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ITエンジニアが建設現場の実務資格を取得してみた【AIに負けないITエンジニア道】

こんにちは!
ジャストには実際に現場で調査を行うメンバー以外にも様々なメンバーがいます。それぞれの得意分野で協力をしながら、日々構造物の安心・安全のために必要な技術・知識の研鑽に努めています。
本日はITエンジニアでありながら、建設現場で必要な資格であるNDI UTレベル2を取得したメンバーの資格取得の体験談をご紹介いたします。


背景

私はジャストのイノベーション・マーケティング部で新規事業開発やDX推進を担当しています。
私たちの部署の半数がITエンジニアで、実際の建設現場での作業はほとんど行いません。
しかし、DXを進めるには建設現場との連携が不可欠であり、共通知識としての業務理解も必須です。
鉄筋検査の作業効率化のためのアプリ開発を行うにあたり、超音波探傷試験を理解するために、実務資格の取得を目指しました。

UTの資格とは何か?

UT(Ultrasonic Testing、超音波探傷試験)は、鉄骨や鉄筋に不具合がないかを超音波を使用して調べる非破壊検査です。
この検査は日本の建物の安全を守るために重要です。
高度な技術が求められるため、JISに基づく非破壊検査技術者の資格が必要です。
資格はレベル1から3までの三段階に分かれており、私はレベル2の取得に挑戦しました。

受験してみてどうだったか?

試験は筆記の1次試験と実技の2次試験から成ります。

筆記試験は四択問題で、ジャストの先輩による試験対策講座と過去問を繰り返し解くことで合格しました。

一方、2次試験はより難易度が高かったです。

2次試験では、超音波探傷器と探触子を使用し、試験体のキズを評価します。
装置はデジタルですが、モニターに表示されるのは超音波の反射を示すエコーの波形です。
この波形からキズの位置や長さを判断します。

使用する機材

右上の機械が探傷器で手前の小さな2つの金属パーツが探触子になります。
他は校正用の試験片やキズのある試験体でそこそこ重いです。
次の画像のように試験片や試験体に探触子を押し当てます。すると、探触子から超音波を送受信して探傷器のモニターにエコーが表示されます。

超音波検査している様子

私はITエンジニアとして、キズの自動評価を試みましたが、すぐにその難しさが分かりました。
超音波探傷試験は外部環境に左右されやすく、探触子の押し当て方一つでエコーが大きく変わるため、検査員の技量が重要となります。

例えば、エコーは試験体の厚さ等によって変わるのでモニターの情報からだけでは判断ができません。

超音波検査している様子の画像にはエコーが6本ありますが、最初の一本がキズからのエコーで2本目が底辺からのエコー、3本目以降は底面から反射したエコーがさらに反射したエコーです。対象の特性や環境と合わせて、これらを評価する必要があります。

2次試験の最良の合格方法は、愚直に練習を重ねることでした。
試験には厳しい時間制限があるため、迅速かつ正確な探傷が求められます。
ジャストでは様々な練習用部材を用意しており、日々多様なパターンで練習を積みました。練習を繰り返すうちに、作業が早くなります。

最終的に、2次試験も無事に通過し、UTレベル2の資格を取得できました。

ITエンジニアが建設現場での実務資格を取得する意義

ITエンジニアとしては、多くの作業を自動化できると感じがちですが、建設現場には様々な制約があり、人間の感覚が必要です。

例えば、超音波試験では探触子と試験片の間に油を塗布します。すると、スマートフォンを操作する場合には手に付着した油を拭き取る必要があるため、ユーザーはわずらわしさを感じるかもしれません。

また、ITエンジニアが作業全般を把握していれば簡易な作業を自動化する提案をすることで、建設現場を効率化できる可能性があります。
UTレベル2の資格を取得することで、感覚的に建設現場を理解できたのは大きな収穫でした。

近年、ChatGPTなどの高度なAIが普及しており、私もChatGPTの活用推進やアプリへの機能実装などを進めていますが、精度の高い回答を得るためには正確なデータと適切な問いが必要です。
建設分野でも高度なAIの導入が進むでしょうが、良質なデータの収集はしばらくは人間が担うことになるでしょう。

最後に

試験検査部の先輩方のレクチャーなしには合格できなかったでしょう。ジャストの資格取得サポート体制に感謝します。ありがとうございました。

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