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【精一杯の速報!】改正 大麻取締法について

刑務所に居るので詳しいことは分からないのですが、12月6日に改正大麻取締法が参院を通過し成立したとの報道がありました。NHKのニュース7でも3分くらいの長い尺を取って報道していたので、これまで大麻は宇宙くらい自分には関係ない物だと思っていた多くの中高年層の関心を集めたことだと思います。

今回の法改正の趣旨は、大麻に使用罪を適用することと、大麻製剤(大麻から作られた薬)の合法化であるとの事。

総評としての私の印象は、政府の思惑や現在の世論がどうであれ、これは大麻解散への一歩となり、立法ベースの厳罰化とは逆方向に舵を切ったように感じています。以下に詳しく述べます。

先ず「使用罪」について。

おそらく刑務所の外では、保守的且つ感情的な人や、せっかちラジカルリバタリアン、知識の乏しいアナーキストなんかが「改悪だ!」と騒いでいる所が目に浮かびます。

しかし私と同じ大麻愛好家、無駄なコストを使って取り締るのではなく有効活用を考えるべきと思っている人には特に、冷静に考えて頂きたい。

大麻の使用罪ができた所で、愛好家の人々はコソコソして居なければならないという我が国の大麻事情にいささかの変わりもありません。ここ10年のトレンドを考えても、大麻の単純所持は不起訴になる事がどんどん多くなっています(日大の人も不起訴になっていますね)し、結局検察が限られたリソースをどれだけ大麻に使うのかという話で、今後の動向が重要なのであって、今騒ぐのはナンセンスです。今からしばらくやるべき事は、どんな法解釈になるのかをリサーチし続け、SNSなどあらゆるメディアで共有する事です。仲間内で訳も分からず「改悪だ!」と騒ぐよりも、前向きに行動しましょう。それが大麻を愛するということです。

司法サイドのリソースの面でポジティブな情報もあります。

私は私の事件を担当した厚生労働省の麻取の人達ととても仲良くなって色々な話を聞きました。中には今後プライベートで付き合いを続けて行く人も居ます。

彼等によると、麻取は組織の体質として、覚せい剤犯罪延いてはそれを扱ういわゆるヤクザと戦う事を自らの存在意義と自覚しており、「大麻の取締など無意味な事を我々はやりたいと思っていない」などと口々に言い、大麻取締への士気が低いです(尚、それがそもそも本質的にどうなのかということはここでは論じません)。考えてみれば、我が国ではアカデミズムを含めても、組織として最も大麻に精通しているのは麻取です(麻取の8~9割は薬剤師資格を持っているので、薬物リテラシーも総体としてのインテリジェンスも比較的高い)。なので麻取は相対的に大麻について真実を知っている割合が多いのです(とはいえ、とても十分とは言えず、医師等と同じくまだまだ無知であると言わざるを得ないレベル)。

中でも先行きの明るさを感じたエピソードとして、麻取の中でも国連の麻薬に関する国際会議に代表して出席するようなレイヤーの人が、調査とは関係の無いタイミングでわざわざ私に会いに来て、「俺はJustinの様な少数派の人達がもっと生き易い世の中になることを祈ってるよ。がんばってね。」と励ましてくれたシーンです。麻取は皆私の活動を応援してくれたし、使用罪についても「そんなことして、誰が取り締るんだよ」と皆反対の立場でした。

という事で、使用罪については、少なくともそれだけでは大麻を取り巻く環境に特段の変化は無いということ、また司法サイドには大麻の取締に対して消極的な勢力もあるということが分かって頂けたと思います。私達がやるべき事は、「改悪だ!」と反動的に騒ぐのではなく、今の注目トレンドに乗じて、少しでも多くの正しい情報と、やるべき行動の指針を発信する事です。

さて、私はそんな麻取からフロンティア情報を教えてもらっていたので、2022年のまだ寒い時期には、大麻製剤を合法化するための法改正がある可能性が非常に高いことを既に知っていました。

という事で、大麻製剤(多分エピディオレックス。より素晴らしいパターンだとサティベックスも?)の合法化について説明して行きます。使用罪と比較してこちらの方が遥かにインパクトの大きい改正のはずで、私も詳しい情報が知りたくてウズウズしています。

大麻取締法は「大麻」を規制する法律です。しからば、「大麻」とは何かを定義しなければなりません。これまでの大麻法では、大麻草の茎と根と種子以外の部分およびカンナビノイドの一つであるTHCという化学物質を「大麻」としています。つまり大麻取締法は正確には、大麻草の茎と根と種子以外の部分とTHC取締法であり、大麻草の茎や種は大麻ではないのです。だから麻の実は普通に売られていますし、麻の実から作られるヘンプオイルも普通に売られている訳です。大麻ではないから。そしてCBD製品が普通に売られているのも、大麻ではないからなのですが、製薬会社が作っているCBDオイルであるエピディオレックスという商品は日本では違法で治療に使えません。そこら辺で売ってるCBD製品とエピディオレックスの何が違うのか?それは原材料が大麻かそうでないかです。
エピディオレックスはカンナビノイドを豊富に含む花穂部分や葉が原料になっているのに対し、今販売されているCBD製品はCBDをあまり含まない茎から作られています。
これは日本酒を作るために米を育てて、米を全部捨てて、でんぷんの殆ど無い茎から作っている様なものでなので、日本のCBD製品はクレイジーな程高額なのです。

したがって大麻製剤であるエピディオレックスやサティベックス(CBDとTHCが1:1で含まれるGW製薬の医薬品。多発性硬化症の治療などに使われる)を合法化するには、「大麻とは何か」という根本的な所が変わる様な法改正が必要なので、今回の法改正は70年以上に上る硬直状態からの大きな一歩なのです。

詳しいことは分からないのですが、少なくともエピディオレックスが合法化したということは、規制緩和方向のモーメントであって、使用罪などという些末な事と比べて大きなインパクトであるという事は分かって頂けたと思います。是非この波に乗って、あなたも一緒に我が国の大麻教育を進めて欲しいと願っています。

全然別の話なのですが、HHCHというのは大麻とは違うもので、合成化学物質です。

「HHCHが危険だから大麻は危険だ!」というのは、例えるなら植物油などの脂に様々な方法で水素などを反応させて作る合成化学物のマーガリンに発がん性があるので、バターにも発がん性があると言っている様なものです。

尚、実際にマーガリンは発がん性があるということで、先進国(この単語嫌いです)を中心に多くの国で製造や販売が違法になっています。そのバターの代用品として流通している発ガンがん性物質が合法で、バターの原料である牛乳を大量に廃棄しているんですから、馬鹿みたいですよね。

もう一つ全然別の話ですが、ニュース7では大麻を使うと「運転中の運転能力や判断力が低下する」と画面に表示されていましたが、何故運転中に限定されるのか分かりません。

因みに戦後の一斉規約以後、大麻を合法化した各国で、大麻の合法化が原因で交通事故が増加した国や地域は一つもありません。元々医療大麻が合法なフィンランドでは、「治療ができても車が運転できなかったら生活ができないから意味がない。したがって大麻を使用しながらの運転を禁止するのは人権侵害である」という理由から、確か2020年頃に運転を合法化しています。

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