、とても面白いことである。惣角が試合に臨む時に「クンダリーニ」と言うのには、本来の趣旨の他に、2つの意味があると思われる。一つは腰を落とせで、そうすることで気持ちも落ち着く。二つ目は潜在意識に必ず勝つという意志を植え付けることである。
いずれにせよ、こういったことが大東流に密教のバックボーンがあることの一証左となっている。
釈迦の誕生にまつわる伝説から「天上天下唯我独尊」という言葉が生まれている。普通世間では、誤解して自己過信とか、増長慢のようにとる人もいるが、これは全宇宙の中で自分より尊いものはない、よろしく自愛せよ、ということである。
江戸柳生系合気柔術の基本動作の一つに非力の養成がある。これが「唯我独尊」の鍛錬法である。先ず、自らの命を守って、自己の主張なり、正義の行動をとる。武士たる者、主君のお役に立つため、第一に「唯我独尊」である必要があるのである。非力の養成では、第一に自己の姿勢作り、第二に腰を落とし(クンダリーニ)、腰の回転を、第三に後ろ足の使い方(えびらを張る)、そして手の使い方を教えている。(完)
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