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無刀の位4

昭和初期に育てられた軍閥武道と日本伝統武術とが混同されている現代、新陰流兵法の「無刀の位」の理解により武術の本質の周知を図る必要がある。我が電電グループが求める合気道は、今までの宗教合気・スポーツ合気・舞踏合気・競技合気にあらず、あくまで伝統武術の立場に立った日本伝合気武道を目標としている。すなわち「無刀をもって、相手を制圧できる」新陰流兵法の心法・刀法がこれからの合気道の目標でなければならない。

「無刀の位」を実現するためには、どんな武辺者にも負けることなく相手を制圧(剣技の修得を必要とする)することができる実力が必要である。相手を制圧する実力がありながら、それでいておごり高ぶらない制御術の修得が究極理念となる。いつの時代でもただ強いことを誇るため試合を申し込んでくる精神異常者が必ず出てくるので、合理的にしかも科学的な理合による間合の研究を深めること、これが合気武道のみにあらず、古武道界全般にも通ずるこれからの目的意識でなければならない。そのためには予想できること、あらゆる敵の攻撃に対応できる攻防自在の勢法を積み重ね研究を尽くすことである。古伝の理合を中心とした勢法の応用実技の研さんと研究に一生を費やすこととなるであろう。短期間の研さんを目的とする競技スポーツとは、ここでも異なる目的意識がある。「無刀の位」の社会生活への応用まで研究すれば、武術研究家の一生の趣味となり、仕草の心法ともなりえるものだ。(完)

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