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天地投による体験学習

受手の両腕を上下(天地)に振り分けることにより体幹を崩す天地投、これは序破急から始まってその展開もたくさんあります。
例えば、オーソドックスに受手をその後方に投げる→受手が脚を引いて頑張ったら→仕手の左右や後方に投げるという変化、両手持に対し掛手で受手の手が外れないように捌き投げる→固めるなどです。

さて、この技を習うクラスはいずれ、大名・家老・若年寄となる方たちを想定しているため、その英才教育として天地投で体験学習させるのです。
大名・家老・若年寄は不祥事があった際など各大名の審議委員となります。その査問のとき、オーソドックスに正面に攻めても(質問しても)正直に認めない場合、左右いろいろな角度からの質問をする=この技が投技にあたります。入れ知恵をする家臣もあり、また自らも監督責任があることから、なかなかまともには答えない、そのため正攻法がダメなら左右に揺さぶる。これでもダメなら固技(蜘蛛之巣伝)に入るのです。これは密室に閉じ込め外部とのやりとりを遮断しこれまでにない体験(殿様は側近の意見に従うのが建前)をさせることで、追い込む。これで多くの場合、監督責任を認めることになるのです。それでも主張が崩れない場合は、その主張は正当かもしれないので、再調査となるのです。
受手も自分が雁字搦めに固められることを通して、管理者たる者の立場や責任を体験学習するのです。

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