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どうせ乗るなら速いのじゃないと 

金沢の宿に着いてオートバイがあることを伝えるとフロントの女性が「こちらでよろしければ無料で停めていただけますけど」とホテルの中庭に案内してくれた。ホテルのフロントからガラス越しに見えるスペースで広い庇がついている。先客にVストロームが1台停まっていた。
「あんまり停められないので台数限定になっちゃうんですけれど まだ停められるので。有料も地下にあるんですけれどお金かかっちゃうんで もしこちらでよろしければ」
そう言いながらオートバイを見て「あら、CBR?」と嬉しそうな声を上げた。
なんでも若い頃にCBR250RRに乗っていたんだと言う。
「丸目2灯のトリコロールですか?」
「そうそう あれが乗りたくってね 免許取ったんですよ。でも結局乗らなくなって友達にあげちゃったんですけどね」
さらに、
「もうウン十年前は今よりもうちょっとスリムだったんですけどね もう乗れないな。」
と言うので、小型や中型のスクーターなんかだったら便利でいいですよというと
「でも速くないでしょ?どうせ乗るなら速いのじゃないと!」
とニコニコしながら言った。
翌日チェックアウトを済ませて出発するときに彼女が外に出てきて見送ってくれた。
「お気をつけて。 CBRも。」と笑顔で手を振ってくれた。

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