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大東流の口伝26

このように体幹部は、背骨を中心としつつ、いろいろな筋肉や靱帯、腹圧によって支えられているのです。さらにその上には重たい頭があり、これも支える必要があります。このことからわかるように、総体重の43%を占める体幹(胴体)の、いわゆる軸は決め難いのです。

ヒトは、自在な動きを実現するために、260個の関節を持つ柔軟な構造を獲得しました。柔軟とは不安定ということでもありますから、これをコントロールする頭の働きは重要、かつ、非常に強固なものです。本能的に組み込まれているものだ、と思います。

例えば、巴脚・卍脚の捌きを使って自分を不安定にする稽古をする場合、
当事者は意識としては「不安定になる稽古をしている。」「倒れそうになっても危なくない。」と自分に言い聞かせても、無意識下の頭は安定化に向けた自動調整をしてしまいます。指導者が不安定になるよう導いて(手助けして)も、抵抗し、別の部位を使って安定しようとします。それほど、強固なものですが、その安定も自立するためだけのものであって、外に向かって通力するには不十分なのです。

例えば、相手に自護体などで踏ん張ってもらい、これを押そうとします。
普通のヒトは自分の体がよれてしまって、押すことができません。つまり軸がないため、力が分散してしまうからです。試しに、壁にもたれて、押すと相手は飛んでいきます。壁が外部の軸となり、力が分散しないからです。
これが軸の感覚を覚える第一歩です。これは、体を一体化させる方法でもあります。軸の意識と体の一体化は似ている部分もあるということです。

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