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大東流の口伝25

今回からは、その他の主な口伝について紹介します。
基軸之事
基軸之事とは「軸を意識し、軸を自在に作り活用しなさい」という教えです。ここでいう「軸」とは、「物体が回転運動などするとき、その物体に固定したと考える直線(点)で、その空間的位置を変えないもの。」という意味で使っています。

さて、ヒトには、普通、軸の意識はありません。なぜなら、体は特定の軸で支えられていないからです。
この説明、奇異に感じる方もいるかも知れません。「元々、体軸はあるが、意識できていないだけだ。」と・・・そのような見方もあるかも知れませんが、この見方では武術的には限界が生ずるのです、なぜ? ここは追って説明します。

ところで、ヒトの体を支える構造は、骨・関節・筋肉等で成り立っています。206個の骨、約260個の関節、体重の約40%を占める筋肉等です。脚は2本の太い骨がありますから、軸足というように軸のイメージはし易いでしょう。では体幹(頭と手足を除いた胴体部分)はどうでしょう。背骨がありますが、これだけで体幹を支えているのではありません。体幹は、外層・中間層・深層の3つに分けられます。外層は背骨とそれを取りまく大きな筋肉群(アウターマッスル)で直立姿勢を保ちます。中間層には、胸腰筋膜というコルセットがあり、横隔膜や骨盤底筋群などにより腹圧を高め、内側から背骨を支えています。この中間層は姿勢の安定を担っているのです。この腹圧を高める動作を昔の人は「腹に力を入れる」といって重視していたのです。深層では、靭帯や深部筋群によって背骨のブロックをつなぎとめています。なお、中間層の筋肉(多裂筋・脊柱起立筋・腰方形筋・腹横筋・内腹斜筋)と横隔膜・骨盤底筋群を合わせてインナーマッスルと呼ぶそうです。

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