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講演はQ&Aタイムが面白い

講演会というのは、講演内容もさることながら、最後のQ&Aが意外に面白かったりします。

小誌「理念と経営」でお世話になっている方の一人に、東レ研究所元社長の佐々木常夫さんがいらっしゃいますが、佐々木さんの忘れられないQ&Aをふと思い出しました。

佐々木さんといえば『そうか、君は課長になったのか。』『働く君に贈る25の言葉』(ともにWAVE出版)など、ビジネス書のベストセラー作家としても活躍しておられます。

そのQ&Aが聞けたのは、2013年のこと。『そうか、君は課長になったのか。』の出版記念で、大手書店の主催でした(確か…)。一通り、講演が終わって何か質問は?の問いかけがありました。

質問者A:佐々木先生は著書の中で『10年先を見据えて努力しなさい』と書いていますが、どうすれば10年先がわかるのでしょう?

(私の心の声:うーん、これは興味深い質問。さあ、佐々木さん、なんと答える?)

すると、佐々木さん、さっきまでビシッと決まった「できる上司」っぽい雰囲気だったのが、急に居酒屋で一緒に飲んでるような柔和な表情に一変しました。そして、ちょっと声のトーンを下げてこう言いました。

佐々木さん:あのね、10年先なんて、わかるわけないじゃないですか。

(私の心の声:え? え? え?)

佐々木さん:5年先だってわかりませんよ。

(私の心の声:そうなの?(^_^;))

佐々木さん:でもね、10年先、5年先を考えて『自分はこうなる。こうしてみせる』と決意して努力するのと、しないのとでは、絶対に結果が違ってくると思うんですよ、僕は。

かー!やられました。このとき、佐々木さんは上司の顔でも作家の顔でもなく、完全に素の佐々木さん、人間・佐々木常夫になっていました。上司にこんな表情でぶっちゃけトークをされたら、誰だって「そうですよね」と素直に心を開いてしまいます。

そのあと、佐々木さんはマザー・テレサを例に挙げ、自分にはどうすることもできない時は祈ることだ、というお話をされました。しかし、マザー・テレサの話よりも、あの、一瞬にして素の自分をさらけ出す佐々木さんの(いい意味での)豹変っぷりに「ああ、こうやって部下と腹を割って話すんだな」「人間味のある人を上司に持つ部下は幸せだな」と学びました。

佐々木さんの講演ネタは、もう一個あるので、また機会がありましたら紹介します!

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