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Quarantine:The Loners/レックス・トーマス作/大人にだけ致死的なウイルスの大量感染が起きた高校が、世間から『隔離』される話。隔離された生徒たちは少ない食料を求めて戦い殺しあうこととなり......。

今回ご紹介する一冊は、

Lex Thomas(レックス・トーマス)作

『Quarantine:The Loners』です。

この一冊は、全4巻の『Quarantine』シリーズの第1巻目となります。

あらすじ

『Quarantine』とは、〔病原体に感染した可能性のある人の〕隔離(期間)、という意味です。(アルク:英二郎より引用)その名の通り、高校生たちが社会から『隔離』される話です。


ある日、一日にして学校は地獄へと変わったーー。

生物兵器の災害により、子供だけが感染するウイルスが広まった。大人たちは感染したティーンに近づいただけで即死してしまう。そんなウイルスの大量感染が起きたマッキンリー高校は、政府によって世間から隔離されることになる。

隔離生活が始まって少ししたころ、校内は食料をめぐって争う派閥が分かれていった。だが、主人公・デイビッドと、弟・ウィルはどこの派閥にも入れてもらえず......。

果たして、彼らはこの混乱した学校の中で生きていけるのか?
戦慄の走る校内サバイバルの開幕――!

作者情報

レックス・トーマス(Lex Thomas)は、アメリカの作家であり、共同執筆者であるLex HrabeとThomas Voorhiesによるペンネームです。彼らは共同で執筆し、主にヤングアダルト向けのフィクション作品を手掛けています。

彼らの作品は、ダークでスリリングな要素を含みながら、若者たちが直面する困難や成長を描いています。特に、彼らの代表作は「Quarantine」です。

レックス・トーマスの作品は、鮮烈なキャラクター描写と緊迫感溢れるプロットがあって、読むのをやめられなくなるような中毒性があります。
https://www.goodreads.com/author/show/1206979.Lex_Thomas

「Quarantine」シリーズもその一つで、読んでいると続きが気になって夜も寝れなくなること間違いなしです。

読んでみた感想

めっちゃくちゃ面白かったです。読み始めてからひたすらスリルと緊張感があって、ひと時も目が離せないくらいでした。読みやすい構成で最後まで挫折することなく楽しめました。

日常生活が、ある日地獄のような世界に変わってしまうさまがもう「まさにディストピアだな......」と思いました......。

「ある日突然大人に頼れなくなってティーンたちがどうにか生きていく話」という、設定や雰囲気はマイケル・グラントの「GONE」シリーズや、スティーブン・キングの「Under the dome」にも似ている部分があるのですが、その中でも「Quarantine」は飛び抜けて面白いと感じました。

なぜかというと、「GONE」シリーズや「Under the dome」はとにかくはじめっから登場人物が多くて、読むときにちょっと疲れる。もちろんどれも面白いのですが「Quarantine」は他の二つと比べて気軽に読めます。

「GONE」シリーズの場合
①物語の視点が頻繁に、いろいろな人物に変わる
②初めから登場人物が多い

例えば「GONE」シリーズの場合、物語が複数人数の目線で語られていきます。それは主要なキャラに限らず、脇役みたいな読者の記憶の片隅にだけいるような人物からも物語が語られています。こういう構成だと、「いろいろな視点から物事を視れる」一方、急に「人物S」とかが出てくると、「あれ、これ誰だったっけ......」「あ、確か序盤に少し登場したっけ......?」「あれ、この人敵だったっけ......」みたいなことになります。

こうなってくると、前のほうから読み直したり人物相関図を書き出したり、いろいろと読むのが大変になってきます。

一方「Quarantine」の場合
①物語の視点がある程度固定されている(おもに主人公と主要な二人くらい)
②初期の登場人物は少なくて、物語が進むにつれてだんだん増えていく

こういった理由から、比較的わかりやすく、読むのに苦労がないと感じました。

また、舞台が高校の敷地内なので、物語が進む範囲が狭いのも読みやすい理由の一つだと思います。小説を読みながら地図を見るのって何かと分かりにくいことも多いので、舞台が狭いのはすごく助かります。

とにかく、めちゃくちゃスリルと疾走感満点で最後まで楽しめました。

皆さんもぜひレックス・トーマス作「Quarantine」を手に取っていただけたらと思います。

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