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武道の呼吸法3

(補足説明-承前)
『合気道教室』志々田文明・成山哲郎共著 大修館書店
呼吸力か統一力か? 本書では呼吸力を統一力と表記しましたが、それは呼吸力(統一力)の発現において、呼吸のみが決定的要因でないことによります。もとより人間は呼吸なしでは生きられませんから、剣道その他あらゆる身体運動にも呼吸がともないます。昔から武術では、呼吸の乱れは体の乱れとなり、隙をつくって敗北の原因となるため、呼吸法の工夫が行われました。これら先人の英知にも賛嘆すべき多くのものがあります。しかし元来、武術で要求されるものは、技を有効にするための呼吸法であり、それはさまざまな技つまり身体運動に付随する呼吸法であったにすぎないことを忘れてはいけません。合気道の技における不思議な力の解明は、「呼吸力によるもの」というような技の実際からかけ離れた言葉の説明でよしとすべきものではなく、柔道などのように現代スポーツ科学(運動生理学や運動力学)によって行う段階に来ているといえるでしょう。(同書67~68頁)
 
補足説明終り
鶴山先生のメモに戻ります。
 
呼吸運動の特色
①呼吸の時、活動する筋肉は胸部のみならず、顔面時には腕の筋肉もこれに関わりを持つものである。例えば、呼吸が悪くなると小鼻が動いたり、口を開けたり、また腕を上下すると深呼吸がし易いというように呼吸には多くの筋肉が関係する。
②呼吸筋は随意筋でありながら平素は不随意に自然運動を繰り返している。もちろん随意筋なので、随意にわざと深呼吸をしてみたり、息を止めることもできる。
③呼吸中枢は延髄という脳髄に近いところにあるので、自然運動を誘い出す仕掛けを掴むのには、大変都合のよい場所である。
以上の自然呼吸運動を続けると、自律神経に支配されている内臓器官の活動も同時に起きていることがはっきり判るときがある。(続)

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