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合気術-早島正雄の場合3

(承前)「また、合気は武術ばかりでなく、生き方すなわち哲学にも応用される。合気術における生き方の基本は何かというと、それは次の古歌にすべてが言い尽くされている。
“舟の行く道とて道はなけれど 舟行く道が舟の道なり”
死ぬか生きるか、そこには前もって定められたものは何もない。死んでもよし、生きてもよし死も生きも一つの道である、というのが合気の哲学なのである。(略)合気術においては肩の力を抜くことである。そのためには思いっきり五指を開くことである。これが合気である。肩の力を抜くことは力を棄てることであり、五指を開くことは合気の形となる。肩の力を抜くことはすべての芸事の基本である。字を書くこと、絵を描くこと、踊り手は言うに及ばず。」

「導引術-合気術を健康法医術に応用したものが導引術である。(鶴山先生の注:この発想は手前味噌である)導引術はどんな効果があるのか?『中医名詞辞典』によると“導引”とは、“古代につくられた身体を鍛錬する一種の方法であり、体を自分で按摩し、自分でひねり、手足を伸したり縮めたりすることによって疲労を取り除き、病気を去る、これを名付けて導引という”と記されている。その際大切なことは大気を導いて体内に引き入れることであり、体内に引き入れた気を体中の隅々までめぐらすことである。したがって、導引とは導気のことである。導引術では、導気と共に観念及び弛緩が大切にされている。観念は難しく考える必要はない。例えば、肩こりに効く行をおこなうときは、これで肩を治すのだと思いながら行えばよい。また、弛緩には心身共にゆったりリラックスさせて各動作をゆっくり行い、その動作の後に躰に休みを与えることである。導引術の究極的目的は“若返りと長生き”である。」(続)

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