武道と礼儀作法1
「礼儀作法は武道から来ているものが多くある…」で始まる項がある鶴山先生のメモです。
礼儀作法とは、人が社会生活を円滑に営み社会秩序を保つために用いる規範と実践の総体と、定義されています。特定の文化、同一の共同体に属する者の人間関係を位置づけるものとしてその場所・空間において機能します。
そこには、相手への尊重がありますが、相手と適切な距離を保ち自身を保護する機能もあります。後段、武道との関連がありそうです。現代なら、思慮深い対応をすることで自己を守るということでしょう。
日本の礼儀作法がすべて武道に由来する訳ではありませんが、武道は戦闘というある意味無秩序な状況から生き残るための技術として発展したものですから、相手を肯定しつつ、制圧するという矛盾した要素を持つものです。この矛盾を超えて共存する仕組みが、場所と空間作りなのです。
礼に始まり、互いの関係性と行動空間を作り、礼に終わることで完結する、ということです。このような背景があるため、外国人には、武道の稽古が、なぜ、礼に始まり、礼に終わる(稽古場への入退場を含む)のか、わからないのです。かつて、大東流を学んだドイツ人が母国で指導しようした際、礼の意味から説明しなければならなかった…、と語っていました。参加者の理解を得るのに苦労したようです。礼儀作法の文化とマナー(エチケット)の文化の違いがあるからでしょう。
なお、同内容の既投稿記事(2020年8月26日付け)がありますが、今回のものが完全版です。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?