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技法真髄3

(承前)城である場合はこれを守る人に誠がなければ陥落する。しかし日本の戦法はその形の城を人間の体に移し、生きた人が生きた城を作るのが武道の錬磨である。すべて世の中はかくなっている。日本の国を見ても周囲は海でなかなか悪魔の軍勢が無闇に攻め込めない様天然の城をなしている、これを守るにはやはり生きた各々の城を築きこの城により合わせて行かなければならぬ、これが武道の錬磨である。

世界を見ても水をもってつぶされぬ様になっている。更に大きくは氷山で囲い、また地球は地球で雄大な自然の防備があり宇宙には宇宙の防備が出来ている。各自武道をなす者は神の経論になる大自然の大城をよく守って、更にうるわしき城を築くために各々稽古をしている次第である。この心持ちをもって打ち込むにも、打ち込まれるにも、この真理と合した呼吸で行わなければならぬ。これを修めば智・仁・勇自ずから出で来たり、真一の大和魂になり全身剣ともなり、またこれ無我の境に入ることが出来る。すべて武道は悟りから悟りへと肉体に美しい精神の国を建設することが出来る。

大にしては天下国家を守り、小にしては一身を守る。結局、大和魂の錬磨である、また岩戸開きの行である。かつ人の心は水火を司るものなれば、この水火陰陽の理によりて敵気をもって当たれば気に当たり、水をもって来たらば水に当たり、火をもって来たれば火に当たり、今日の科学戦の上に想いをはせ錬磨することを肝要とす。(1正面の項 終り)

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