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感情を持ち歩こう。はじめての曲のつくりかた ver.1.0

私のレッスンでは、主に洋楽カバーやアレンジを教えていますが、
自分で曲をつくるチャレンジをしている生徒さんに対して
詩を書く宿題をだすことがあります。

どうやって書けばいいの?どうやっているの?と質問をもらうことも多く、毎回プロセスをご紹介するわけですが、
私のところに来てくれている生徒さんたちに限らず
どこかの誰かの役に立つ可能性もあるかなとnoteにまとめてみます。

なお、もちろん詩から曲をおこす以外の方法もありますが
まずはより多くの人にとっての取り組みやすさを重視して、
言葉を先行させる場合を中心に書いてみます。

私も、大人になってから音楽を作り始めましたが、
決して天才ではないからこそ伴走できることがあります。
まったく初めてのところからの作曲は
私の教室のユニークネスとも言うべきプロセスの一つかもしれません。

曲は鏡、といつも言いますが
自分自身が創った曲を通して自己を知ることは
たとえば人の曲や、他人との対話で自身を最発見する感動ともまたひと味異なる体験です。

曲という形で、人生の出来事や感情を保存することは
真剣な娯楽として音楽と付き合う上で
とてもたのしく味わい深く、万人におすすめしたいくらいです。


◽️宿題!1-4のいずれかを次回レッスン時に持参してください♪


1.最近心が動いた瞬間をひとつピックアップし、言葉、単語、文章、落書き等を書き殴ってくる(A41枚程度の分量)
2. 1.で選んだ瞬間の気分にマッチしそうな画像を1枚以上、探してくる
3.好きな和音(3音以上の音のかたまり)を、2つ以上考えてくる
4.できればピアノの鍵盤などを眺めながら好きな音(単音)を、3つ以上選んでくる

→ひとつでも持参いただければ、そこから一緒にお話ししながら種を膨らませて曲にしていくことができます。
2つ以上チャレンジできたらなお選択肢が広がります。



以下では、大きく三つのアプローチと、
そのアプローチで私が実際に作った歌詞を参考に掲載しています。
(ふだんは別の人の曲を参考に説明したりするのですが
勝手に転記するわけにもいかず…)

◽️参考となりそうな方法のご紹介

1. 心が動いた瞬間の、彫刻としての曲づくり(ジャーナリング形式)

心が動いた瞬間や出来事を思い浮かべ、
単語や文章を羅列してみる方法です。

a. 怒りをテーマにした”Beautifully Untrue”
Holy anger 
Too sweet to apologize for
So It’s over 
We have to wash everything away

Wisely doubt 
Beautifully untrue 
Sleepless night 
While I am blind

参考のnote

b.コロナ禍のつかれと喪失を曲にした"Hardly Spring”

It was hardly spring
I wish you weren’t here
It was hardly sping, ooh…
A brief pause showed me an answer
when you, I, will rise

How should it be handled?
Why would it be?

参考のnote

c.知人が亡くなった時に書いた"requiem”
I know that I've been blessed enough 
Have enough faith in my life 
Oh I, oh I, oh I 

I'm sure that all day is bright 
The another day is bright 
Too bright, bright too 
Too bright 

I can't stand it, I can't stand it 
The day with a nice breeze with a laughter 

You, your so nice to us 
Who moved it from our life?

I know that I've been blessed enough 
But oh I, oh I, oh I 

参考のnote

2. ビジュアルや作品を起点にした曲づくり
好きな場所、景色、作品など、気に入った写真を用意して、
眺めながら感じることや思いついたこと、ふと思い出した出来事について書き出していく方法です。

a.一枚の絵をテーマにした曲 "Dance Tight”
(今は非公開なのですが、炭のような筆跡で描かれた女性?のような素敵な絵が元になっています)

How poor the joy become when I fixed myself 
by your side 
The day used to be laid (in front of every wisdom made by soil)

We, alone, what’d be done 

The last steps to take my dear
What would’ve done 
Why’d it have done

関連のnote

b.芸術 (Sandra Cintoというアーティストの作品)をモチーフにした曲・日本語でのファーストドラフト

サンドラシントの空。ブルー。メゾン・エルメスの四角く並ぶ分厚いタイルから、夏の強い日差しが緩和されて届き壁を柔らかく照らす。鉛筆とアクリルで、キャンバスをはみ出した一面のあわいブルー。露草色、勿忘草色、空色。か細い線で書かれたシャンデリアがところどころで遊んでいる。一枚の絵に引き寄せられる。海と空の区別はもうここでは必要じゃない。梯子のようなアクリルのラインに導かれて歩く。青が濃くなってゆく。ブルー。薄花桜、空色、青藍。紺色の通路を越えると夜空のような空間が現れる。毛の短い絨毯は褐色に染められ、白いインクで星が散りばめられている。私は淡い足取りでクッションを横目に天井へと続く漆黒のような青を眺める。満点の星空が四方から迫る。ブルー。面積より広大なギャラリーの壁に圧倒されて外に出た。指先に残った色は、アルコールでは拭えない。

参考note

3. 既存の曲のフレームを参考にした曲づくり
いま歌っている曲、好きな曲などの歌詞を書き出し
て構造を分析し、形式を真似て内容を入れ替えていく方法です。
1行ずつの詩をパーツと捉え、役割を考えていきます。

a."Singing Reed”
A→かつて直面していた状況を歌っているセクション
Day after day I came near to drowning→自分はこうでした
Draggin’ on painfully slow→1.を客観視・抽象化した描写
Take another breath, sail near to the wind→1行目を別の角度から捉えた描写
Draggin’ on painfully slow→客観視・抽象化した描写2回目で強調

B→変化が起きたセクション
Bunch of sorrows are given→Aの状況を外部からのアプローチと捉えてサマってる
But now forgiveness is here→今、何か新しい要素がきた
So let me use it to make a song→それで自分はこうしようと思います、という意思表明
I know I’m ready to forgive→意思表明を別の角度から捉えて言い換える

C→いまここからの決意を歌うセクション
Once I’ve seen the signs of Change
Knocking on my window with a steady rhythm
I’m but a reed, I need to be lead
But I am a singing reed
I’m in need of a rethinking my reading
But I AM a singing reed

…長すぎるのでひとまずここまでのA,Bを参考に
まずは日本語での別の曲を組み立てるとすると…

A.かつての自分
 1.どんな気持ちだったな
 2.外から見るとこうだっただろうな
 3.こんな気持ちもあったな
 4. 2をリピート

B.変化
 1.Aを1行で言い換える(新しい言葉を使う)
 2.変化の要素、きっかけを表す
 3.それを踏まえてどういう気持ちか
 4.3.の描写を別の角度で

C.これからの決意

…こんな感じで進めていきます。



なにかひとつでも参考になりそうなことがあったでしょうか?
一度だけの人生、やってみたいことはとりあえず全部やってみましょうね。

次回のレッスン、楽しみにしています!

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