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Jの獄中大麻手記(3. 大麻で治療できる病気)

 これまでの話から導き出せるように、大麻はエンドカンナビノイドを補う形で、エンドカンナビノイド・システム(ECS)に作用する薬です。なので、ECSが身体でどんな仕事をしているのかという生理学的なところが分かれば、大麻の薬理についても見えてきそうだというのは、あなたも察しはついていると思います。しかし、ここは敢えて「大麻はこんな病気に効くよ」という出口のところから先に話してみましょう。尚、この話では意図的に”医療的に認められた"エビデンスに基づいた情報かどうかは無視して紹介します。

 先ずWHOでは、大麻をモルヒネの離脱症状、PTSD、うつ、難治性てんかん(小児てんかん)、緑内障とかの治療に使えると書いていたと思いますが、刑務所では確認できないので、気になるなら「WHO Cannabis」で検索すれば大麻のページがヒットする(https://www.who.int/teams/mental-health-and-substance-use/alcohol-drugs-and-addictive-behaviours/drugs-psychoactive/cannabis)のでチェックしてみて下さい。この中だと、モルヒネの身体依存に対する有効な選択肢は大麻の他に無いし、症状がビジュアル的にもショッキングな難治性てんかんに対しても、現状では効果がある人は半分以下の割に副作用が強い唯一の医薬品がある中で、他に有効な選択肢として唯一大麻があるということになります。また、失明原因の過半数を占める緑内障をめぐる治療薬事情も、難治性てんかんと同じ状況です。難治性てんかんがイメージできなければ、是非YouTubeで検索してみて欲しいです(Netflixの「Weed the People」ってドキュメンタリーも良いよ)。あなたや子供がこの病気だったら?あなたが緑内障で失明を待つ身だったら?そして大麻以外の治療で効果があがらなかったら?

あ、あとクローン病の治療薬としてもWHOのHPに記載があることを思い出しました。クローン病というのは、自分の免疫が腸壁を攻撃してしまう自己免疫疾患で、クローン病に対しては大麻が唯一の有効な治療薬です。

 WHOがアナウンスしている範囲だけでセンセーショナルですが、こんなものではありません。例えば大麻は様々なガンに効きます。これはエンドカンナビノイド・システムへの作用(結果的にはガン細胞をアポトーシスに導く”抗ガン作用")の他に、少なくとも一部のカンナビノイドが強力な抗酸化物質であることから、DNAが活性酵素に壊されるのを防いでいるというのも有効に働いていると思います。前にカンナビノイド(テルペン)が脂溶性だということを言いましたが、そのためカンナビノイドは皮膚に浸透し易く、大麻オイルを塗り薬として皮膚ガンの腫瘍に塗布したら腫瘍が消滅したという症例があります。ガン以外にもそもそも色々な肌荒れとかにも効果があるので、カンナビノイドが入ったコスメは世界中で人気です(確かBODY SHOPとかKiehlsとかの大手もどんどん出してます)。次に、喫煙=タバコ=肺ガンというイメージから、大麻を”吸う”というのは肺ガンリスクが高そうに見えますが、大麻喫煙者の肺ガン罹患率はむしろ低いです。これは喫煙によるリスクの上昇を、カンナビノイドによるベネフィットが上回るからだと考えられています。

 他にも色々な医療的用途があってきりがないのですが、1972年に日系アメリカ人の医師トッド・ミクリヤ氏出版した「Marijuana Medical Papers 1839-1972」の、どのカンナビノイドがどの疾患に有効か書かれた有名な「Dr. ミクリヤのリスト」が、その多様なポテンシャルを知るのに丁度良いので、リストから引用します。

 リストでは、消化器系では食欲不振、拒食症、悪液質、過敏性腸症候群、吐き気、糖尿病、IBD。
痛みや睡眠のカテゴリーでは、炎症、関節炎、痛み、不眠症、線維筋痛症、脊髄損傷、幻肢痛、頭痛/偏頭痛、こむら返り、睡眠時無呼吸症候群。
精神病では不安、ADHD、ストレス、躁うつ、強迫性障害、PTSD、憂うつ/落ち込み。
神経系ではトゥレット傷害、てんかん、けいれん、多発性硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病、痙性麻痺、骨粗しょう症、ALS、
その他ぜんそく、疲労、高血圧、緑内障、HIV/エイズ、筋ジストロフィー、ガンに効果があると書いてあります。

 他にももっと最近の資料でも色々あるのですが、もう十分でしょう。むしろ既にうさん臭いと思われたのではないでしょうか。しかし実際に合法各国やアメリカの合法各州では、大麻の適用疾患症状として、こういった多様な疾患をあげています。

 それもこれも、エンドカンナビノイド・システムが私やあなたや多くの生き物の身体のホメオスターシス(恒常性)を担保するバランサーとして、全身の至るところで「間接的に」働いているからこその効果であり、安全性なのです。

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