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合気系武術が育まれた文化的背景について私論(上)

「合気」技法とは、相手と一体化・つながる技術のことです。
「合気」をかけた・「合気」がかかったとは、相手と一体化した・つながった状態をさします。

相手と一体化することにより、重心の位置も変化し、一人一人でバランスをとっていた状態から二人(又はそれ以上)で一つのバランスをとっている状態になるのです。もちろん、この状態を実現するには、諸条件が必要となります。この条件をクリアするための稽古法に、流儀による・指導者による違いがあるのです。

さて、本稿においては、こういった「合気」の技術論ではなく、
なぜ「合気」が日本に生まれたのか?についての筆者の試論にして私論を紹介します。

「合気」は、実は日本人には理解しやすいものなのです。なぜか・・・
それは、日本の文化的背景と密接につながっているからです。日本人は、基本、相手とのやりとりにおいて、正面衝突=意見の対立を避け、気持ちや立場を傷つけないよう配慮します。一方、欧米では、相手との意見対立を前提とし、自己主張と説得で自分の意見を押し通そうとするのが普通です。なお、欧米だけが世界ではありませんが、比較対象として分かりやすいのでとりあげています。

こういった日本的コミュニケーションは、相手の意向や反応を推測しながら対応するのです。つまり対決(対立)を前面に打ち出さない対応法といえます。もちろん、こういった方法は、曖昧模糊としたスッキリしない結論となることが多く、禍根を残すというデメリットも多々あるでしょう。
これらを比較文化論的に整理すると・・・
 欧米型=自己主張の文化
 日本型=相手との関係性を重視する文化 といえるでしょう。

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