見出し画像

紙の資料から得ているもの

ペーパーレス化が飛躍的に進み、ほとんどの会議資料は電子ファイルになった。かさばらず、書類の廃棄も簡便であり、保存にも場所をとらない。でも、やっぱり紙資料の方が安心できるんだよなぁ。

資料をパラパラッとめくっていき、探している書類にたどり着く一覧性が紙媒体の資料の方が優れているように思う。膨大な電子ファイルの中から、検索によって瞬時にヒットさせることが電子ファイルのメリットなのだが、候補となるファイル数が案外多い場合は、個々のファイルを開く操作が結構手間であり、全ページをパラパラッとスクロールするのが億劫になる。

さらに、複数のページを比較しながら検討する時、付箋を貼りながら比較しやすいことも紙媒体の資料のメリットである。ペンでの走り書きや蛍光マーカーでのハイライトなど、タブレット上でもほぼ同じことが可能ではあるのだが、電子ファイルの閲覧では考え方に深みが伴わない気がする。とても不思議だ。

紙媒体の資料には素材そのものの質感と紙の厚みなど、複合的な感触が含まれており、2次元的な紙面にプラスアルファの次元が付随している。ディスプレイやタブレット上では、画一的な2次元情報にとどまり、私たちがつかみ取ることができる情報量が必然的に少なくなっている。

おそらく、作業に必要なアクティブな資料には紙媒体が適しており、もしもの時の保存資料の位置づけにおいて電子ファイルが優れている。これは、スマホからイヤホン経由で聴く音楽とコンサートホールで聞く音楽の違いにも通じているように思う。紙の資料から臨場感を得ていることが思考の深さにつながっている。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?